最強従者は今日も自由 第一章 第四話
お久しぶりです、花筏です
読んでくれてる人いるのかな?
ハイ、不定期連載です
辞めるつもりはありません
二つの月が沈んだ朝
全人闘技初日の喧騒が鳴っている
「やっと始まりましたね」
「久しぶりに来たけれど、
やっぱりエントゥルームはずっと活気があるわね」
抱き着いてきているフィーネの頭を軽く撫でながら、
アデサラと雑談を交わす
『出場者の皆様はもう一度対戦表を確認してから、
試合がある人は指定の場所に移動してください』
不意にアナウンスの声が聞こえる
都市の闘技場の為、かなり広い敷地が使われており、
幾らか場が在る
と言っても、5にも満たないが
「俺は初戦から有るので、行ってきますね」
「優勝目指すのよ!」
「糸垂、頑張ってね!」
家族の激励を背に、控えに入った
-----
イルサウナ・ユグライド
初戦の相手は聖教会の聖騎士で、
其れも聖剣持ちだという
流石に、全人闘技に干渉してくる事は無いだろうが・・・
「此うも来ると、勘繰りたくなるな」
独り言が消える
そろそろ始まりの時間か
剣の鞘を握り直し、場に入る
-----
『全人闘技、範囲C初戦、準備が完了致しました
闘技を開始してください』
アナウンスが掛かり、楽音が鳴る
「イルサウナ・ユグライド、此方容赦はしない!」
「・・・ハッ、今時名乗り上げとは殊勝な騎士道精神だ!」
ユグライドが剣に手を掛ける
・・・左逆手持ちか
順手に比べ逆手を取る構は少ない
動きが制限され易い、と考えれば、
妥当ではあるだろう
そして、逆手は下から薙ぐ
可動域的に、そのまま上に上がる事が多い
上から叩きつける事も出来るが、
其れでは剣が干渉せず相打ちになる事が多い
なら如何するか?
---利き手側に横薙ぐ
「止水 震為雷」
だが、其の瞬間、ユグライドの肘は、上に上がっていた
「猋 空哭」
読みが外れる
上から叩き落とされた剣は、
俺の剣と干渉し、
其の儘下がり切った
瞬間、不快な温度を感じた
・・・此れは、マズい
「猋 蜃櫂」
反射的に横へ跳ぶ
ユグライドの切先は的確に俺が元いた場所を貫いていた
今感じたのは明確な殺意だった
・・・此奴、殺しに来ていたな
全人闘技で殺しが認められていたのは何年前の話だ
大きくは動かないと思っていたが、
此処迄するか・・・
「・・・これを避けますか
流石ですね」
「かなり危うかったがな
・・・流石に、此方も本気でやらせてもらう」
剣を鞘に戻し、居合の構を取る
低く、地面と引く間も無い程に低く
それに呼応するように、ユグライドも構を取る
一見両者が牽制し合っている中だった
突如、糸垂の右目が開く
「 - 止水 - 」
糸垂が動く
それは一瞬の出来事だった
眼前に迫る剣は、
構を抜く事は疎か、十分に防ごうとする時間さえ許さなかった
---ギィィィン
嫌な、打ち付けの劈きが起こる
「・・・っ」
痺れた腕は、剣が抛られる事に十分だった
「 - 明鏡 赫暁 - 」
-----
試合が終わった
ユグライドが伏し、糸垂の勝利という形だった
その足で、他の試合を見に行っていた
---次の試合まで時間がある、夜桜灑我という奴の剣に興味がある
「はぁぁぁぁぁぁ!!!」
場に近付くだけで、
濁りの少ない響き良い女声が轟く
だがその剣は乱暴という訳でも、柔弱という訳でもなかった
素早く、それでいて力強く、
かなり鍛錬を積んでいる事が解る
確か表には真反対だが、
決勝で当たる可能性がある相手だ
観察しにきただけなのだが、
・・・興味があるな
何時かは誰かに剣を教えるというのも悪くないかもしれない
この灑我のような、
粗削りな才能に対して
いや寧ろ、
灑我に対して、剣を教えたいと思ったのかもしれない
唯何方にせよ、
其れが初めての感覚である事は確かだった




