ELLY IN THE HELL─地獄のエリー─

カクヨムコンテスト10、エンタメ総合短編部門、最終選考作品──
Nolaノベルにて複数回、編集部の注目作品に掲載して頂きました。

今から三百年後の未来──人類は温暖化による環境の変化により、地球上での生活が難しくなっていた──
来る人類の終末に備え、地球中から多くの優秀な科学者、技術者たちが集められ、彼らは複数の巨大なコロニー型宇宙船に乗り、地球を離れ新天地を求めて宙へと旅立った──
それから、さらに百年がたった頃──地上に一本の通信が入る──
それは人類が移住できる惑星を見つけた可能性があり、これから調査へ降り立つという、船団からのメッセージであった。
新たな発見の報告に一度は歓喜した地球上の人々だったが、その後──彼らから新たな通信が届くことはなかった──
数十年後──最初の新天地開拓は失敗したと見なされた。
それからさらに数百年の時が経ち──悪化し続ける住環境に地上の人類は遂に適応しきれなくなり、終末の日を迎える。
最初の船団の失敗以降も終末の日まで、人類は何度も宙へと調査に向かった。
しかし、新たな移住先を見つけることは叶わなかった。
終末の人類は地球と運命を共にすることを選ぶ者達とわずかな可能性を求め、いくつかの船団にわかれ新天地を求め宇宙を彷徨うことを選ぶ者たちに分かれる。

これは、連絡が途絶えた最初の船団と同じ航路を目指す船に、冷凍睡眠状態で父、母、弟と家族で乗りこんだ、十六歳の少女──渚エリの苛酷な運命の物語である。