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叛逆の英雄譚~愛する幼馴染が処刑されそうだったので国を捨てることにする~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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魔獣との戦い

 俺は、今回の件で思い知った。


 カグヤを守るのは一人では限界があると。


 俺のエゴより、カグヤの安全が最優先だ。




 荷物整理をした後、今後の予定について話し合う。


「カグヤ、ちょっといいか?」


「どうしたの?」


「俺はカグヤを守る。だが、俺にも限界はある」


「うん、わかるわ。身体は一つしかないものね……やっぱり、私が戦えるようになるわ!」


「それは……まあ、約束したしな。ただ、すぐには無理だろう。なので従魔を仲間にしようと思う。あれなら裏切りの心配もない」


「あっ! この間見た、狼みたいなやつのこと?」


「そうだ。 なので、早速見に行こうと思うがいいか?」


「うん! いいわよ! デ、デートね……」


 「いや、そう言ってくれるのは嬉しいのだが」


 とても、そんな雰囲気の場所じゃないのだが?

 その後、冒険者ギルドに紹介してもらった店に入るが……ほら、こうなった。


「まあ、役得ではあるか」


「ガルルル!」


「グァァ!」


「キャア!? ク、クロウ……!」


 檻に入れられた魔物達に怯え、カグヤが俺の腕から離れない。

 うむ、意外と着痩せするタイプだったのか……いかんいかん、平常心だ。


「だ、大丈夫だ。俺が付いている」


「う、うん……」


「ほら、しっかりと見ないと」


「わ、わかってるわ」


 魔物達の檻を眺めていると、支配人が声をかけてくる。

 白髪のご老人で、ブレナという方だ。


「お気に召しましたのがございましたら、お声をかけてくださいませ」


「ええ、了解です」


「わ、わかりました……うぅー」


 そこには、四足歩行の狼系の魔物や猫系の魔物、そして鳥系などの魔物がいた。

 さすがにドラゴンはいないが、あれは簡単に使役できるものではないから当然か。


「ど、どれも怖そうだわ……」


「今回は、カグヤを守る奴が目的だ。なので、カグヤが気に入った奴がいればいいのだが……」


「うーん……食べられないかしら?」


「それは大丈夫だ、契約した者には逆らえないからな。そもそも、相手が気にくわないと成立もしない」


 すると、カグヤがとある檻を指差した。

 視線を向けると、そこには白く輝くような毛並みで優美な姿の虎がいた。


「あっ! あの子……綺麗」


「お客様! お客様のランクでは、あれは無理かと……」


「ん?先約がいるのですか?」


「いえ、アレは誰とも契約ができないのです。あの魔物は魔の森の王者ハクドラ。自分より強い者、なおかつ気に入った者でないと認めないのです。何名もの人が挑戦したのですが、死人こそ出ないものの、皆大怪我を負いました。なので、金等級以下の方はお断りしております」


 ほう、強そうではないか。

 なるほど、最低でも冒険者ランク金等級の強さがあると。

 俺は改めて、虎に視線を向けるが……纏っているオーラが他の魔物とは違う。


「アレは強いな。責任はとるので、試してもいいですか?」


「そうですな、あのゼト様のご紹介でもありますし。いいでしょう……ですが、誓約書にサインをしていただきます」


「ええ、もちろんです」


 ブレナさんが一度去ると、カグヤが俺の服の端を掴む。


「クロウ、大丈夫……? 私が綺麗って言ったけど無理しちゃダメよ?」


「安心しろ、カグヤ。そういう時、俺は他の言葉が欲しい」


「えっと……た、頼りにしてるから!」


「それでいい。その言葉さえあれば、俺が負けるはずがない」


 百人の声援より、その言葉が俺の力になる。

 やる気を貰った俺は、誓約書にサインをして檻の中に入る。

 縦横共に十メートルくらいの場所で、逃げ回ることは難しい。

 つまりは、力で屈服させる必要がある。


「では、閉めますね」


「クロウ——頑張って!」


 そして檻が閉じ、同時にハクドラの檻が開かれる。

 近くで見ると、その迫力は段違いだった。

 体長二メートル以上、たくましい体つき、その強靭な爪と牙……まさしく、森の王者に相応しい。

 奴は俺を睨みつけ、威嚇をしていた。


「グルルルゥゥゥ……!!」


「よう、強いらしいな? だが、俺はお前より強い……試してみるか?」


「グルァ!」


 挑発が効いたのか、ハクドラが飛び跳ねて襲ってくる。

 その速さと跳躍力は凄まじい。


「いいだろう。まずは、力比べと行こうか」


 全身に魔力を通して、身体強化を施す。

 そして、覆いかぶさろうとする相手を迎撃する。


「ガァァァ!」


「ふんっ!」


 奴の両爪と、俺の両腕が組み合う。

 すると、奴が不思議そうな表情をした。


「ガウ?」


「どうした? 爪が食い込まないのが不思議か? その程度では……俺の身体には通用しない!」


 組み合った状態からスッと手を離し、素早く腹の下に潜り込む。


「ガウッ!?」


 そのまま両腕で奴を持ち上げ、檻に向かいぶん投げる。

 ガシャーンという音が、闘技場に響き渡った。


「ギャイン!?」


「フゥ……さて、次はどうする?」


 奴はよろめきながらも、すぐに立ち上がる。

 そして、俺を睨みつけていた。


「ガルルル……!」


「ほう? まだやる気か? そうでなければ張り合いがない」


「ガァァ………!」


 すると、奴が前足を踏ん張り口を大きく開く……嫌な予感がする。


「なんだ?」


「い、いけません! それは避けてください! それこそが——王者と呼ばれる由縁です!」


「なるほど、何か大技が来ると……ならば、避けるわけにはいくまい」


 これで引いたら、奴は認めないだろう。

 俺は右の拳に魔力を集め、左の拳を前に出して右の拳を引く。

 次の瞬間、奴の口から凄まじい勢いで水が放たれる!

 俺は左拳を引きながら、腰の回転を加えつつ右拳を繰り出す!


「セァ!」


「グァッ!?」


 俺の拳と奴の水がぶつかり合い拮抗する。

 ただの水に、こんなに威力があるとは……だが。


「どうした? 何を驚いている? ……人間を舐めるなよ!」


 右腕に魔力を追加し、思い切り拳を振り抜く。

 その水の光線は、そのまま奴にはね返り当たる。


「ギャウン!?」


 直撃をくらい、奴は地に伏せた。

 そのまま、横たわってしまう。


「まずいな……生きてるか?」


「グルルー」


「おっ、生きていたか」


 俺の声に反応して起き上がる。

 しかし。鳴き声が先ほどとは違う。


「様子が変だな……」


「グルルー」


 頭を下げつつ、俺の方へ寄ってくる。

 最早、敵意は感じない……だが、俺は油断しないように構える。


「グルルー、グルー、グルッ!」


「うおっ!?」


 すると、奴が俺の手をペロペロと舐め回し始めた。


「な、なんと!? 契約を結ぶ前に服従しております! 舐める仕草は、貴方をボスと認めますということです!」


「そうなのですか? おい、そうなのか?」


「グルルッ!」


 さっきとは打って変わり、表情が柔らかく見える。


 どう猛な獣から一転、飼いならされた猫のよう。


 これほどの強さなら、ある程度任せられそうだ。


 これにて、第二目標達成としよう。

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