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叛逆の英雄譚~愛する幼馴染が処刑されそうだったので国を捨てることにする~  作者: おとら@9シリーズ商業化


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新たな生活

 あの日から、二日が経過した。


 昨日一日中休んだことにより、俺の体調も大分良くなった。


 カグヤが付きっきりで光魔法をかけたり、看病をしてくれたからだ。


 感謝しかない……そして、今度こそ油断はしない。


 どうやら、カグヤには何か秘密があるらしい。


 だが、たとえ何があろうとも——今度こそ、カグヤを守り抜いてみせる。






 と、気合いを入れたのはいいが。


「なあ、カグヤ」


「どうしたの? クロウ」


 ベッドに座る俺に、カグヤが可愛らしく首をかしげる。

 いかん、直視できん。


「いや、もう平気だから……流石に飯くらいは食える」


「ダメ! はい、アーン」


「仕方ないか……あーん」


「えへへ、美味しい?」


 このようにカグヤが、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。

 デレデレで可愛すぎる……お、俺はどうすればいい?

 いや、相思相愛なのはわかったのたが……現実に頭がついてこない。

 すると、それを見守っていたゼトさんと目が合う。


「ゴホン!イチャついてるところ悪いが……もう、いいか?」


「い。イチャついてなんかしてません!」


「ゼトさん、すみません。もう、大丈夫です。今日辺りから、体を動かせそうですから」


 ゼトさんには万が一に備えて、昨日から今日まで部屋の外の見張りを頼んでおいた。

 流石に高い金を払ったが、安全には変えられない。

 悔しいが、今の俺では守りきれる自信がなかった。

 だが俺のエゴで、カグヤを危険に晒すのは違う。


「そうか、ならもういいな? それじゃ、これで依頼達成だ。たった二晩だったが、良い収入になった。しかし、こんなにもらって良いのか?」


「いえ、貴方クラスなら当然の報酬です」


「そうかい。それじゃ、遠慮なく」


 そう言い、部屋から出て言った。

 冒険者はある意味で、信用がおける。

 報酬が多ければ多いほど、しっかりと仕事をしてくれるからな。


「さて、カグヤ」


「にゃに!? ま、まだ日が早いわよ!?」


「はい? ……そりゃ、朝だしな」


「そ、そ、そうね!」


 変わらず、よくわからん。

 まあ、いつも通りといえばそうか……言ったら叩かれるから言わないが。

 着替えを済ませたら、二人でギルドに行き、一昨日の報酬を受け取る。


「ロレンソさん、申し訳ない。こちらが急いでとお願いしたのに、昨日はこれませんでした」


「いえいえ、何やら事情もありそうですし。まあ……私たちは冒険者活動をして頂けるなら、何も言うことはございません」


「助かります。ええ、それに関してはもちろんのこと。明日から、また依頼を受けに来ます」


「ええ、その方がよろしいかと。物件が見つかったようなので、養生も兼ねて行ってみては如何ですか?」


「もうですか? では、失礼します」


「やったぁ! 私達の家ね! ロレンソさん、失礼します」


 情報を貰った俺たちは、ギルドを出て不動産屋へ向かう。

 中に入ると、すぐにトルバさんが出迎えてくれた。


「これはこれは、いらっしゃいませ。お二人をお待ちしておりました」


「こんにちは、トルバさん。今、案内は出来ますか?」


「ええ、もちろんです。では、行きましょう」


 そしてトルバさんに案内され、とある一軒家にたどり着く。

 平屋タイプの家だが、広さは100坪はありそうだ。

 それに庭も広いし、四方に建物もなく人の通りも少ない。

 これなら異変にも気付きやすいし、襲ってきても対応しやすい。

 これで、一般人を巻き込まずに済む。


「うむ……悪くないですね」


「ねえねえ! 中が見たい! トルバさん、良いですか?」


「ほほ、もちろんですとも」


 トルバさんに鍵を開けて貰い、家の中を中を探索する。

 玄関から入ってすぐの扉を開けると、広いリビングにオープンキッチンがある部屋が目に入る。

 そこからは庭が見えて、縁側から直接外に出ることが可能になっていた。


「これなら、脱出するときも楽か」


「わぁー広い! 個人の部屋はどんなのかしら?」


 さっきからテンション上がって、めちゃくちゃ可愛い。

 浮かれてるというか、ずっとはしゃいでいる。

 よし……だからこそ、俺がしっかりせねば。

 カグヤが楽しく、少しでも平穏な日々を過ごせるように。


「ねえねえ! クロウ! 早くー!」


「はいはい、わかったよ」


 やはり、カグヤには元気なのがよく似合う。

 これが見れるならば、俺はどんな苦労も厭わない。

 カグヤについていき、玄関の奥にある通路脇の部屋を見る。


「ほう? 思ったより部屋も広いな」


「そうね! 小さい方でもそれなりにあったわ!」


「小さい方が一人用、大きい部屋の方が二人用と言ったところか」


 確認をし終えた俺達に、トルバさんが声をかけてくる。


「如何ですか? 条件に合う物をご用意いたしましたが……」


「そうですね……カグヤ、ここでいいか? 俺的には、条件に合うのだが」


「うん! ここが良い! 私、ここでクロウと暮らしたい!」


 そう言い、くるくる回って満面の笑顔を見せてくれた。

 それを見てると、なんだか胸が熱くなってくる気がした。

 同時に、胸が締め付けられる。


「お、おう……なんだ? 何で心臓が痛い?」


「ほほ、若いとは良いですな。それでは、契約を結びに一度戻りましょう」


 そうして店に戻り、一括で料金を払い無事契約を結ぶ。

 これで、第一目標であった拠点確保が出来た。

 その後、宿を引き払い、荷物を持って二人で借りた家に入る。


「き、今日から、ここで暮らすのね……」


「ああ、そうなるな……不安か?」


「ううん!クロウがいるもの! 好きな人と暮らすの夢だったの!」


「ああ、もう油断しない。カグヤ、君を必ず守ってみせる」


「そ、そう! わ、私も頑張らないと……!」


 確かに、カグヤ自身にも戦う術は必要か。


 だが、それ以上に……《《アレが必要だ》》。


 こんな可愛いカグヤと暮らしたら、俺の忍耐にも限界がある。


 相思相愛だからといって、自分を押し付けてはいけない。


 いや、相思相愛だからこそ互いのことを尊重しなくてはならない。


 さてさて、良いヤツがいるといいのだが……。

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