今後の話
ひとしきり再会を喜んだ後、今後の話をすることになった。
「ヨゼフ様、今後はどのように動きますか? 正直言って、俺はこの国に未練はありません。流石に無辜の民を手にかけることはありませんが……腐った貴族達なら剣を振るいます」
愛する母上はもういないし、父親は俺達を捨てた憎っくき相手だ。
そして、後妻であるあの女も……その子供には、そこまでは思わないがな。
だが、大事な部下達も国を出た。
そうなると、俺は本当に未練がない。
「クロウに賛成ですね、アイツらは万死に値する。あとで悔いればいい……我々がいたから、平和を享受できていたことを」
「お主達の気持ちはわかる……だが、そうもいかん。そうなると全面戦争になり、この辺境伯領も無事では済まないだろう。だが、許せないのも事実だ。ただ、現皇帝の考えがよくわからない。あやつは腐ってはおるが、そこまで愚かではなかったはず……だからワシも、カグヤを泣く泣く送り出したのだ」
「そうなのですか? 俺はよく知らないのですが……カグヤは会ったことがあるのか?」
すると、カグヤが気まずそうに目を伏せる。
「ええ、何度か。ただ、その……舐め回すように見られてる気がして……」
「まあ、現皇帝は大の女好きでな……」
「はい決定、滅ぼします」
「よく言ったクロウ! 私と今のお前なら殺れる!」
俺とエリゼが今すぐにでも動き出そうとすると、ヨゼフ様が止めに入る。
「やめんか! 全く、昔から変わらんな。カグヤのことになると、見境いがなくなる……ワシもじゃが」
「二人とも、私は大丈夫よ。ショックだったけれど……皆がいるもの!」
「ああ、俺が側にいる」
「おい、私の台詞をとるな」
俺とエリゼの間に火花が散る。
「だからやめんか! はぁ……というわけで、ひとまずは様子見じゃ。もちろん、何が起きても良いように準備はしておくがな」
「私もそれで良いわ。流石に民が犠牲になるのは心が痛むもの。もちろん悔しいし、恨む気持ちはあるけれど……今は、少し休みたいかな」
俺は馬鹿か。
カグヤは今まで頑張ってきたから、休ませてあげなくては。
その間は、俺が安らかに過ごせるように頑張ろう。
「すまない、自分の気持ちを押し付けてしまうところだった」
「お嬢様……申し訳ありません。お嬢様のお気持ちを無視し、自分の感情を優先しようとしてしまいました」
俺とエリゼは、カグヤに向かって頭を下げる。
「ううん、いいの。二人とも私のことを大事に思ってくれていることは、わかっているから……」
「さて、まとまったようじゃな。でだ、クロウ」
「はい、なんでしょうか?」
「お主はカグヤを連れて、マルグリット王国へ行ってもらいたい」
ヨゼフ様は、そう言い頭を下げるのだった。




