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魔動駆人スチームアーマーズ  作者: モノアイの駄戦士
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第一話 ネイト・ヴェングリン

初めまして、モノアイの駄戦士と申します。

初めての一次創作なので、色々とおかしい所とかあるとは思いますが応援してくださると嬉しいです。


……ちょっとでも良いので感想頂けたらモチベ上がります、自分はポンコツなので……うん…



「なんだよ、一体何なんだよこれは!」


そう叫びながら薄暗い石レンガで舗装された地下通路を走る。

ネイト・ヴェングリンは、今日起きた惨劇を忘れることはないだろう。

平和な日々を突如破壊されたヴェングリン領に住む人々は新たな戦火に焼かれていき、ネイトの人生を大きく動かしていく。

この時、まだ15歳の彼は走り抜ける地下通路の先に待つ巨人と共に戦場を駆け抜けることになるとは、予想だもしていなかった……


























ここで少し時を戻して、ネイトの事と彼のルーツについて話そう。

ネイト・ヴェングリン、後世には【蒼炎の英雄】と讃えられるノステラス王国の大貴族ヴェングリン家の生まれである。

家訓に【正義】を掲げており、歴代通して正義感の強い人物達が時に王国内部の腐敗を粛清し、敵国からの攻撃に真っ先に盾になり、そして矛となったノステラス王国の生きる伝説と世界に伝わる貴族である。

そんな家に生まれたネイト・ヴェングリンもまた、正義感に燃える男であった。

だが、そんな彼にある秘密があったことは誰にも知られていない。

彼は転生者である。

彼は某流行りの小説の様に異世界にへと転生したのである。

そんな彼が生まれ変わりを経て、最初に考えたのは家族の事だった。


(僕、死んだんだな……)


死因は分からない。

本当にいつも通り学校に向かい、校庭で体育の実習をしていただけだった。

第三者なら、死ぬ直前に見えた謎の影を理解できるのだろうか……?

そんな思いを抱きながら、母親の胎から出てきて既に数時間。

時間も場所も分からない彼にとって、赤子である今できることは前世の家族に心の内で謝罪する事だけしかなかった。

しかなかった。

その度に泣いてしまい、彼は赤子の感情の起伏の激しさに内心苦笑いしたが。

自分を抱く美しい母にどことなく安心感を感じつつ、厳格そうな髭を生やした男が笑顔で彼を見ている。

この二人が今の僕の両親なんだな、と今まさにネイトと名付けられた彼はそう客観的に感想を抱いた。


















それから日は経ち、9歳になったネイト・ヴェングリンはそれまで貴族としてのマナーや心得を学ぶだけの日々に停滞していた世界を彩る一つの花がそえられた。

尚、それだけ特に何もなかった9年間にネイトは色々悲しくなったが。


「初めまして、ローゼ・クランです。気軽にローゼって呼んでね」


元々、オタクではないが前世でライトノベルやゲームを趣味としていたネイトはまさに西洋の可愛い女の子を体現した同い年の許嫁と出会った。

ほんわかとした、ゆるキャラみたいな少女にネイトの脳裏には可愛いのワードが埋め尽くされていたが、ハッと思い出して自己紹介する。


「ネ、ネイト・ヴェングリンです!初めまして!」


ネイトは緊張で一度舌を噛むが、何とか自己紹介を終えた二人。

綺麗な亜麻色のショートヘアと透き通った碧眼に、ドギマギしつつ、親からの勧めでネイトは9年の他人とのコミュニケーションのブランクに不安になりつつ、彼女との親睦を深めるためにあまり行くことを許されなかった花いっぱいに咲く庭園に二人は散歩することになった。

一面、カラフルに咲き誇る花畑に大はしゃぎのローゼとは正反対にネイトは幼い容姿に似合わず落ち着いた雰囲気である。

今までネイトは言語の習得と貴族としての振る舞いを教えられていたが最近は余裕ができ、前世の記憶からこの世界がどんな世界なのか考察していた。

ちなみに言語習得に関してはどういうわけか日本語だったので、苦ではなかった。

だが、探索できる範囲でわかったのは中世のヨーロッパのような屋敷とそれらしい文化だという事しか分からず、魔法も今まで見たこともない。

彼の父であるアグラの書斎には彼からの厳命で入れてもらえず、この世界の知識も全く手に入れられていない。

まあ、そもそも書斎には小説のようなものから専門的な本など、中世の世界観で合っているのなら本は貴重品なので仕方がない対応ではあるだろう。

学校で学んだ幼児の好奇心の例を思い出して、貴重な情報源を前に渋々彼は諦めた。

だがそれと同時に地下室へ通じるらしい扉のことを思い出す。


「父上、地下にあるあの扉の先にある物はなんなのですか?」


少し前にアグラに問い掛けた質問。

それに相変わらずの無精顔のアグラはこう答えた。


「お前に教えるにはまだ早い。時が来たら教える」


その時のネイトはその時が来たら分かるならそれで良いか、と疑問を放置したがやっぱり気になるのは人の性だろう。

まして見た目は子供だが、中身は元高校生。

かつての黒歴史、厨二病を再発しかけながら扉の先にあるものを想像するのは致し方ないだろう。

だが、彼はローゼの事を忘れていたのでパンッ、という音にビックリして思考の海から戻れば目の前にはローゼがプンスカと怒っていた。


「ネイト君、一緒に遊ぼうよ!」


「あっ、えっと……うん…」


女性免疫が著しく低くなったネイトは、幼い子供同士の遊びに早く大人になりたい!と内心叫ぶのだった。








精神的には大人のネイトにはキツイ時間を過ごす内、ネイトはあることに気付いた。

彼女に外の世界の事を聞けば良いんじゃね?と。

付き添ってくれるメイドや母のクラリアは聞いても当たり障りのない事しか言わず、アグラは言わずもがな。

とはいえ、突然この世界の事を教えてもらうのは子供だとしても疑われると思い、ネイトは少し考えて彼女に問い掛けた。


「ちょっと気になったんですけど、ローゼさんのお父さんってどんなお仕事をしているんですか?」


無難な問いかけではないだろうか?

そう我ながら評価する。

ネイトの父は国を守護する騎士団の総司令というのは、メイドや母から聞いているので自然とネイトの頭に思い浮かんだのだ。

そして、当人は……


「私のパパ?パパは確か、えーっと……」


目の前の少女はどういうわけか思い出すように悩み込み、思い出したのか顔を上げて答えた。


「確かスチームアーマー?っていうおっきなロボットを作るお仕事だよ!」



「うん!えっと……魔獣を倒すためのロボットだって!」


「へぇぇ……」


前世では色々とロボットの話もあったが、聞く限りスチームアーマーとは乗って戦う物らしい。


「ネイト君のお父さんはすっごく強いんだって!王国で一番強い騎士様って、パパ言ってた!」


無邪気に語る彼女の話に自分の父について語られたネイトの感想は「絶対成長したら騎士になるパターンだよな、コレ」だった。

とはいえ他にやりたいことがあるわけでもないし、ネイト自身はスチームアーマーという浪漫の塊に目を輝かせていた。

それを悟ってか、それとも彼女の憧れか。

ローゼは言った。


「私や皆を守ってくれるヒーローになってくれる?」


ネイトの答えは最早決まっていた。


「うん!僕はなるよ!ヒーローに!」


ヴェングリン家の家訓に【命を張って民を守るのは貴族の役目である】、というのがある。

しかし悲しいことに、これを実行できる貴族はネイトの前世の歴史でもこの世界でもほとんどいない。

しかし、ヴェングリン家の家訓はネイトの心に響くものであり、当たり前な事だもしても今の彼は貴族だ。

貴族と言うとやはり悪い印象が付き纏う。

彼はそんな存在にならないためにも、この家訓を大事にしている。

そして、この瞬間こそがネイト・ヴェングリンの原点である。


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