サンタさんをつかまえろ!
ぼくはぬいぐるみのクマ太!今はお友だちのメイちゃんと一緒にベッドの中で寝てるんだ!でもね、今日のぼくには大切なお仕事があるんだ!それはね……。
「クマ太ー!はい、あーん!」
メイちゃんは毛糸で作ったケーキをぼくに食べさせてくれる。口は開かないけれど、メイちゃんの作った物はおいしい!もっと食べたい!そう思っていると、メイちゃんはぼくに言ったんだ!
「ねーねークマ太!今日はクリスマスだよ!サンタさんが来るんだ!一度でいいから会いたいなー!」
……サンタさん?誰かな?
「あのねあのね!サンタさんは、クリスマスの日に世界中を旅して回ってるんだよ!それでね、いい子にしてたらプレゼントをくれるの!私、今年中ずっといい子にしてたよ!苦手なピーマンも食べれるようになったし、宿題も一度も忘れなかったもん!」
興奮ぎみに話すメイちゃんはとても楽しそう!きっとサンタさんってすごい人なんだね!
「だから……一度でいいから会いたいなあ。」
メイちゃんの言葉を聞いたぼくは、今日、サンタさんをメイちゃんに会わせてあげよう、そう思ったんだ!
メイちゃんがお出かけに行った時、ぼくはすぐに博士に相談したんだ!博士は賢いウサギさんのぬいぐるみ!ぼくじゃ分からないことも、何でも知ってるんだ!
「ってことがあったの。だからぼく、メイちゃんにサンタさんを会わせてあげたい!」
「ふむ。しかし、サンタさんを捕まえるのは難しいぞ。サンタさんはこの一日だけで、世界中の子ども達にプレゼントをあげなきゃいけないからの。」
「そうなの?」
「じゃから、メイちゃんが独り占めするわけにはいがないのじゃ。」
「そうなんだ……。でも!ちょっとだけ、ちょっとだけなら!」
「それなら、今から準備するぞ!サンタさんが来た時、メイちゃんが起きてればいいのじゃ!」
「そうか!それならサンタさんがメイちゃんと会って、すぐに他の子の所に行けるね!」
「二人でサンタさんを捕まえて、その間にメイちゃんを起こすのじゃ!ゆくぞー!」
「おー!」
こうして、ぼく達の「サンタさんをつかまえろ大作戦」が始まったんだ!
そんなこんなで、今はもう夜。メイちゃんはぐっすり夢の中!寝ているメイちゃんもかわいいなー。……おっといけない!早く準備しないと!
ぼくはすぐにベッドを降りて、博士に合流したんだ!そしたら博士は、とんでもない秘密兵器を用意してたんだ!
「これを見てくれ!これは[くらっかー]と言って、大きい音が出る道具!それでこっちは、メイちゃんがいつも遊ぶ積み木じゃ!」
「これをどうするの?」
「作戦はこうじゃ!扉の前に積み木を散らばらせて、サンタさんを待ち伏せるんじゃ!積み木を踏んで驚いたら、すかさずくらっかーを鳴らす!するとメイちゃんが起きて、サンタさんを発見するのじゃ!」
「すごい!博士天才!」
「それほどでもないわい!」
胸をはる博士を見て、ぼくも頑張らなきゃって思ったんだ!それからすぐ博士がくれたくらっかーを持って、今は部屋の入口で待ち伏せしてるよ!
……来ないなあ、早く来ないかなあ。
……まだかなー。早く来てよー。
……早く早く!もうすぐ朝が来ちゃうよーー!
「こ、これはマズイ!もしかして、サンタさんはわしらの計画に気づいたのか!?」
「どういう事!?」
「朝も言ったが、サンタさんが来るのはいい子のお家じゃ。わしらがサンタさんを捕まえようとしたから……。」
「メイちゃんは悪い子になっちゃったの!?」
「そうかもしれないのう……。」
ど、どうしよう!ぼくのせいで、サンタさんが来なくなっちゃった!?どうしよう、どうしよう……。
ガサゴソ、ガサゴソ……
「こ、この音は……!クマ太!くらっかーを持つのじゃ!」
「え!?……う、うん!」
ぼくと博士がくらっかーを持って待ちかまえると、扉が開いたんだ!そこにこっそり、ゆっくりと誰かが入ってきた!
「まだ寝てるな……。今日は夜勤で遅くなっちゃったから、間に合うか心配だったんだよ。よし、早速プレゼントを……って痛っ!?」
サンタさんは積み木を踏んで驚いてる!今しかない!
「ゆくぞクマ太!」
「うん!」
入り口の両端で一斉にくらっかーを鳴らすぼく達。するとサンタさんは更に驚いて、ひっくり返っちゃった。
「な、何!?火事!?地震!?」
そのタイミングでメイちゃんも起きた!今だ!
「クマ太!隠れるぞ!」
「よし!うまくいったぞー!」
「パ……パパ?」
「メイ!起こしちゃったか……。」
「どうしたの?もう朝になっちゃったよ?」
「いやー、お仕事が終わって帰ってきたんだけど……そう!パパが帰ってくる時、サンタさんに会ったんだよ!」
「本当!?サンタさん!?」
「それでね……はい!サンタさんからのプレゼントだ〜!」
「これ……私が欲しかったぬいぐるみのお家!サンタさんが持って来てくれたんだ!やったーー!」
「メイが喜んでくれてパパ……じゃなかった。サンタさんもきっと喜んでるよ!」
「うん!ありがとう、サンタさん!」
「はい、クマ太!博士!新しいお家だよ!サンタさんがくれたんだ!」
クリスマスが終わって、メイちゃんはぼく達におうちをプレゼントしてくれたんだ!メイちゃんとパパ、ママが組みたててくれて、すぐにおうちができたんだよ!
「クマ太!博士!私、今回はサンタさんに会えなかったけど……来年は必ずサンタさんに会ってみせるわ!そのためにも、もっといい子にならなくちゃ!」
そう言って宿題を始めるメイちゃん。すごいやる気だ!……あれ?メイちゃんサンタさんに会えてない?それなら、ぼく達が驚かしたサンタさんって、誰だったんだろ?
「フカフカのベッド、気持ちいいのうー。」
「あ、ずるい!ぼくもいれてー!」
まあいいや!メイちゃんがサンタさんに会えるように、ぼくも作戦を立てないと!でも、今日は眠いやー。明日からにしようっと!おやすみなさい!
これで、ぼく達の「サンタさんをつかまえろ大作戦」はおしまい!サンタさんってどこにいるんだろう?来年は、サンタさんに会えるといいなー。それじゃあ、またね!