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ってことでね……あれから平穏に数日経ったと思ったら本当にハルトヴィヒがプレゼントを渡してきたわけですよ。
クラスメイトの! みんなの! 前で!!
「つけてくれたら嬉しい」
なんてはにかみながら言うもんだから女生徒から黄色い悲鳴があがったよね!!
これまで甘ったるい笑顔を誰にでも振りまいていたハルトヴィヒ・ヌルメラがはにかみ笑顔で頬を染めて一人の女生徒にプレゼント渡してんだぜ?
そりゃそうなるよね、その悲鳴はイケメンのはにかみ笑顔のせいなのか、或いは照れ顔のせいなのか、自分らの憧れの人が他の女に意識を向けたことによるものなのか……。
いやプレゼントしてもらえたのは嬉しい。
そこの感情がなんであるのかってのは大きな問題ではあるけども、プレゼントそのものは嬉しいよね。
嫌いな人からってわけでもないし、これが嫌がらせとかじゃないとも理解しているからさ。
(……でもなんてことしてくれたんだ……)
しかも渡すだけ渡してさっさとやつは自分のクラスに戻ったんですよ。
ええ、残された私だけが注目を浴びてるんですけど?
隣のジャミィルからの視線が、とっても怖いですね!!
「へえ?」
「いやあ、プレゼントだって! うれしいなあ!」
もうやけっぱちで笑顔になるしかないじゃない。
にやりと笑うジャミィルは、箱を指さす。
「折角だ、開けてみろよ」
「ええ? 今ここで!?」
「そう、ここで」
周囲もその言葉に私の手元の箱へと視線を向ける。
むむむ、なんて悪い男なんだジャミィル!
その視線の圧に負けた私は、細長いその箱にかけられたリボンを解く。
なんかお高そうな箱と、そして綺麗なリボンだけに緊張も倍増だ。
「……あ、これ」
中から出てきたのは、ネックレスだった。
小さな薄紫のアメジストと、真珠が一粒あしらわれたシンプルなペンダントだ。
普通に可愛い。
これをハルトヴィヒが買ったのか……贈り物ですって店員さんに言って?
なんだろう、その図を想像するとなんだかすごくこう、くすぐったいっていうか。
「いいじゃないか。貸してみろ」
「えっ」
「俺がつけてやる」
なんでしょうジャミィルさん、笑顔だけど怖いですね!
なぜだか逆らってはいけないと本能が訴えるので大人しく差し出せば、背を向けろと指先だけで指示される。
おかしいなあ、私の方がずっと年上のはずなのになんでこんなに怖いって思ってるんだろうな? 能力的には私の方が勝っているはずなんだけど……。
「……今日の帰りは部活に行かず、俺に付き合ってくれるか」
「え?」
「ご褒美、俺にもくれるんだろう?」
「ひゃわ」
留め具をつけるのに髪が邪魔かと思って自分で持ち上げたのだけれど、そうしたらジャミィルに首を触られてくすぐったさから思わず声が出てしまった。
なんとも情けない声だったけど幸いそんなに大きなものではなかったのでジャミィルくらいにしか聞えていないはずだ。
くつくつ笑うジャミィルが邪悪に思えてしょうがないから、聞えてはいけない相手だったのかもしれないんだけども……。
「しかし細いな。ちゃんと食べてるのか?」
「食べてますう!」
「今日は一緒に晩飯も食いに行くか」
「ええ!?」
「なんだ不満か」
「そ、そういうんじゃないけど……」
でもそれってまるでデートみたいじゃないか。
私のことが知りたいって、その話をするために放課後二人で出かけて、そして晩ご飯も食べに行こうって……それってもうデートじゃないか!
色々言いたいことが口から出そうで出ないまま、私はもごもごとするだけだ。
「さあできた。中々いい品物なんじゃないか、大事にしてやれよ」
「あ、ありがとう……」
「俺からは放課後、楽しみにしておくといい。なにせ初めてのデートだからな」
にやり。
そんな音が聞えそうな笑みを浮かべたジャミィルは、やっぱり邪悪の化身か何かだ!!
色々と仕事がたてこんでまいりまして、明日より更新を18時の1回のみとさせていただきます。




