24
「知りたがっていること……」
「なんでも……?」
「いやだから私が知ってる範囲ね? 無茶なことはだめよ?」
聖女召喚についてとかな!
でもその辺りもわかっているのだろう、ジャミィルは難しい顔をしている。ハルトヴィヒもだけどね。
まあ言うて同い年(と彼らは思っている)私の知識なんてどこまでのものかって二人には不明なんだから、期待はしないだろう。
サナディアという人外の土地出身であるから自分たちが知らないことを知っていそう、くらいには思っているだろうけど。
果たしてそれだけで危険なことに首を突っ込む価値があるか?
そう問われたら普通は否である。
つまり、私は彼らに断る口実を与えたのだ。
私に対して『馬鹿なこと言ってないで寮まで送るから帰れ』という言葉を引き出せば私の勝ちである。
だってもう一回出ればいいもん。
今度は面倒くさいから、気配遮断と変身の魔法を使っちゃおうかな……。
あんまり魔法を使うと魔術師に見つかるかもしれないから、面倒なことになるってカレンデュラ先生には言われてるんだけど。
人間族が使う魔術と、私たちが使う魔法は別物だ。
それゆえに色々と似ていたとしても制約や範囲、能力が異なってくるから……その辺で色々問題が起きるらしい。
まあ、魔法が使えている段階で人間族じゃない可能性を疑われるから、ってのが一番大きな要因で使わないようにしているわけだけど……。
(でも今は、特に月夜の晩だもの。私の方に分があるわ)
基本的に日中活動して夜寝るようにはしているけれど、月の魔力を借りた吸血鬼一族は魔力枯渇が一切ないという恐ろしいチート能力を持っているのだ!
ふふん、これは知られていない事実だけどね。
実際このチート能力を使って何かをしようってご先祖様もいなかったそうだから……精々、隕石が落ちてきたのを壊したとかそんなくらい?
イヤすごいことだったわ。
「……あれについてはダメなんだよな?」
確認するようにジャミィルが私を見る。
あれってのが聖女召喚についてなんだろうなあと思うので「うちの家系でダメって言ったヤツはダメね」と言っておいた。
「……ううん……僕の一存ではな。だが……ううむ」
ハルトヴィヒはものすごく悩んでいるようだ。
どうしたどうした、そこはお前が『何を馬鹿なことを言っているんだ!』って言ってくれるのを私は期待してたんだけど!?
あれえ、ちょっと宛てが外れたぞ……?
「すまないが二人とも、僕と一緒に来てくれないか。大丈夫だ、悪いようにはしない」
「そう言われると逆に不気味なんだが」
「本当」
なんかフラグ立ってない?
思わずジャミィルと私が突っ込んでしまったけど、ハルトヴィヒは苦笑しただけだ。
「殿下のところに一度伺いを立てたい。……情報を流すにも、許可を得なければな」
えええ、まーじでー?
断ってくれていいんですけど、むしろそのつもりだったのにどうしてこうなった……?




