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転生吸血鬼さんは地位向上を訴える!~決して悪い種族ではございません~  作者: 玉響なつめ
第三章 具体的には、何をする?

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 行方不明者、吸血鬼のせいだってよ!

 勿論んなこたぁない!!


 ……はずだ。


(いやまあ、私が知る吸血鬼と世間で言う吸血鬼には違いがあるからなあ)


 その違いについてこそ、私が周知してもらいたい事実だけど……それ自体(・・・・)がひいおじいちゃんに言わせれば人間族にとって納得のいかないもの、らしい。

 でも果たしてそうだろうか?

 前世の記憶を取り戻したことによって私の感覚や考え方は、どちらかといえば人間族よりだと自覚している。


 その上で、この世界における吸血鬼一族というものがなんであるのかを理解して、両親や親戚を愛している。

 彼らが理不尽な扱いをされることに、私は憤りを感じているのだ!


(まったく、騎士隊が役に立たないんだからしょーがないわよね)


 イナンナを家に送り届けて、私も寮に帰って時間を過ごしてからそっと外に出る。

 寮母さんっていう人はいないけど、管理人は基本的に私たちの世話をする人じゃなくて建物を管理する人って感じ。

 だから寮っていうよりもシェアハウスって感じで、料理なんかは共同スペースだから買ってくる人もいるし外で食べる人もいるから外出に関しては厳しいことなんて言われない。


 まあ、こんな状況だからね。

 明るいところを歩けとは言われたから、適当に返事しておいた。


(さあて、そろそろ良い子は寝る時間……)


 もう殆どのお店が飲み屋ばっかりになって、そこら辺に飲んだくれが転がり始める時間でもある。

 学生がご飯を食べに出るには、ちょっと遅いけどまあギリギリ? くらいの時間だ。


 とはいえ、私は食事が目的じゃあない。

 かといって吸血鬼騒ぎの元凶を捕まえることでもない。


 いや捕まえて簀巻きにして町中に放り出せれば一番だろうけど、私もそこまで荒事ができるのかって問われたら難しいと思うんだよね。

 吸血鬼っていうポテンシャルの高さを考えたら可能なんだけど、正直前世の記憶を取り戻すまでは引きこもり、そして取り戻してからは平和社会ニッポンの申し子だから……。

 実際に荒事を目の前にしたら、ビビって動けない可能性の方が高い。

 残念な子って言うな。


「さあて、どこ行こうかな」


「そうだな、どこに行くんだ?」


「……なんでここにいるのよ……」


 私は建物の影でそういった人たちが現れそうな場所を探しに出ていたわけで、基本的に大通りに立っていた。

 立っていたっていうか、歩いていたっていうか。


 勿論自分が危ない目に遭うかもしれない可能性を踏まえて、できる限り警戒はしつつ……ちょっと知り合いらしき姿が見えたけど、知らんぷりを決め込んで……と思ったら向こうから来るじゃないか。


 まるで私がどうするかわかってたみたいなその行動、怖いんですけど?


「いやあ、最近お前が変な動きをしてそうだって先生から聞いてね」


(カレンデュラ! あの野郎!!)


「ハルトヴィヒもそこにいるぞ」


「暇なのかな?」


 私に声をかけてきたのはジャミィルだ。

 そして確かに彼が指し示した方向に、買い食いしているハルトヴィヒの姿も……っておい何本手に持てば気が済むんだ、その肉。


「暇なわけないだろう」


「……お使い? それとも二人でデート?」


「なわけあるか」


 茶化してみるものの、どうやらあのエルフのせいで彼らは私が何かをしようとしているってことを察して見張っていたようだ。

 ちくしょう、あのエルフどうしてくれようか。

 あっちが年長者だからって能力値だけで言えば吸血鬼の方が強いって私、知ってるんだからな……!!


「私もただの買い物だよ。夜中にお腹が空くことが最近あってさ」


「へーえ」


「やあね、オンナノコの秘密を聞いたんだからちゃんと忘れてよ?」


「……で、本当のところは?」


 ハルトヴィヒとジャミィルの二人に囲まれると若干圧を感じる。

 とはいえ傍目から見れば学友がこの時間に買い食いして立ち話をしているように見えるからか、周囲も気にした様子はない。

 周りを見回せば、同じようなグループがいくつかあったからね。


 ここで私が何かしらのアクションを起こせば、周りの大人が助けてくれて逃げおおせることも可能だけど……それは悪手だ。

 今後の学園生活を思うならここは適当にお茶を濁すべきなんだろうけど、二人の雰囲気がそれを許してくれる感じでもないしね。


「……歩きながら話そっか」


「そうだな、マリカノンナの寮まで送ってやる」


 ハルトヴィヒには寮の場所もバレてるんだった。

 いやまあ隠しているわけじゃないから、寮生のことは学校に問い合わせたらわかるけどね。


「マリカノンナ、お前は一体何を調べている? お前は何者だ?」


 ハルトヴィヒの問いに、ジャミィルは無言だけど……視線がそれを訴える。

 私は二人を交互に見てから、ため息を一つ。


「私は私。マリカノンナ=アロイーズ・ニェハ・ウィクリフ。……決して悪いことはしてないわよ」


 彼らが私を心配してくれているのもわかっている。

 同時に、疑っていることも。

 まあそれは大半がカレンデュラのせいだけども。


「……私はこの事件、吸血鬼は関係ないってことを証明したいと思ってるだけよ」


 だから私は、今日の外出の目的について端的に述べたのだった。


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― 新着の感想 ―
[一言] いきなり王族の護衛2人とエンカウント!! あらまー。 出鼻をくじかれたのか、ここから共同作戦か。 犯人が吸血鬼じゃないなら「何者」が犯人なのかしら。 次回も楽しみにしてます。
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