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第一話

 とうとう! やってきました学術都市!!


 私が今いる学術都市は三つの国と接する位置にあり、自治区として登録されている。

 どのような人種であれ、宗教や身分を問わず、ただ学び人であれと言われている場所だ。

 とはいえ、そりゃ建前だけどね!


 だってそうでしょ、王族貴族がいたら平民は萎縮するし、宗教上相容れないことだってあるわけだし、とりあえず『表立って喧嘩するな』ってだけで平和な土地って意味じゃあない。

 

 なら何故私がここに来たか、それは至極単純明快だ。

 そう……〝どのような人種であれ〟って言っている段階でテストさえクリアしたら実は誰でも(・・・)入学できる。

 それこそ貧民と呼ばれこの世界では最底辺と位置される人たちでも、だ。

 生活費こそ出ないけど学業成績優秀者ともなれば学費は免除、学術都市が所有する寮への優先的な入居権、その他諸々優遇されるのだ!


 何故ならこの都市、この世界で最高峰の学府って話。

 まあ百歳越えの私なら楽勝だと思うんだよね。

 吸血鬼って長生きな分、知識欲とかはあるんだよ……知識欲っていうか、暇だから色んなこと学んじゃうっていうか。

 そのくせうちの両親だけじゃなく、他の吸血鬼もなんだけどさ……とにかく出不精なの。

 だから不健康そうな顔色して、コミュ力低めなもんだから知らない人を前にするとビビって思わず魔力放出して威嚇しちゃうもんだからこれまた誤解が誤解を招いて危険な種族と思われているんだよね……。


(はあ、先が思いやられる)


 当面、私も自分が吸血鬼であることを明かすつもりはないけど、まあ、おいおい?

 この学術都市で私が名を馳せて、有名人となった暁には『あれっ、吸血鬼って怖くない……?』と言わせてやろうじゃないかと思っているわけです。


 さて、それはまあ置いといて。

 私の最終的な目的としては、良いところへの就職。それである。

 何故ならやっぱりいっくら地道に『吸血鬼はコワクナイヨ!!』って宣伝したところで、国単位で端から端まで伝達させて納得させるというのは大変だと思うのよね。

 それならやっぱり国のトップから理解をしてもらわないといけない。


(魔法を使えば一発なんだろうけど)


 城に忍び込む?

 そんなの簡単よ!!


 でもそれじゃあだめなんだよなあ。


 とにかく私の目標は、吸血鬼全体の地位向上だ。

 優秀で、温厚で、役に立つとわからせて人間族とも友好な関係を取れるんだってことを知ってもらえればいいのだ。

 そうすれば遠い将来、私のように外に出て活動しようというレアな吸血鬼が困らないで済むはずなのだ。


 ……そんな子生まれるかなあ……。


 引きこもり集団なうちの親戚を思い出すと、ちょっとそれは本当に遠い将来すぎて自信が持てないけど。

 でもやらないことには始まらない。


「よーし、やったろーじゃないのさ!」


 マリカノンナ=アロイーズ・ニェハ・ウィクリフの名を学術都市の歴史に刻んでやろーじゃない!

 私は気合いを入れて、入試会場へと足を向けるのであった。

第二話は18時に投稿しますー!

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― 新着の感想 ―
[一言] マリカの外見情報に期待してしまいます。 美少女は良いものです。今は勝手な妄想してます。 城に忍び込むのが可能なのは、 変身魔法で蝙蝠になれるのかしら? きっと色々な吸血鬼能力が使えるのでし…
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