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青春代行課-七瀬七都木の青春救出  作者: ゆうま
ルートその1
5/66

#4

中間テストが終わった後の委員会

委員長が言い出した図書新聞の再開

それは反対多数のまま流れで可決しようとしていた


そもそも図書館新聞とは本や図書館に関するアンケートを取って結果を載せたり、新刊の紹介をしたりするものらしい


現状の理由は至って簡単なものだ


「この」


委員長が後ろから俺の両肩に手を乗せる


「七瀬くんが私と一緒にまとめ役をやるわ」


…聞いていない

やりたくはないけど、ここで余計なことを言ったり反論したりすると目立つ

それはもっと嫌だ

だから俺は黙る

俯いて黙って時間が過ぎるのを待つ

そんな俺には誰もなにも言わず、委員長に批判の声が殺到する


「少し手伝いをして遠くから見ている。それだけで「自分もやりました」と言えるのよ。それってとても良いと思わないかしら」


~~~


「委員長、聞いてないです」


「そうだったかしら」


「決まってしまいましたからやりますけど今後は相談して下さいね」


「ありがとう。よろしくね、七瀬くん」


笑顔が最強だと思っている女性に間違いだと教えてやりたい

俺が引き受けたのは決まったことをやらないと言うのが嫌だからに他ならない

相談されていたら全力で回避しようとした

…それを見越されただけかもしれないけど


「怒らないで」


「それは俺が怒るようなことを、したってことですか」


「目立ちたくない。そういう理由でなにも言わないことを分かってやったのよ。気付いているでしょう?」


「…だけど反省する気持ちはない」



「そうね。だって引き受けたのは…貴方よ」






                     ***






「夏休み明けから図書新聞を再開することになりました。記事のひとつにアンケートの集計結果を載せますので、アンケートに協力して下さい」


アンケート用紙を配っている間に不満の声があがる


「案外簡単!読みたい本に『人間失格』とか書いとけば、頭いいっぽくない?」


思わず小さく笑ってしまう


「花さんっぽい。でも人間失格ならあるよ。漫画で読む文豪作品、みたいなのもあるから、それから読んでみるのも良いかもね」


「漫画でも良いの?」


「本当になんでも良いわけじゃないよ。そうだな…ざっくり言うと「小難しい物語を漫画にした」。そんな感じのものなら大丈夫だよ。歴史を分かりやすく書いたものとか」


「そうなの?少女漫画書こうと思ったのに」


「それは…書くのは良いけど、入らないよ」


だけどクラス全員にやられると困る


「沢山の人が書いたら入るかな?」


「ここで曖昧なことを言うとみんな漫画のタイトル書くよね。委員長に怒られるから、止めてほしいな。それに実際問題、可能性はかなり低いよ」


これで漫画を書く数は減るだろう

というより減ってくれ

そうじゃないと作成する俺が困る


「んーじゃあ…七瀬のおすすめは?」


「それ書く気だよね。駄目だよ、ちゃんと自分で考えて」


「例えば?」


「もう、しょうがないな」


誘導になってしまうけど…


「ドラマや映画の原作でラストが違うらしいから少し気になる。だけど買うまででもない。なんて、ないかな?」


これなら文庫を書くだろう

それにある程度書く本がバラけるはず


「ある!」


「花さん、それはこっそり俺にだけ教えてくれるかな」


アンケート用紙をトントンと軽く叩く

こういうパフォーマンスは喜ばれることが多い


「分かった」


この会話の間に大体のクラスメイトは書き終えていた

回収してパラパラと見た内容に俺は思わずため息を吐いた

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