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青春代行課-七瀬七都木の青春救出  作者: ゆうま
ルートその1
4/66

#3

「急なお誘いに来てくれてありがとうございます」


「こっちこそ誘ってくれてありがとうデス。来てみたかったんッス、富士Mランド!N.Nさんのお友達、感謝ッスよ」


「可愛い女の子がそう言ったらもっと喜ぶと思うから、本人にも言ってあげて」


「承知ッス。…しかし、リアルで言われると照れるッス」


「おーい!七都木ー!」


遠くから戸部くんの声が聞こえた


「どこだろう…」


「あそこじゃないッスかね」


指す方を見ても俺には特になにか変わったものは見えない


「手を振ってるっぽいシルエットが見えるッス」


「じゃあそこに向かいましょう。違えばまた大きな声でなにか言ってきます」


「そうッスね」


歩き始めるとじっと見られる

…危ないよ


「そういえばお互い本名を言ってなかったッス」


「確かにそうですね。俺は七瀬七都木。改めてよろしくお願いします」


「だからN.Nッスか。自分は桜井明日香ッス。よろしくッス」


「以前からの知り合いに言うなんて、変な感じがしますね」


「七都木!」


背後から肩を掴まれる


「どこ行くんだよ!」


「ああ、ごめん。目が良いんだね」


「それは良い。早く女の子を紹介するんだ」


ブレないなぁ

いっそのこと清々しいよ


「ブレないね」


「分かりにくい場所にしたのが悪いって叱ったからよ」


「そうなんだ…」


「あれ…もしかして桜井さん?」


もしかして、という言葉を不思議に思うと、桜井さんは少し俺に隠れるようにして立っていた


「戸部さん、黄さん、どうもッス」


「桜井!それなら自己紹介の必要ないな!よし!行くぞ!」


「え…あの…」






                     ***



「だらしないわね」


「大丈夫ッスか」


「俺だって…弱くはないはずだ…!おかしいのはお前等だ!」


「そんなこと言ったってなにも変わらないから。ほら、座って」


「この状態で座ったら椅子が濡れるだろ!なんで俺だけカッパねぇんだよ!」


「途中でトイレに行くからよ。頼まれてないし」


「普通買っといてくれるだろ!」


「うるさいわね。ほら、ハンカチ敷いたわ。飲み物買ってきてあげるから、座ってなさいよ」


「悪いな」


「チュロスはなに味が良いかしら?」


「チョコをよろしくッス」


「俺はシナモンかな。よろしくね」


「りょうかーい」


何故か妙にご機嫌で歩いて行く

その手にはお洒落な花さんらしくない財布が握られている

もしかして…


「おい待て!その手に持ってるのは俺の財布だ!」


…やっぱり


「大人しくしておくのが吉だと思うよ」


「俺の野口~」


「諦めるッス」


「花!俺はカレー味だ!」


「また変わった味ッスね…」


…さっきは意図的に無視したと思うけど、今回は本当に聞こえていないと思う

それに、そんな珍しい味をリクエストされても困ってしまうだろう


少しの沈黙

戸部くんがなにか閃いたような顔をした


「ところで桜井。いっつも思ってたんだけどさ」


なんだか妙に真剣な顔をしている


「な、なんッスか」


「なんでいっつも同じところに寝癖ついてんの?」


戸部くんの頬に桜井さんの掌がヒットした


~~~


「お待たせ…ってなにこの空気」


「桜井さんの髪について質問を…なんていうか、神妙な面持ちで…したんだ」


「戸部、あんた忘れたの?去年あんだけからかわれた人よ?」


なんとなく想像はしていたけど、やっぱりそうなんだ…


「それが神妙な面持ちで話しかけてきたら真剣に聞こうとするわよ。っていうかアタシなら帰るわ。それが髪よ。ビンタで良かったわね」


「あ…そうか…。ごめん」


「犬のようにしょぼくれられると困るッス」


「え?俺可愛い?」


「寝言は寝てから言いなさい!」


またもや戸部くんの頬に掌がヒットした

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