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第98部

第38章 魔法の力


扉には何かつぶやいて結界を張ったようだった。

「さて、君達は、怖い思いをしてきたようだね。これを飲みなさい。すっきりするから」

差し出したのは、薄いレモン色をしたお茶だった。受け取り、そして、長見は聞いた。

「これは、何ですか?」

「これは、レモングラスだよ。さあ、暖かいうちにお飲み」

外では、警察のサイレンが鳴り響いていた。

「あのクリスタルを調べさせてもらったよ。あれは、普通のクリスタルじゃない。神の宝玉の伝説を聞いた事があるかな?」

「いいえ、何ですかそれ」

「遥か1万年前、神々がこの空間にはなった7つの宝玉で、それぞれの神の色を象徴とするものだったらしい。それらは、我が祖先のイフニ・スタディンとクシャトル兄妹により、元の神と一体化した。そして、彼ら兄妹は、エネルギーを司る神となった。今、この世界が成り立っているのも、彼らのおかげだって言う事」

「それとこれと何の関係があるんですか?」

「このクリスタルには、カオス神と言う神の力が溜め込まれている。その神は、今は9人いる神々の中で、最も位が高い。色は、透明だったそうだ」

「そのクリスタルが、これだと?」

「そう言う事…」

その時、ベルが鳴った。

「君達は、カーペットをめくったところにある扉の中に隠れときなさい」

バッとめくってみると、隠し扉があり、開けてみると、冷たい風が吹き抜けて行った。

「さあ、早く」

全員はいると、

「私が開けるまで、一切話さないで、それに、ここから出ないで」

そして、扉を閉め、不思議な言葉をつぶやいた。すると扉は緑色の光に包まれた。その上から、カーペットを載せる音がした。そして、足音が聞こえ、ドアが開いた事を知らせた。

「この中に、このような顔をした3人組が入って行ったと言う情報があって、その確認をしたい。入ってもいいか?」

「ええ、どうぞ」

恐らく警官だろう。たくさん入ってきたような感じがした。そして、10数分間、捜索し続けていた。カーペットをめくったようだが、なぜか、この隠し扉には気づかなかったようだ。そして、「この家には誰もいない」という結論に至ったらしく、全員帰って行った。そして、再び緑色の光が扉からした時、扉が開かれ、そして、外に出てきた。

「君達、本当に、魔法を学びたいのか?」

「はい。このクリスタルを使いたいのです」

そして、グランドールは少し考えてから言った。

「そうだな、君達の意志が固いなら、してみよう。このクリスタルは、初級レベルや中級レベルで扱えるような物ではない。上級レベルまで行く必要がある。その時間は、1ヶ月だ」

「俺達には、時間は山ほどあるんで、1ヶ月なんてほんの少しですよ」

「ハハハ、よくぞ言った。じゃあ、早速はじめよう…」


一ヶ月と言うのは、いともたやすく過ぎる。春が近づき、草木が芽吹く頃、ようやく、修行は終了した。

「さて、これで、中級試験までクリアしたわけだが、問題は、上級試験だ」

「どこが問題なんですか?」

「上級試験は、初級、中級試験のような閉鎖的空間ではなく、郊外に於いて、的確に魔力が使えるかどうかを確かめる試験だ。だが、今現在、その試験にちょうどいい物がない」

「どうするんですか?」

「大丈夫だ。そう言う時に備えて、魔法協会から助っ人を呼んでいる。第1宇宙空間魔法協会会長ゲツダン・ファウンドだ」

そして、床からせり上がってくるようにして、その人は現れた。

「自分が、第1宇宙空間魔法協会会長のゲツダン・ファウンドだ。これから、2週間以内に、私の魔力込めた宝石がこの惑星中に点在してる。その全てを回収する事。ああ、一般人には分からないように、魔法をかけているから」

そして、モデルとしての宝石をひとつだけくれた。

「それが、私の魔力だ。さあ、期限は2週間だ。それまでに、これを含む32個。全部見つけろよ」


長見達は、早速物見の魔法をかけ続けた。そして、1週間目にして、30個見つけた。

「あと、ひとつか。でも、どこにも見つからないな」

「エネルギーをたどったらどうだろう。だってさ、魔法だって、エネルギーの一種だろ?だとすると、エネルギーを出しているはずだろ」

「そうだな。そうしてみるか」

そして、エネルギー痕跡をたどっていった。


さらに1週間たって、期日の時間の3分前。

「ここだ!」

たどり着いたのは、会長が泊まっているホテルだった。

「あれ?ここって、会長がいるホテルだよな」

「ああ、つまり…」

「そのままたどって行ってみようよ。そしたら、分かるでしょ?」

ホテルの中に入り、なおかつ辿っていく。ホテルの人達には、彼らの姿は見えていないようだった。そして、とある部屋の前でその痕跡は吸い込まれるように消えていた。

「ここは?」

「会長が泊まっている部屋だね。この中に、最後の一個があるかも知れない」

「なかったら?」

「その時の事は考えないほうがいいだろうな」

そして、ドアをノックした。

「はいはい、ああ、君達か。どうぞ中に入りなさい」

「失礼します」

部屋の中に入ると、会長は扉を閉めた。そして、3人は、この部屋を探す事にした。

「忽然と消えた痕跡、空中を漂う微霊子、そこから導かれる結論…すいませんが、会長。この2週間、あなた以外にこの部屋に入った人は?」

「いや、誰一人としていないはずだが?どうした?」

とても、冷静な顔をしていた。

「あなたが、最後の一個を持っていますね」

長見が言った。翔平と佳苗は驚いた。すると、会長は、

「ハッハッハ。分かってしまったか」

そう言うと、着ていたスーツの上着のポケットから、宝玉を取りだした。

「これが最後の一個だ。どうやら、この試験、君達は合格らしいな」

こうして、3人は、上級魔法者試験に合格した。正式に、魔法使いとしての道も歩みはじめた。


「さて、まずおめでとうだな。この自分が教えた人は既に幾名いるが、君達は最年少グループだ。さて、これで、君達の最初の目標を達成する事が出来るな」

そして、グランドールは、どこからか、クリスタルを取り出した。

「さて、これは君達のものだ。返しておこう。それと、神の力は、強力だ。とりあえず、神に認めてもらうのが先決だな」

「分かりました」

「とりあえず、魔法本部に行くがいいだろう。太陽系第3惑星にある東京と言う大都会だ。そこに本部がある。紹介状を書いておこう」

すぐに、空中で書き上げた。

「これを、本部の受付の人に渡したらいい。その後の事は、君達でどうにかしてみたまえ。それと、これは餞別だ。受け取っときたまえ」

小袋の中には、特別なカードが入っていた。

「これは?」

「魔法協会の口座を使用するカードだ。君達も持ってもいいだろう」

翔平は、クリスタルを空中で隠し、

「これまでありがとうございました」

と礼を言った後、この家から出た。


「とにかくだ。この、第4銀河/12腕/173惑星系/第2惑星から、太陽系と言う惑星系まで行かないといけない。さてと、空港は、どこだっけ?」

「あそこのロボットに聞いてみよう」

佳苗が、長見達に、言った。道を挟んで反対側に、移動式2足歩行お掃除ロボット兼案内板がいた。

「すいませーん、空港ってどこですかー?」

ロボットは、掃除をしている手を止め、こちらに振り返り、滑らかに言った。

「空港は、この道をまっすぐ39ブロック行き、45丁目の交差点を右に曲がり、31ブロックいったところにあります」

そして、再びロボットは掃除を始めた。

「まっすぐ、39。45丁目を右。さらに31。だね」

「よし、空港から、行こう」

そして、彼らは歩き出した。


空港に到着したのは、それから3時間たってからであった。

「さすがに、行った事がないところって迷うものだね…」

「まあ、いいんじゃないか?とにかく、航宙機を見つけないと…」

そして、一番目立つところ、入り口を入ったところにある航宙会社に飛び乗った。


「すぐに席が取れたのはよかったね。この惑星と東京の直行便もあったし」

「えっと、老舗の会社だったはずだ。このエア航宙社って」

「今の社長は、あの、エア・アダムの直系の子孫なんだって」

「そう言えば、イフニ・グランドール会長の先祖である、イフニ・スタディンは、エア・イブと結婚していたんだって。それに、イフニ・クシャトルは、エア・アダムと結婚したそうだ」

「それって、伝説なの?それとも実話?」

「実話だよ。でも、イフニ・スタディンに対しては、さまざまな伝説があるからね」

その時、船が動き出した。


そして、彼らは、銀河間を重力勾配を利用した新しい方法で、実験的な方法であり、未だに完成されていない技術だが、「超空間重力勾配利用特殊航法」という方法で太陽系第3惑星に到着した。

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