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91.恋愛に疲れたウィリアム

ブクマや評価ありがとうございます。

全てを吹っ切って大事な人を守ると決意をした人の爽やかな笑顔。

「はあ、本当に君には敵わないや。愛しいという言葉の本当の意味が知れた気がするよ」

「愛しいですか…」

「ああ、愛しいだ。僕は君が愛しい。気づけば四六時中君の事を考えている。今日は君に会うつもりは無かったのに、君に声をかけられ、こんなにも舞い上がってしまう。こんなに我慢がきかなくなるのも全部、僕にとって君が特別だからに他ならない。君の笑顔も声も全てが愛しくて堪らない」

「ウィリアム様…」

「ウィルと呼んで。君と特別な関係になりたい」

隣に座っているライラ(主人公)の手をそっと取り、彼女の手の平を口元に持っていきながら彼女の瞳に目線を合わせる。

「君に僕の真実をあげる」



萌え〜と思ったのも束の間、ぶわっと冷や汗が出た。

何時も飄々としていたウィリアムの本当の心、それが落とせたと思ったあの時は本当にやったな!って思ったけど今は違う。

これは夢だ。きっと夢だ。いや、絶対夢だろ。夢だと思ったのに中々眼が覚めない。

ライラ(主人公)の耳に髪をかけ、顔を近づける。

まって、待って!唇が!後数センチで触れる―――という時に、ソファから落ちて目が覚めた。


誰得だよ…。


1日目の夜会が終わり、ギルの部屋に呼ばれてソファに座った僕は精神的疲労で少しの間寝てしまったらしい。よりによって、告白イベントの夢か。

愛ってなんだろ。


「ウィル…いくら私しか部屋にいないとしてもそんなところで寝るなんて行儀悪いぞ」

ソファから落ちた僕にギルが手を差し伸べる。

ギルの想い人の夢を見るなんて。申し訳ない気持ちになりながら、ギルに謝る。

「うん。ごめん……。それはそうと、1日目終わってどうだった?」

「どうって、色々な立場の人がいるので良い刺激になるな」

「メールスブルクの王女はどうだった?」

「ああ、お互いの国の話をしたよ。平和を維持したいという向こうの考えを確認できて良かった。この国が色々と抱えているという噂は恐らく本当だ。どこの国もそれぞれ大変だ。味方がいないとやはり厳しいと、そう感じた。私にはウィルがいてくれるからな。とても心強いとそう思った」

ギルが隣に座りこちらを見てはにかみながら笑う。

寝起きの自分には眩しすぎて、直視出来ない。思わず両手で顔を覆った。

「ウィルの方は舞踏会はどうだった?」

ギルが僕の方に話を振ってくるので、僕は両手で顔を覆ったまま答えた。

「社交としての意味では収穫ゼロ。凄いのに捕まった」

「はたから見ていたが、中々積極的なお嬢さんだったな」

見られてたんだ。思い出したかのようにギルがクスリと笑った。

「本当に参るよ……。どうして僕ってこうなんだろう」

ローザ・ラビエールにしろカトリーヌにしろ、僕に興味を持つ女性は個性が強すぎる気がする。個性が強いと言えばライラもか……。まあ、ライラは推薦状のために近づいてきてただけだから対象外として。

「ライラが聞いたらどう思うかな」

「笑うんじゃない?」

すごくいじられそう。考えただけで寒気がする。

「まさか。心配するんじゃないか?あんなに仲が良いじゃないか」

「あのさあ、ギル。ライラが僕の心配なんてする訳がないよ。絶対に」

常々思うがギルはどうも僕とライラについて誤解をしている。僕がライラに恋愛感情ゼロだという事はわかってるみたいだけど、どうもライラの方は僕に少なからず好意を持っていると思ってるみたいだ。前世のオタク仲間で嗜好が同じ、神作家として尊敬されている仲だとはとても言えないのでどう誤解を解いたものか悩ましく、強く否定することしかできない。

「そうだろうか……。まあ、いいが。……今もそうだが、最近、何を聞いてもライラならどう思うか、ライラならどうするか、考えてしまうんだ。今みたいな取るに足らない事でもライラと共有したい。ここは学園では無いので当然ライラには会えない。会えないと言うのは思ったより辛いのだな」

ギルもいよいよだな……。

ライラはどうせ今頃何も考えずに能天気に過ごしているんだろう。いつだって切ないのは恋してる側だ。

「またすぐに学園で会えるよ。あと2日、乗り切ろう。……そういえば、舞踏会でエレンはどうだったんだろう。何か聞いている?」

あの後、エレンとは話せずじまいだった。

何かを僕に話したそうにしていたエレン。エレンの隙を狙って話しかけようとするも、エレンが1人になることは終始なかった。

舞踏会終了後、エンデンブルグの王にエスコートされて退出するエレンと目があった。エレンは、今は無理とでも言いたげに首を横に振るとそのまま行ってしまった。少し元気がなさそうに見えたのは、疲れたからだろうか。

明日話せると良いけど。

「エレンには会えていない。身内贔屓の妹バカかもしれないが、エレンを放っておくような男はいないよ。話しかける隙ができる訳がない」

ギルが意味ありげな視線を寄越しながら言った。それを聞いて、僕ははあ、と溜息をつく。

まあ、そりゃそうだよな。どうするかなあ。

元気を出せと言わんばかりにギルに背中を軽く叩かれた。

その後、ギルとしばらく話した後、僕はギルの部屋を退出した。












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