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73.イラスト2

適当な空き部屋に入り、ライラの口を塞いでいた手を離す。途端にライラが大粒の涙を零し始めた。


「もう会えないと思ってたのに。嬉しい。嬉しい……うわーん!!」


ちょっ、ちょっと、やめて。やめて下さい。


「神様がいてくれたーああああ」

「ちょっと、ライラ大丈夫?」

涙の止まらないライラの頭をよしよしと撫でる。

「神様?神様ですね?」

「いいや、間違いなく、神様などでは無いよ。ウィリアムだよ」

「ステテコパンダ様……!お会いしたかったです。こんな所で会えるなんて。最後の新刊……あの時のウィリアム様の気持ち、ギルバート様の葛藤、落ちまで最高でした。至宝の名作。高いところに飾ってあります」

ライラはヒックヒック言いながら、何故か本の感想を語り始めた。高いところって何処だよ。

泣き止んで〜お願いだからと取り敢えず頭を撫で続ける。

次第にライラの涙は落ち着き、ぽつり、ぽつりと話し始めた。

「ステテコパンダ様の出す話が好きで、サイトやイベントには必ず行ってました。突然本を出されなくなったから、どうしたのかと。ここにいらっしゃったんですね」

時空を超えて同人作家とそのファンが出会ったのだった。

「……ライラ。そんなにファンでいてくれたんだね。嬉しいよ」

泣く程喜んでくれるなんて、よっぽどだ。素直に嬉しい。ファンでいてくれて、ありがとう。一生懸命作品を作ってきたかいがあった。

「何で隠してたんですか?」

「それは、ウィリアム様に転生したのに、前世でウィリアム×ギルバート描いてたなんて微妙過ぎるでしよう?」

「そうですか?私だったら、やりたい事全てやります」

ライラの顔が急に真顔になったので、僕は恐れ慄いた。

「……僕はやらないよ。期待しても駄目だからね。前世の事は秘密だし、僕達はもうウィリアムとライラなのだから。今まで通り、神様とかステテコパンダ様とかやめて、敬語もやめてね」

「……わかったわ。今まで通りにするけど、たまにギルバート様と絡んでもらうかもしれない。あのシーンをもう一度」

「や ら な い」

「……ステテコパンダ様とは呼ばないけど本の話や、サークルの話は良いわよね?それとギルバート様と、絡むまでいかなくともそれっぽいシーンをもう一度」

「……本とサークルの話も無しだ。それっぽいシーンって何だよ。絡みもやらない。僕は男に転生してるんだよ?もうそういう事は卒業したんだよ」

むすうとライラの頬が膨れ上がる。だいぶ涙も引いてきたみたいだ。



「何ですか?!こんなところでイチャついてはいけませんよ〜」

突然、僕達の背後から誰かが声をかけた。驚きのあまり、僕達は悲鳴をあげる。

「ひっ!」

見れば、ルノワール先生が廊下から僕達を見ていた。

「ルノワール先生」

良かった、ギルやルークやアルベルトじゃ無くて本当ーに良かった。

「お二人共、今が生徒会の会議の時間だって忘れてません?ウィリアム君を探しに行ったライラさんまでもが帰ってこないから、遂には先生が探しに来ました~。生徒会長がご立腹ですよ。早く行きましょう」

……そうだった。そういう話だった。またディーノから色々嫌味を言われるんだろうな。

「行こう、ライラ!」

慌ててライラに声を掛けた僕だが。

「そうね、ステテコパンダ様!」

ライラの返事に力が抜ける。

「……さっきの話、聞いてた?」

……もう、本当にやめてくれ。僕はライラにとんでもない秘密を握られてしまった。

僕の質問にライラは答えず、シシシと悪戯っぽく笑うのだった。



一方、何の説明もなく放っておかれたエレン。

その後、ウィリアムとエレンが再びケンカした事は言うまでもない――――


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