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67.後悔

2回目更新です

はぁーっ。昨日はまずかった。完全に大人気なかった。僕は子供か……と、止まらない独り言を呟きながら、にゃんデー制作のために手を動かす。


……やっと1体目の耳が出来た。やっぱり、生徒会の仕事と両立して作ると時間がかかるなぁ。


「お前は生徒会室を何だと思っているんだ」

ディーノの怒気をはらんだ低い声が落ちてくる。

「とにかく時間がないんだ。少しの隙間時間も無駄にできないんだよ」

手をとめずに答える僕に、ディーノが呆れたように言った。

「堂々と裁縫だなんて恥ずかしくはないのか?」

ディーノの疑問も、この乙女ゲームの世界では最もかもしれない。前世だったら、裁縫男子はそんなに珍しくもないと思うけれども。そんな事を考えながらディーノに返答する。

「ないない。確かに貴族の、しかも男がやることじゃないと思われがちだろうけどさ。創作活動は素晴らしい事だと僕は思う」


ソファに座ったディーノが苛立たしげに足を組み、揺れている。僕ほど時間に追われている訳でもないだろうに、何故あんなにも苛立っているんだろう。カルシウムが足りてないんじゃないか。仕方ない、生徒会室も使わせて貰ってるし。彼に癒しグッズをあげよう。


「ディーノ、これは秘密の物なんだが」

僕はディーノの隣に座りソファの背もたれに手をかけ、顔を近づけて小声で話しかけた。

「何だって言うんだ」

急に隣に来た僕に驚いたディーノは、顎を引いて僕と距離を取ろうとする。

僕は、じゃーんと効果音をつけながら、ふわふわの猫耳、うさ耳、犬耳カチューシャを取り出した。

「どれか一個あげるよ」

「は!??」

「これを好きな女の子に着けて貰えば癒される事間違いなし。好きな子いるんだろう?」


「お前、頭おかしいぞ!」

ディーノは真っ赤になって、椅子から飛び上がる勢いで大声をあげた。

「何で今の流れで、そんなものが出てくるんだ。此処を何処だと思ってるってそういう話だろう?」

「あんまりディーノが怒ってるから、苛々を抑える癒しグッズをあげようと思って」

「これを好きな女に付ける事が癒し?お前と話していると頭がおかしくなる」


ディーノは何の用事も済ませずにフラフラと出ていってしまった。手には犬のカチューシャを持って。

ディーノは犬派か、僕と一緒だ。




その後も生徒会室でチクチク手縫いをしていると、ギルやライラ、ルークにアルベルトまでやってきた。ギルは僕の姿を見ると、開口一番にエレンについて触れた。

「ウィル、エレンには謝ったか?」

「もちろんだよ」

「じゃあ、誠意が足りないんだな」

「誠意……」

「エレンがピリピリしているので、私も王宮の使用人も困ってるんだ。早く何とかしてくれ」

「ギルが冷たい」

僕が拗ねた顔でギルに文句を言う様子をライラがニヤニヤしながら眺めている。

「女と子供には逆らうべからずですよ」

「アルベルト、また来ていたのか」

「アルベルトはお姉さん2人と妹2人いるのよ」

ライラが手を挙げて発言する。

「いきなり、説得力が倍になった!」

「エレンも意地になっているから、文化祭当日に対決結果がでるまではこのままかもしれないが……」

ギルが困ったように呟く。

「勝負とはそういうものだ」とルーク。


元々のめり込むとちょっと熱くなっちゃう性格で、にゃんデーは誰1人味方してくれないから、意地になって言葉を間違えてしまったんだよ。

涙のエレンの顔がチラつく。泣かせたのはいつ振りだろう。参ったなあ。

文化祭の準備をするギルとライラに、それを手伝わされているアルベルトとルークを眺めながら、どうやってエレンと仲直りしようか僕は考えていた。

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