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6.親友の妹

ギルの双子の妹エレノア・ディア=アスティアーナ。

出会った時から好印象で気も合うギルとは違い、この双子の妹はちょっと気が強いところがあり初めはどちらかというと苦手だった。また、優秀な兄を崇拝している事もあり、兄と仲良くしようとする僕の事を毎回値踏みするように突っかかってくるのが気になっていた。


僕としてはギルと楽しく遊べる時間のが大切なので、事ある毎に兄についてくる彼女を面倒だと思いつつ、相手をしてやってた。


ある日ギルが城の裏にある洞窟に行かないかと誘ってきた。

洞窟の中をちょっと進むと、この土地原産の光る水晶がある。その光景はとても幻想的だ。僕達2人は暇を見つけてはここに入り普段から探検してた。この洞窟は、勉強や剣やダンスのレッスンから逃げて来るのに2人で使ったりもしてる。冒険心もくすぐられるし、秘密めいたところがとても気に入ってる場所である。

今日も空いてる時間が出来たのでじゃあ行くかと言う話になった。


毎回入る度に地図を作って、2人で顔を寄せ合い、ああでも無いこうでも無いとワクワクする至福のひと時。


その中で、一つ不満そうな声が響いた。


「もう、こんな暗いのは飽きました。早く外に出ましょう。水晶も見つからないし。」


・・・だから、来なけりゃ良かったのに。2人で出かけようとした時にばったり会ってしまい。女の子には危ないし、つまらないし、暗くて怖いからと散々話したけれど、この妹は「お兄様が行くなら行きたい。仲間外れにする気か」とついてきてしまっただけなのは先に言っておく。

もう一刻も早く出たいという表情を隠しもせずに拗ねる妹を見て、ギルが僕に提案する。

「うーん、やっぱりエレンにはつまらなかったかな?ごめんね。ウィル、僕から誘ったのに申し訳ないけど今日は別の事をしようか。」

自分の事より相手の事を心から気遣える僕の親友が、妹と僕の気持ちの間でとても困っている様子が見て取れた。


良いよ良いよ、ギルがそんなに悩む必要は無い。ここは僕が折れてあげよう。

「そうだね、元々、エレノアにはこんな危なくて暗いところ、似合わないんだよ。ほら、帰ろう。」

そう言って、岩を飛び越える為に手をエレノアに差し出して、出口へ促す。


「お兄様とウィルが、私に隠れてこそこそ楽しんでるのがいけないんです。お兄様はウィルがいなかった時は良く一緒にご本を読んだり、とにかくこんな所では遊びませんでした!」

おー、怒ってるなぁ何て思いながら、エレノアを見てるとエレノアの足元の石が突然崩れた。当然エレノアはバランスを崩し、運悪く隣にあったゴツゴツした岩の尖がった所を目掛けて倒れこんだ。うわっ、危ないって思った時には身体が動いてた。エレノアを抱えて、自分の方に引き寄せて、僕はおもいっきり、肩を打ちつけた。



少し意識が飛んでたらしい。

心配そうな双子の兄妹が、自分の事を呼ぶ声でハッと目を覚ます。目の前が2人の顔でいっぱいになってた。


「「ウィル」」「大丈夫か?」「ごめんなさい。私。こんなつもりじゃ。」心配そうな兄、泣きそうな妹。2人があんまり真剣にこっちを見てくれるから、打ち付けた所は痛いけど、何だかやたらあったかい気持ちになって、自然と笑みが浮かんだ。


僕はこの2人にこれ以上思い悩んで欲しくないので2人の頬を両手でそっと挟んで、「心配かけてごめん。エレノアが無事だったから良いよね。」って、言ったんだ。


それから罪悪感からか、僕への当たりが弱まったエレノアとは、ギルと同じくらい軽口の言いあえる友達になれた。元々、ギルの兄妹、お兄様好き同士、友達になれない訳が無かった。

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