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40.3人娘

避暑地という名に相応しく、ヘーゼル地方の別荘地には緑豊かな草原が広がり、時折サラサラと心地よい風が吹き抜ける。

息抜きにヘーゼル地方に行きたいとルークに話をしたら、伯母の別荘を自由に使っても良いように段取りをしてくれた。ルークも「クラブが1週間休みだし俺も久々にいこうかな。良い釣り場を紹介するよ」とのことで同行することが決まった。ギルと僕が旅の計画をしていると、それを聞いていたエレンも当然行きたいと言い出し、女性メンバーがエレンだけというのもエレンが気の毒なので、社交クラブのメンバーで特に仲の良いアリアナ、ミーシェ、マリアの三人娘も呼ぶことになった。ギルとエレンが行くならと執事のセグルスも来てくれる事に。中々の大所帯である。けれども、皆ウエルカムなルークは懐の広い奴だ。元々その別荘は王立軍の夏合宿にも使われているらしい。部屋は沢山あるとの事だ。


馬車も3台使って移動する。僕は何故かエレンのクラブの女の子達と一緒に乗る事になった。エレンは渋っていたが、女の子達がウィリアム様とご一緒したいとエレンを説得し、何やら言い含めたようだ。でも……というエレンを、「こちらは気にしなくて良いから」と言いながらギルが自分たちの馬車に引きずるように連れていった。


「この度は御同行させて頂きありがとうございます。学園であの様な事件があったのは残念ですが、夏休みが早く貰えたのは少し嬉しいものですね」

焦げ茶色の腰まである長いストレートの髪のアリアナが、はにかみながら話す。

「アリアナ嬢、ミーシェ嬢、マリア嬢、何時もエレンと一緒にいてくれてありがとう。エレンたら、学園に入る前は友達が出来るか悩んでいたんだよ」

「「「はい、私達とっても仲良くさせていただいてますの」」」

3人とも本当に嬉しそうに笑う。エレンは友達に愛されてるんだな。

「あら、ウィリアム様はエレノア様をエレンと呼んでいらっしゃるのね」

と話すのは薄いベージュのふわふわの髪のミーシェ。

「仲良しで良いですわ〜」と髪をおさげにしているマリアが言った。

「実は今回、友達としてウィリアム様がエレノア様の事をどう思ってるか調査したくて、ウィリアム様とエレノア様の乗る馬車を分けさせて頂いたのです」

「私達、ウィリアム様に以前優しくして頂いた事があるのです。それからウィリアム様のファンでして」

その時、馬車が悪路に入ってガタっと揺れたので、ぶつかって怪我しては大変と隣のマリアを支えた。

「やっぱりさり気ない優しさが素敵ですわ〜」

照れるな。話に戻ろう。

「調査?特に隠してる事は無いけど」

「堂々としてる所も素敵です」

「調査と言っても、エレノア様は何時もウィリアム様のお話をする時、とても嬉しそうになさいます。私達はウィリアム様からエレノア様のお話を聞きたいだけです」

3人が3人とも、好奇心いっぱいの目で見てくる。何だろう。少し不穏な空気だ。

「エレンの話はエレンに聞くのが1番じゃない?」

「噂話はお嫌いですのね。硬派で素敵ですわ〜」

「何でも良いのです!エレノア様の良いところを語って下さい。後は私達で想像します。私達はウィリアム様のファンですが、同時にエレノア様のファンでもあります。お2人の話を聞いて、にやにやしたいのです」


その時、ピンときた。


カップリング萌えだ。この子達は僕とエレンに萌えている……。


ちょっと、恥ずかしい。だがしかし、本人に萌えの素材の提供を願うとはこの娘達はなんと堂々としていることか。それに敬意を示したい。


「大した事は話せないけれど」


その後、馬車の中からは、

「きゃー」とか「やーん」とか「それ良い」とか「その話は本人に言っても良いですかか〜」などと、ワイワイキャイキャイ楽しそうな叫び声がひっきりなしに響いていた。


馬車が到着するなり、3人は外に出てエレンの元に向かっていった。エレンは3人に囲まれて何か言われ真っ赤になっていた。カップリング萌えの犠牲になっているのだろう。僕と萌えのネタにされて可愛そうだが、あの3人はエレンの事が本当に好きみたいだから、仲良くやって欲しいなと思った。


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