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39.ライラの行方

夏期休暇に入り、家の手伝いや家庭教師などの合間を縫ってギルと約束したライラ探しをする。まずはライラの家を訪ねる事にした。


ライラの家は王都で評判のパン屋さんで、小さな店内は人々で賑わっていた。この店のパンはフェラー商会を通じて学園にも卸されている。僕はパン推ししていたアルベルトを思い出した。ライラの家のパンを学園に卸して儲けさせてあげたいという彼なりの配慮があったのかもしれない。

「ときプリ」からの記憶だと、父親は元伯爵家だ。悪い身内のせいであらぬ罪を背負い、平民として今はパン屋を経営している。母親も元男爵だけど父親と一緒に平民暮らしをしている。母親の実家から援助の申し出は度々あるが、今の生活が好きな2人はそれを丁寧に断り暮らしている。ギルバートルートや僕のルートでは、ゲーム後半で父親を騙した悪い身内が捕まり、ライラの父親の無実が証明されて伯爵の地位に戻る。身分差が埋まることで結婚への障害がなくなり、無事にハッピーエンドになるという伏線をこのご両親が持っている。


ライラのご両親は、如何にもライラの両親といったキラキラの人懐こい笑顔で「いらっしゃいませ」と僕達を迎えてくれた。僕達がライラの友人でライラに会いに来た旨を告げると、ただでさえ人懐こい笑顔がさらに顔面中に広がったが、それはすぐに残念そうな顔になり、ライラがヘーゼル地方に行っていて暫く帰ってこないことを教えてくれた。どうやら学園の友人と一緒に友人の別荘に行っているらしい。少し会話をした感じでは、ご両親はどうやら学園での事件のことは知らない様子だった。


「ヘーゼル地方か。あそこは避暑地だから、今の時期丁度良いよな。ルークのおばさんがその地方に別荘持ってるって言ってた気がするよ。ルークに貸してくれないか聞いて見ようか」

「ああ、頼む」

次の目的地が決まったとギルと僕とで頷き合う。


「せっかく会いに来てくれたのに申し訳ないですね。せめてこれを持ってお行きなさい」

ライラのお母さんから貰ったのは、最近学園で売り出したくるみパンだった。

帰り道、ギルと一緒にパンを馬車の中で食べる。ふわふわのもちもちで、凄く美味しい。変な意地を張らないで、学園の学食に入荷した時に直ぐに食べれば良かったと思った。


「ライラと親交があってヘーゼル地方に別荘持ってるのって、エマ・リンネルかな?エマは毎年、夏期休暇の間は其方で過ごしていると聞いた事がある。ルークが別荘を貸してくれたら直ぐにでもヘーゼル地方に行って見よう」

「そうだな。ウィルはライラの友達とも話した事があるんだな。流石だ!」

……物凄くギルの言い方が引っかかる。けれど、僕は敢えて流す事にした。

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