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35/164

35.対決

場所は医務室。

僕はベッドに寝転がりながらライラが来るのを待っていた。


これから起こる恋愛イベントでは、医務室で授業をさぼっているウィリアムの所にライラが来ることで始まる。

授業に戻った方がよいとライラに促すウィリアムに対し、ゲーム中に表示される3つの会話の選択肢のうち、「ウィリアム様と一緒にいたい。」を選ぶのが正解だ。

すると、ウィリアムは「それは僕に口説かれたいと言っているのと同義だよ」とのたまってライラの腕を引いてベッドの自分の隣に座らせる。

そうして、驚いているライラに向かって「ほら、フカフカだろ?口説くというのは冗談だよ。ライラが可愛いのでからかってみたんだ。でも、授業に出たくないというなら、君もここでこのフカフカを堪能していったら?」と言って、そこで2人でのんびり過ごす。

恋愛段階初期の、2人の仲がちょっと進展しました的なイベントだ。

我ながら怖いくらいにセリフを良く覚えている。


僕は目を閉じると再びエレンが結んでくれた包帯にキスをした。

大丈夫、やれる。


静寂の中、ドアがカチャリと音を立てる。

ライラが部屋に入ってきた。

「ウィリアム様」

「ライラ嬢か。見ての通り僕はここでさぼりだ。放っておいてくれないか。君は授業に戻った方がいい」

「でも……私はウィリアム様と一緒にいたいです」


予想通り最適解を答えるライラ。

ライラのセリフを確認すると、僕はライラの腕を引きながら、ドア側に背を向けるようにして立った。ライラの退路を塞いで逃げられないようにするためだ。

その上で、頭の中で何度も反芻した言葉をライラに告げる。


「残念ながら、僕には効かない。僕は……君と同じ転生者だ。ゲームと同じようにはいかない」


ゲームの恋愛イベントとは違うセリフに、ライラの身体がこわばり、青い瞳が大きく見開かれる。驚いているのが分かった。だが、逃げる素振りはない。


「そう……。なるほどね」


ライラは大きく息を吐いて、長い間目をつぶっていた。そうして少し落ち着きを取り戻したようだった。

「どうりで……あなただけ上手く行かないと思っていたわ。私が転生者だということにも気がついていたのね」

ライラを掴んでいる腕に力をこめる。青ざめたライラの顔が少し歪む。

「ライラ嬢、君の目的はなんだ?何をしようとしている?」

血の気の引いた唇が戸惑いながら言葉を探している。

「私は……」



その瞬間、医務室のドアが勢いよく開いた。

「ウィリアム?!ここにいたのか。寮で生徒が倒れたらしい。気付け薬を持ってくるんだ、早く!」

ディーノの慌てた様子から、事態がただならぬ状態だということが伝わる。

ライラの方を見ると、ライラも何か感じたのか、僕の目を真っ直ぐに見て頷いた。

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