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33.ウィリアムとアルベルトの会話

「ウィリアム様、調子はどうですか?」

アルベルト・フェラーが最近良く話し掛けてくる。

学園に納入にくる際に僕を完全に狙って探しているのだと思う。かなりの遭遇率だ。


「学食のパンは美味しかったですか?」

「僕はお弁当派なので」

「弁当?」

この時代に弁当はあったのかな?乙女ゲームだからあったっけ?意味が伝わらなくても、打ち解ける気はないから良い。実際の彼ではなく乙女ゲームからの印象で申し訳ないが、彼と関わると学園がどんどん混沌としていくイメージなので、できることならなるべく関わりたくなかったのが本音だ。

それに、ここ最近のケガ続きで僕もイライラが溜まっている。

会話中に怪しい商品の手掛かりが出ないか色々試しているのだが、流石というか乗ってこない。

「用が終わったら直ぐに帰った方が良いと思うよ。怪しい物が学園に出回っているという話は以前にしたと思うが、あなたは特に疑われている」

「そんな情報、俺に話して良いのですか?」

「僕としては犯人に何故か辿りつけない状況の中、君みたいな怪しい人には学園から直ぐにお帰り頂き、被害者を増やさないようにしたい」

「怪しい、怪しいと。私は正規の業者で納入しに来てるんですって」

毎回会う度にこの様なやり取りをしている。良い加減面倒になるのだが、例え同じ答えを返しても彼は話しかけてくる。

「ときプリ」ゲーム中では、ライラがアルベルトと親密になると、フェラー商会に濡れ衣をきせた事件なんかも発生したはずだ。

言葉通りに、ここに長くいると今後のイベントで要らぬ容疑をかけられ困る事になるのを阻止しようとしてあげてるのに、どうも伝わらない。

「……単刀直入に言うと、何で、いつも僕にばかり話しかけるんだよ」本当は関わりたくないんだよ、という思いをこめる。


「それは、可愛い幼馴染が心配なので色々情報が欲しいからですよ。

ライラからは良く貴方の話を聞きますよ。

あんなにか弱くいたいけな少女を、なぜウィリアム様は警戒するのです?……貴方と中々仲良くなれない所為で彼女が貴方の事ばかり話すのが、俺は気にいらない」

アルベルトはにんまり笑って、僕の表情を伺っている。正直、何でアルベルトにライラと仲良くしろと言われているのかわからない。好きな女が他の男と仲良くならないのがそんなに気に食わないか?普通は逆だろう?幼馴染が心配という発言をした時の目は真剣だった。そこは彼の本当なのだろう。


「気に食わなければ、ライラ嬢に直接そう言うべきだ。少なくとも僕は彼女の思い通りになってやるつもりは無い。あなたがもし、ライラ嬢の事を大切に思っているのならば、彼女が何をするつもりなのか気にかけた方が良いだろう」


話はこれで終わり!と思った僕が歩き出そうとするとガシッとアルベルトに腕を掴まれた。

「お前は何を知っている?」


そこには焦った表情のアルベルトがいた。その表情からは今度ははっきりと純粋にライラを心配しているのが見てとれた。


「さあ?」と言うと、アルベルトに掴まれた腕を振りほどき今度こそ歩き出す。

わかったのは、アルベルトは完全にライラの味方で、ライラに関して何かを知っているという事だった。


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