24.男女の会話のすれ違い
「それにしてもライラさんたら何処へ行ったのかしら。」
「さあ?意外とギルと一緒にいるかもしれないよ。」
ギルの名前を聞いてエレンが盛大な溜息をついた。
「お兄様・・・。お兄様があんなに、その、・・・女性の好みが変わっているとは思わなかったわ。」
確かにライラはこの学園では相当浮いている。
「お兄様って、悪い女に騙されるタイプなのかしら。最近心配で。」
「完璧な男性ほど、自分に無いものを求めて悪女を選ぶという話もあるしね。」
僕もエレン同様にギルを心配している。ギルの元々の好みがライラみたいな女性なのか、ライラが乙女ゲームのヒロインだからなのかは分からないが、ギルはライラに惹かれている。
しかし、あのライラにはギルは渡したくないと思うのは、友人として当然だろう。はじめは応援しようと思っていたけれど、ルークやディーノ、僕にギルと、乙女ゲームの攻略キャラクターに尽く手を出している節操のなさ。
もしかして、ライラはオタサーの姫みたいな感じの女の子なのだろうか?
「あなたもよ、ウィル。この間の誕生日の件以来、あなたとライラさんが噂になっているもの。」
ああ、あれ、と今度は僕が溜息をつく。
「あんなに真っ直ぐに好意を向けられたら、ウィル・・・じゃなくて、一般的に男の人は、女の子のこと可愛いって思うもの?」
「まあ、そうだろうね。」
しかし、ライラの場合は親密度を上げたいって魂胆が見え見えだからなあ。
うん、やっぱり僕にはライラは絶対にない。むしろ訳がわからなくて怖い。
だけど、ギルだったら騙されるんだろうなあ。
僕の返事にエレンも何か考え込んでしまった。
「やっぱり素直な娘の方がいいわよね・・・。」
「その通り。人間素直が1番だよ。」
つい、ギルがライラに騙されている場面を妄想してしまった。
エレンが小さく溜息をつく。
僕もエレンも、つまるところはやっぱりギルが心配なのだ。




