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18.ウィリアムの誕生日

昨日の投稿3回に加えて、4回目の投稿です。

「ときプリ」では、各攻略キャラクターの誕生日イベントというものがある。このイベントを起こすには、そのキャラクターの好きなものを誕生日にプレゼントするしか方法は無い。


僕の前には、にこにこするライラ。

僕の手元にはおそらく僕の好感度があがるプレゼント。


「これは・・・。」

「ウィリアム様は今日、お誕生日だと聞きました。どうぞ貰って下さい。」


乙女ゲーム「ときプリ」には行動時間という概念があった。行動時間は、昼間、放課後、夜-パーティなど特別イベントは夜-の3区分だ。

どの行動時間で何を行うかはプレイヤーの自由だが、特定の時間帯にしか発生しないイベントや、特定の時間帯にしか選択できない行動がある。好感度あげのプレゼントはキャラクターと話せれば何時あげても良い。


何時あげても良いのだが・・・。

今、授業中で皆コッチをガン見ですけれども。


「今?」


と、思わず正直な感想が漏れた。攻略キャラクターの立場としては、確か貰ったプレゼントに応じて甘いセリフを吐かないといけない。いや、だがしかし・・・。ライラは首をコテンと傾けて話す。

「気にいりませんか?」

「(気になるところ)そこ!⁉︎」

いかん、思わず全力で突っ込んでしまった。

「どうぞ、開けてみて下さい。」

おまえ、まだ言うか。


動揺しすぎて、若干開けない方がおかしいのか?と思い始めた時、隣に座っていたギルがライラを止めてくれた。

「ライラ、早くお祝いしたい気持ちはわかるが今は授業中だよ。後にした方が良い。」

「でも。」

でもって何だ。でも、「ときプリ」は何時だって良かったとでも言うつもりなのか?

「私もウィルの誕生日は嬉しいんだ。ライラ、君と一緒だな。」

そうか、ギルも嬉しいのか〜とライラへのギルの言葉に感動しているとその言葉に納得したのか、ライラは自分の席に帰ることにした様だった。

「ではウィリアム様、授業が終わってからお時間頂けますか?」

「ああ、もちろん授業終わりであれば構わないよ。」

授業が終わった後、あのプレゼントをまた貰い甘いセリフを吐く、果たして出来るだろうか?

ライラの様子を見る為に暫くはライラの思う通りにしていこうと決めたばかりだが、初めからこれだと心が折れそうになる。

ライラは席に着き、ギルが暫くして僕に話しかけた。

「ウィル、本当は1番に言いたかったんだが、先にライラに祝われてしまったな。誕生日おめでとう。後でお祝いさせてくれ。」

ギルのちょっとがっかりした後ににっこり笑った時の破壊力。僕は悶絶しそうになりながら、了解と頷いた。


放課後、ライラから来るのを待ってるのも面倒なので僕から話し掛ける事にした。

ライラが裏庭にいったとライラの友達に聞き彼女を追いかけた。裏庭につくと、一瞬だがライラの側に人影が見えた気がするが、気のせいだろうか?

「ライラ、今良いかい?さっきの話しだけど・・・。」

「ウィリアム様、先ほどお渡し出来なくてすみません。お誕生日おめでとうございます。これプレゼントです。」

先ほどお渡しされなくて良かったと思いつつ

「どうもありがとう。早速開けても良いかな?」と答える。

「はい!是非。」

ライラからも元気な返事が帰ってきた。


箱を開けると、そこには、ウィリアム攻略用万年筆があった。確かに僕の好みではあるけれど。好感度アイテムとわかっていた物を貰うのが少し寂しくなった。だけど、僕の為を思ってくれたのは事実だよね?


「これはライラ嬢が選んでくれたのかな?」

「はい、ウィリアム様の事を考えて選びました。」

「そうか、選んでくれている間は僕の事だけ考えてくれたのかと思うと嬉しい。」

ライラの顎を持ち僕の方を向かせる。ライラのふっくらとした唇が眼に入る。親指でその下唇にそっと触れ、

「何か、お礼をしないといけないかな?」

と、首を傾け、僕の方を見ていると思われるライラと目を合わそうとした。

ちょっとやり過ぎだがスチルどうりだ。

僕は頑張った。

が、全く目が合わない・・・。顔を左右に振って無理矢理目を合わそうとするが、一向に合わない。

「・・・何で、僕の事を避けているのかな?ライラ嬢。」

「この展開を狙っていた事は確かなのですが、どうぞ続きはギルバート様に。」

「狙う??何故、続きをギルに?」

ぶんぶんと頭を振りライラは

「とにかく、プレゼントは気にいって頂けましたでしょうか?ウィリアム様!」と再び元気よく話す。

「ああ、ありがとう、使わせて貰うよ。」

ライラは次の言葉を待っているようだ。プレゼント渡した後は何だっけ?確かイベントはプレゼント毎に違ったと思うけど。万年筆は2人でお食事デートだったかな。・・・この後はギルがお祝いしてくれるっていうし行きたくないなぁ。

「ライラ、この後の事なのだけど、」

そこにギルがやってきた。

「ウィル、ささやかだが、君を祝いたい。生徒会室を確保してあるので今からこないか?」

ギルは一緒にいるライラに気づき、

「ああライラ、プレゼントは無事渡せたかい?良かったら君もパーティに参加しないか?」 とライラを誘った。

「生徒会室・・・。2人きり・・・。誕生日のお祝い・・・。うふふ♪」何やら不穏な雰囲気を出し、ぶつぶつ呟いている、ライラ。

「ライラ?2人きりではないよ。ルークもエレンもディーノもいるから。」

「皆、集めてくれたのか、ギルありがとう!ギルもこう言ってることだし、僕が言う事でもないけど、ライラ嬢も時間があれば来てくれると嬉しい。」

2人きりイベントが皆になってしまっても僕のライラへの好感度からはセーフだろう。

・・・残念。とライラの方から何やら聞こえた気がしたが、直ぐにライラは立て直したようで、

「誘って頂きありがとうございます。でしたら、一回寮に荷物をおいてまいります。少し遅れますが、必ずお伺いしますわ。」と言って走り出していった。


ライラがいなくなった後、ギルと生徒会室に向かう帰り道。

「ウィル、君はライラと仲が良いな。」

「?別に普通だけど・・・。」

「普通?私には距離が近いように見えたが、・・・すまない、実は少し前から見ていたのだ。ライラの唇に触れている辺りから!」

「⁉︎」

「もしかして、ライラと君は思いあっているのだろうか?」

ギルは意を決して思っている疑問を言い切った様だ。

スチル通りにしたかったなんて変な言い訳は通用しない。

「ないない!ないない!ギル誤解だよ!僕は何時もあんな感じだろう?」


・・・僕は屑か?


「ああ、そう言えばそうだな。そうか、誤解か良かった。」

ギルは誤解が解けて嬉しかったようで

「そう言えばそうだ、エレンにいつも注意されているものな。」と何回も呟き、その度に僕の心を抉っていくのであった。

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