あとがき
全ての身近な大切な人を失った方々へ。
こんばんは、佐之亜里須です。
いつもとは全く違う形式で始まりました、あとがきです。
この物語は旧盆の迎え盆(7/13)から、新盆の送り盆(8/16)に掛けて投稿しようと計画していました。
(旧のお盆は、旧暦の7月のお盆と8月の月遅れのお盆の2つを指す場合があり、紛らわしいと思ったことも一つの理由だったりします)
実際には色々と問題が重なり、今日のこの時間になってしまったことをお詫びします……。
あらすじでも説明した通り、このお話は命に関してのお話になっています。
生きるという事とは。
死ぬという事とは。
そして、命とは……。
そう言った命題を考えるにあたって、お盆という行事を無視して投稿するのはどうかと思ったので、このような投稿となっています。
・序章について。
主人公が人助けをして死んでしまう、というストーリーを考えていたので、自然とこのような流れになりました。
この時、地震の話題が流れていたころだったので、地震災害による被害だと不謹慎だなと思い、大雨による洪水に変更したのですが……。
よりにもよって大雨が西日本を襲ってしまったので、だいぶ不謹慎な始まり方になっています。
(実は去年の九州北部豪雨にも被っていたり……)
日常を忙殺され、手元に金銭もあまりありませんが、故郷が西日本にある自分に出来ることはやらせて頂きます。
・寺田晃の悲劇
実は一番時間がかかった話です。
特に二話目は苦労しました。
去年祖父を亡くした身ではあるのですが……。
どんなことが行われていたのか、また、どんな状況だったのか。
思っていたよりも記憶に残っておらず、悪戦苦闘しながら筆を進めていました。
また、作業用BGMを般若心経にしようかと、本気で悩みながら執筆していました。
・日比谷健治の心情
前話での苦労に引き換え、健治の場合は結構トントン拍子で書いていました。
彼は、人の生き死にを書くとしたら、その人の人生観も必要だと思った結果、生まれたキャラクターです。
晃が健治の抱えている辛さが分からないように、自分も健治の辛さは想像するしかありませんでした。
ですが、自分が知っている障害を持つ方は、皆一様に芯のある強さを持っていると感じています。
それは、生まれ持ったバッドステータスとうまく向き合って、ここまで生きてきたことによる強さだと、自分は思っています。
・安室孝の意見
想像つくと思われますが、自分がいた研究室の教授をイメージして作らせていただきました。
柔らかな物腰の方なのですが、しっかりとした考えをお持ちで心から尊敬しているので、この物語に少しばかり登場していただこうと思ったのがきっかけです。
案内人の姿が見えたこと、記憶が残っていたことに関しましては、ある程度お察しいただけるのではないでしょうか。
・丹山徹の挑戦
晃とは違い、死にかけたことで自分の歩むべき道を定め直したキャラクターとして徹先輩は誕生しました。
人は失敗や身の危険を感じることで学習し、時に本性を露わにします。
もちろん、本性を悪いものとして言っているのではなく、己すら知らなかった自らの性格を知り得る機会でもあります。
考えなしでいるのはよろしくないですが、成長のための逃避というものをこのお話で表現出来ていたら幸いです。
・柴田克正と麻衣舞の宝物
こちらも晃とは真逆に当たる、赤ん坊を主軸に置いたお話です。
盲目的な愛の話とも受け取れるかもしれませんね。
これは自分の個人的意見なのですが、お互いに相手のことを思いやっているのなら、どちらも盲目的な愛を持っていてもいいのではないか、なんてことを考えながら執筆したことを覚えています。
・満島橙子の後悔
晃よりも若く、不条理な死を遂げたキャラクターとして橙子ちゃんは登場します。
言いたいことは全て物語の中で言い切っているのですが、自らがいる環境が望ましいものではないとしても、周りに自分の味方が誰一人としていないとしても、自らが変わろうとしない限り、自分から変化を求めようとしない限り、得ようとしたものは手に入らない。
そういった戒めを込めたお話になっています。
・浅野満秀の遺言
橙子ちゃんの話と状況は近いのですが、幽霊が幽霊に会うといったお話を作ろうと思い、この物語となりました。
また、一話前の橙子ちゃんが年下の不条理な死であることに対して、満秀さんの場合は年上で逃れられない死といった違いもあります。
この回で晃の性格の要因だったり、子供の頃と今で、物の見方に大きな違いがあることも表現出来ていたならば良いのですが……。
・西村文乃の厭世
「そうだ、死を考えたことのあるキャラクターが登場したら、物語に深みが出るんじゃないか」
なんて安直な考えで産まれたお話ですが、なんだかんだで結構力を入れて執筆した物語でもあります。
今までが晃よりも晃と会ってきた人たちの心情だったりを掘り下げていたので、一つ前の満秀さんの話から段々と主人公の懊悩が増えています。
・椎葉結実の告白
愛なんて、結局はこういったものなのではないかと、恋愛経験皆無の作者が考えに考えて生み出したお話です。
一つ前の文乃ちゃんのお話もそうですが、恋や愛の話というのは、これくらいシンプルな形でもいいのではないか、なんて思いながら執筆したので、胸キュン要素など一切ありません……。
そういった展開を上手く表現できる方は素直に尊敬します。
・永井冬弥の懺悔
死生観のテーマである以上、助けられた冬弥くんの物語は外せませんでした。
本文中で晃が「笑ってほしい」と言っていますが、冬弥くんと本気で向き合い、そこでようやくいなくなる自分が、残される者たちに何を言ってあげられるのかを自覚することになるお話でもあります。
・寺田一家の幸福
幸せには色々な種類があるけれども、当たり前の日常で当たり前のように笑い合うことは、失った後に最も顕著に思い知らされる当然の幸せなのだと、このお話で表現しようと計画していました。
実際に読者の皆様に伝えられたかはさておき、書いている側としては、度々泣きそうになりつつも筆を進めていました。
聞いたことがある皆さんも、このお話を読み終えた後に、是非『Yesterdey Once More』を聞いてみてください。
今まで持っていた印象とはまた違った印象を持たれましたら、なによりも嬉しいです。
・寺田悠希の使命
今までの伏線回収回でもあり、先に亡くなった者が、現世で生きている人たちにどのような思いを抱いているのか思いを馳せたお話です。
基本的に死んでしまった彼女たちに救いなんてものは与えられません。
ですが、わずかでもその思いを晴らすにはどうすればいいのか、自分なりの回答を提示したお話でもあります。
・終章
色々と台無しですが、フィクションなので、都合のいい終わりを持ってきました。
ですが、亡くなった晃が生きていた証が人々の胸の内に生き続けていたように、誰だって誰かの心の中で生き続けられるのではないかと、自分はそう思っています。
そして、終わりを迎えることで、次の始まりへとバトンを渡していくことができると、いう意味を込めて、あのような終わりを選択しました。
・最後に
ここまで読んでもらってわかる通り、あとがきにあとがきを入れることが厳しいと感じたため、こうして一つの投稿文として投稿しています。
生と死という重たいテーマを扱ったからか、それとも一人称の物語だからか、はたまた主人公の年齢と自分の年齢も近いこともあったからかもしれませんが、回を重ねるごとにどんどん思い入れが深くなり、キャラクターの感情に自分まで影響を受けたりしていました。
あとがきを書いている今現在も、彼らの物語を二度と紡ぐことがない大きな喪失感に見舞われています。
ですが、書き切ったことに未練や後悔などあるはずがありません。
自分が伝えたい、描きたい物語を、晃たちと描くことが出来たことは、今後の自分の人生へとに繋がると信じています。
それでは、この辺りで筆を置かせていただきます。
読者の皆さま、閲覧のほど心から感謝致します。
できれば命について考えることになる機会で構わないので、たまにこの物語を読んでいただけたら幸いです。
それでは、またいつか。




