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『真っ青な嘘』と『真っ赤な嘘』  作者: ベータ版
1章 笑えない追憶
8/20

8話 のどかな青春

 追っ手がいないことを確認したうたいはポケットへと手を伸ばして、メールを送る。


 「こっちはもう大丈夫。いつもの河原で合流しよう」


 慣れた手つきで10秒とかからず打ち終えると、送信をクリック。

 すると、その2秒後に「了解」と書かれたメールが謡のケータイに届き、そのあまりの速さに苦笑する。


 「相変わらず、返信速いな」


 漆黒の空を見上げ、ひとりごちるうたい

 涼しげな風を浴びながら、待ち合わせの場所へと急ぐ。

 小川の心地良い音を聞き続けて、30分。


 ずっと走ってきたのか、ワンピースを着ていることも忘れ、膝に手をついて息を整えた今回の「救世主さん」は寝そべるうたいに、慌てた様子で近づくと。


 「それでーーーーーなんでこんなことになったのよ、バカ」


 到着して数秒後に聞こえたのは突然の罵声。

 どれくらいのアングリーレベルかを確認するため、慎重に彼女の青い瞳を覗くと、怒りの色が色濃く見え、完全に怒らせてしまったと悟ったうたいは苦笑いをするしかなかった。


 「どれだけ心配したかわかってるの?あんな目の前で捕まりそうなところ見せといて、一体どういうつもりよ」


 彼女の怒りの弾丸はあと何発込められているのか、想像したくもなかったうたいはとりあえず言い訳を試みる。


 「いや、だってTRUERトゥルアーだってバレちゃったみたいだし、ああするしかなかったんだよ。他にどんな手があったというんだね?」


 少しふざけて誤魔化そうとしたうたいは、まさに火に油を注ぐ結果を招いた。


 「どんな手があったというんだね?じゃ、ないわよ。あーーーもう捕まっちゃえばよかったのよ。それで後悔すればよかっただわ」


 シナモン色のセミロングを揺らし、両手を腰に当てて、本当は思ってもいないことを怒り任せにいってしまう綾瀬あやせかおる


 「ごめん、ごめん。言ってみただけだよ。とりあえず、今回の件は全部僕が悪かったよ。助かったよ、カオル」


 かおるは目を合わすのが恥ずかしかったのか、明後日あさっての方向を見ながら、照れていた。


 「そんな、お礼を言っても機嫌は直んないわよ」


 プイッとしている彼女は正直に言って可愛かった。

 もちろん、そんな恥ずかしいことを口にできるわけもなく、話を今日の収穫へとシフトさせた。


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