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『真っ青な嘘』と『真っ赤な嘘』  作者: ベータ版
1章 笑えない追憶
4/20

4話 勝利の布石

 5限目の物理が始まることを知らせるチャイムが耳に入った。

 慌てて教室に入り、自分の席について授業の準備をしていると、机の中に何やら見知らぬ手紙が入っていた。

 キョロキョロと周りを見渡し、密告者予備軍がこちらを見ていないか確認をとってから4つ折りにされた手紙をこっそりと机の下で広げた。


 「お前がTRUERトゥルアーだということはもう気付いている。もし密告されたくなければ7月8日午後19時に学校東の公園に来い」


 何だ、これは。

 竜司? なのか。

 いや、待てよく考えるんだ。

 手紙には書いた者の思念が意図せず現れる。

 だから、何かこの中にも相手を探れるヒントが隠れているはずだ。

 手紙と屋上での出来事について、ゆっくりと考えているといつの間にか5限の物理やホームルームはとっくに終わり、放課後になっていた。


 「おーい、九条くじょうくん。もう掃除の時間だよ。そこどいてくんない、掃除できないんだけど」


 「あ、ああ。ごめん。今どくよ。それより、ほうき蜘蛛くもがついてるけど、平気なの?」


 ひゃっと可愛く短い悲鳴をあげ、反射的にほうきを手から離した。


 彼女はクラスメイトの佐藤さん。

 特にあまり話したことはないが、考え事をしていた邪魔をされたのでその仕返しにたわいもない嘘をついた。


 もちろん、彼女は掃除の邪魔をされたのだから僕に文句を言う権利があることは言うまでもないが、こうもいろいろなことが起こると、冗談の1つでも言って気を紛らわしたくもなる。


 僕はいたずらっぽい笑みを浮かべ、教室から外へ出た。

 ガヤガヤとうるさい廊下を早足で歩き、1Fの下駄箱に向かいながら、今日の流れを考える。


 「7時までまだ時間はある」


 今、僕がやれることはこんなことぐらいかと、無造作にポケットからケータイを取り出し、1通のメールを送った。


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