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『真っ青な嘘』と『真っ赤な嘘』  作者: ベータ版
1章 笑えない追憶
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2話 TRUERの存在

 

ーーーそもそも、この現象が起き始めたのはちょうど3年前ーーー


 最初は頭の中で響いてくる声のようなものが一体何なのかさっぱりだったのだが、意外とその現象の起きる頻度が高かったせいで、嘘を見抜ける能力である事に気づくのにそう時間はかからなかった。


 そして、数ヶ月が経って世間をざわつかせる、ある事件が起きたのだ。

 その名もTRUERトゥルアー事件。

 TRUERトゥルアーというのは嘘を見抜く力を持つ超能力者をひとくくりにした造語だ。


 事件内容は名が知れたある政治家がメディアの前で、今までついてきた嘘を一人のTRUERトゥルアーに看破され、数々の汚職がバレて世にさらされたというものだ。


 当然、嘘を百発百中で当てるなど幽霊がいるのと変わらないくらいとんでもない話ではあるものの、その事件のTRUERトゥルアーは証言だけでなく証拠も握っていて言っていることが全部デタラメではないことを理路整然と証明した。


 どのようにして、TRUERトゥルアーが複数人いると気づいたのかは定かではないが、これではまずいと悟った政治家はこれ以上の隠蔽いんぺいがバレないように、1週間後の七夕たなばたに「ある法令」を出した。

 その法令はNEWSニュースで伝えられ、まず最初にTRUERトゥルアーとは何かについての説明があり、大々的に発表したのは、見つけた方に1億円を渡すことを約束するというもの。


 もちろんこれだけだと、ただ犯罪者を密告すれば懸賞金をもらえるシステムとそう変わらないはずだったが、それを悟られないようにするために、世間を揺るがす異例の一文がとって付け足された。


 内容は『見つけられたTRUERトゥルアーには、専門的な仕事をしてもらうので、1億円進呈する』

と言う一文。


 つまり、密告者もTRUERトゥルアーも「お互いに得をする」関係が成立するのだ。

 この事実だけを見れば良いこと尽くめな感じがするが、当時の僕はこれがどう見てもおかしいとすぐに気づいた。

 残念ながら、テレビ越しでは例の能力ちからは使えなかったが、簡単に推測する事は出来た。


 まず最初に思ったのは、なぜ2億も出す必要がある? ということ。

 TRUERトゥルアーに専門的な仕事をしてもらい、世の中を良くしてもらうという公表がもし真実であるならば、普通は1億で済ませるのが妥当だろう。

 例えば、政府にTRUERトゥルアーが来てくれれば、その場で1億円を渡すといえば済むことだ。

 密告など全く必要ない。

 しかし、そうしない理由はただ1つ。


 つまり、

「密告がなければTRUERトゥルアーは集められない」

そういうことだ。


 奴らもわかっているのだ、こっちにそんな嘘はすぐバレると。

 なんせこちらは嘘を見抜く専門家スペシャリストだ。

 だからこそ、あえてバレることも承知で密告の方法をとったのだろう。


 報告した者も報告された者も1億円ずつもらえる合法的な良い話がある、こんな美味しい話、一般人なら乗らない手はないだろう。


 何てったって1億という大金だ。

 目を皿のようにして探すに決まっている。

 自分の周りにいないか確認し、いなければ今までに心当たりがあるか思い出す。

 そうやって、世間一般人が自分の私利私欲のために動けば動くほど、TRUERトゥルアーは奴らの手元に簡単に集まるようにできているわけだ。


 「実に良い手だ」


 その上、奴らが僕らを集めてどうするかはTRUERトゥルアー事件のことを鑑みれば明らかだ。


 そして、2億円を支払うと発表してはいたが賞金をあたえる本人トゥルアーさえいなくなれば払う金額は実質その半分。

 ちゃっかり、大金の支出も抑えられる仕組みだ。


 「これから出来ることなんて、限られているだろうけど、やれることをやるしかない」


 まず思いつくのは、密告されないようにTRUERトゥルアーであることを今まで通り伏せることだ。

 当然、他人にバレればそこで終わりだ、とそこまで考えて、僕は青ざめた。

 緊急案件が1つ浮上したのだ。


 それまでに話してしまった人間はどうするか。


 一度話してしまった人間の記憶を消すことはできない。

 したがって、僕が選択できる方法は2つ。

 1つは今までこの能力ちからについて話した人間に密告しないように言い回ること。

 そして、もう一つは打ち明けた人間から離れること。

 どちらもやるとなると簡単にはいかない。


 前者はどうやっても口約束までしか持っていけず、裏切られることは覚悟しなければならない。

 後者は引越しということになるが、残念ながらお金がないため、いきなりの高飛びなどできるわけもなく、親に自分がTRUERトゥルアーだと打ち明けて説得するリスクさえある。


 親に迷惑をかけられるはずもない。

 結局僕の取れる行動は1つだった。


 今のところ、僕がTRUERトゥルアーだと知られている人間で思い当たるのは3人だ。

 正直多いか、少ないかを考えると多い方だろう。


 本当のことであるとはいえ、TRUERトゥルアー開口一番かいこういちばんに人の嘘を見抜けますなんて言っても信じてもらえるわけがないし、仮に信じてもらえたとして、一体誰がそのあとも話したいなどと考える奴がいるだろうか。


 まあ、それを考えれば、あの3人は変わり者であったのは間違いないだろう。


 自分自身のこれからのあり方を落ち着いて考えることが出来た僕は布団に入り、明日に備えた。


次の話は3人の中の1人と接触していきます。

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