新世界で猫の手になった
その割れ目に私は落ちた。
もちろん、私は叫んだわ。
にゃ…にゃんでーーーー!!!??
何処までも猫のキモチを忘れない。それが私。
パリンって、割れた世界が元に戻っていくのを落ちながら見ていた私は手を伸ばした。
その手は…猫の手になっていた。
ぼっすん!!!
なにか柔らかくて大きなふかふかのもののうえに落ちた。
ギッシギッシ ぽっくぽっく
木が軋む音と蹄を持った生き物が歩く音。
それに合わせて揺れる地面。
地面!?
っていうかなにこれ藁?
うっぷ!口に入るっぅ!
あっ、沈む…動くと沈む!!
ギッシギッシぽっくぽっくさせないでっ!!
ん?これって荷馬車っていうやつかな?
「じーさん、なんかおちたべか~?」
「はて~ばーさん、わしゃなーんもきこえねぇっべ」
暢気な声が聞こえてきた。
あ、荷馬車だね。おじさんとおばあちゃんが乗ってるんだよね。
うん、わかるわ~なんかすぐ想像できちゃう!
私は仰向けの状態からじたばたと藁のなかを僅かに見える青空に向かって泳ぐように進むとずぼっと顔が出た。
辺りは一面の麦畑。
丁度借り入れ時らしく半分刈られた畑もあったし、まだ青々と若葉が茂る畑もあった。
畑の先には黒く見えるほどの濃い緑の森、その無効には白くとんでもなく高い山々が連なっていた。
…スイス?
いや、イメージね。
ほら高い山=アルプスみたいな?
とりあえず日本じゃないよね?みたいな?
え?
ここ、日本じゃないよね!?
頬っぺたをつねろうとしたらモフぷにッってなった。
ナニコレ?
モフッぷにっ。
うわ~なにこれ!?
モフッってしてるのにぷにってしてるとか猫好きには堪らない!
ほんわーってなるわぁ…
いやいや、違うから。頬っぺたをつねるの、冷静になるためにみんなやるじゃない。あれよあれ。
モフッ…グサッ
痛っ!!いったぁい!!なんか刺さった!!え?爪そんなに伸びてたっけ!?
あわてて自分の手をみたらにゃんこの手がそこにあった。
やだ、可愛い~
どこの誰のおててにゃんだろ~?
白い毛にピンクの肉球なんて…
も~天使なの?
って、私。
私の手。
ふーーーー。
オーケー。
オーケー、オーケー、解ってるよ。
クールにいこうぜ?
そう、まずは冷静になろうよ。
熱いハートにクールな頭。
それが大事だよね。
うん。
猫の手借りたいなんて、私言ったっけ?
…言ってないよね。
うん、言ってないよ?
…
……
………嘘でしょ~!?
ゆめだよね!?
うたた寝しちゃってソファーから落ちてるだけだよね!?
…夢だよね!?
…ねぇ、夢だよね!?
おでこを押さえたらぷにってした。
いやーん、肉球~☆
夢だとおもったら…
夢じゃなかったーーーーー!!!!