表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒュウマンヴァンパイア  作者: またたび
1/1

プロローグ





「はぁ、はぁ・・」

走る、走る・・砕斗は必死に走っていた。    

 ただ我武者羅になにもない先に向かって、なぜこうなったかは分からない、ただわかるのは逃げなければ一生あの日常には戻れないという事実だけ、逃げた先に何があるのかは、わからない。もしかしたら意味のない逃避行なのかもしれない。そんなことを頭の片隅に考えながら、ただ先の見えない階段を下っていく・・・・




もう何時間走ったかわからない、もしかしたら数日走ったかもしれないし、数分かもしれない。周りを一緒に走っていたクラスメートはだんだん数を減らし、もう半数もいない。時期に俺の番がくる。その前にこの階段を下りなければ・・そんな焦燥感だけが渦巻いていた。



光が見える。階段の終わり・・

胸に希望がわいた。あれで帰れる、元の世界にお母さん、みんな・・

もう周りには誰もいない。 俺は生き残ったのだ、ただ一人、みんなには悪いけどそんな軽い罪悪感を感じながらも、全力でその光に飛び込んだ。















小森砕斗は吸血鬼だった。といっても物語のようなすごい存在では決して無い。逆に運動神経はくそほどもないし、血だって1年に1リットル程もあれば充分足りる。すごい吸血鬼になればコウモリに変身したり、あり得ない速度で走ったり出来ると聞いたけど、今の時代にそんな夢のようなやつはいない。ほとんどの吸血鬼は、とても弱い。得意なことは、音楽ぐらいなものだ。だから大体の吸血鬼は音楽関係の仕事について一生を終える。


まぁ、そんなこんなで小森砕斗は吸血鬼だった。あの事件までは・・






 月曜日の朝は憂鬱だ・・・朝起きるとそんなことを思いながら顔を洗い、歯磨きをする。朝ごはんはいつも食べない。とゆうよりこの家が朝ごはんを食べない家なのだ。


「母さん、歯磨き粉切れてるよー」

 自分が使うとなくなった歯磨き粉をゴミ箱に投げ捨てながら叫ぶ。そして、


「はぁー」鏡を見ながらため息をつく。


「なに、朝から辛気臭いため息ついてんのよ」

母さんが洗面所に入ってきた。


「朝から、こんな顔眺めたら自然にためいきでちゃうよ・・」


「自分の顔をこんななんて言うもんじゃないよ、青白い顔は吸血鬼なんだからしょうがないでしょ」


「母さんより俺のほうが青白い・・」


「・・そんなもん人それぞれよ、さあ、親に突っかかってないでさっさと学校行く準備しなさい。」


「はーい・・」

自分でもそんなことは分かってる・・だけどやっぱり人間に生まれたかったなー。でも、こんなっこと母さんに言ったら激怒ものだなー、そんなことを考えながら学校に行くしたくを整えていった。





ガラガラ・・

教室の扉を開けるとまずはじめに感じるのは明るくて、楽しいそんな空気・・そして、何秒か経つと、俺に気が付いて気味悪そうに、あるものは、ただ無関心に。共通点があるとすれば、「負」という空気が次第に充満していく。そして、その中でも俺の存在を喜ぶ者がいる、


「あ、ゾンビ君だ、」とうれしそうに5人の男子がこっちにち近ずいてくる。

ちっ、2分も早く学校に着いちゃった、あぁ最悪だ・・


「おはよう」軽く挨拶して、自分の席に向かおうとするが。そんなことさせてくれるほど甘くはない。


「おい、おい、ゾンビが何勝手にしゃべってんだよ」


「そうだぜ、ゾンビはこうやって這いつくばってればいいんだよ」

そういって腹を殴ってくる、

「(そう簡単にやられてはまるか、避けてやる!!・・)」なんてことは全く無理で、何の抵抗もなく殴られ、その場にうずくまる。


「うっ・・・痛い・・」 「(くっそー・・ほんとに情けないなぁー)」


「おい見ろよ、軽く殴っただけでこのざまだぜ、うけるー」


「やっぱり、ゾンビはこうでなくちゃな。」

「(くそ、5人で俺を取り囲んでなにがたのしんだよ!てか、周りの奴らもなに笑ってんだよ、心配そうに見てくれるやつもいるけど、助けないんだったら笑ってるやつらとかわんねーよ!)」と心の中でつけるだけ罵倒を吐く


「じゃ、次は・・」

そこでチャイムが鳴った。


「ちっ、まーいい、次の休み時間逃げんじゃねーぞ!」


「わかってるよ・・」

「(なーんてな、逃げるなといわれて、逃げないやつがどこにいんだよ、バーカ)」

そんなことを心の中でいいながらもやっと授業が始まることに喜びを感じていた。  なぜなら授業が学校生活の中で一番楽しいからだ、誰にもいじめられないし、自分の世界に浸れる、・・・・・・・・そうして本日はじめての授業を楽しむのだった。













 授業が終わりに近ずくと吸血鬼のというより砕斗の特殊能力《気配薄影》を使う。

 吸血鬼には、一定の割合でこういう特殊能力を持った個体が生まれる。砕斗もそれだった。別段、他の吸血鬼たちに特別扱いされるわけではない、ちょっとうらやましがられる程度だ。

 

《気配薄影》対象を周りから認識されにくくする。

 これが砕斗の能力だ、といっても認識されにくくするだけだし、近ずかれたり、注視されればすぐにばれる。こうやってこっそり逃げるときぐらいしか使えない。微妙な能力だ、

「(まあ、そこら辺の学生に使う分には全然問題なく逃げるはずだ、・・・たぶん。)」

 

最近これで逃げれているから大丈夫だろうと高をくくり、ゆっくりと、こっそり教室を出る。・・バンッ!!

後ろから思いっきり蹴られた、そのまま前に倒れてしまう。


「いたっ!・・って、え??」


「おい、ゾンビが勝手に逃げてんだよー」

「(見つかった!?なんで?)」


「毎回、毎回逃げれると思うなよ、」


「そうだぜ、いっつも知らない間にいなくなるけどさー、俺たち5人見張られてる中で逃げられるわけねーだろ」

「(まさか、能力使う前から見られてたのか、それも複数人に・・、そりゃー逃げらんねーな、てか、どんだけ俺をいじめたいんだよ。呆れてなんもいえねー)」


「まーそんなことはどうでもいい。まず、あそこ行こうか・・・」

ニターと笑うその顔は、悪魔以上だ・・

「(だがそんな簡単につかまらないのさ、つかむ力が弱くなった隙にドアに向かってダッシュする。)」


「ちっ、おい扉を閉めろ、」


「(ちっといいたいのはこっちだ、いじめっ子の癖に頭の回るやつだな、  くそ、逃げ場を失った・・こうなったら窓から逃げるか、・・いじめられるよりましだけど・・、2階とはいえ、こんなひよわな体で飛び降りたら、捻挫、もしくは骨折する可能性が高い。とゆうか絶対折れそうだ、でもいじめられるよりましか、骨折を理由に学校休めるかも・・・やるならはやくだ、


「やー、!!」教室にひよわな声が響く。 窓に手を掛ける。・・・


「ばんっ!」

結果は窓に頭を打った。


「だっせー、なんだよ今の(やー)だって・・ぶぶ」

クラス中が笑いに満たされる。笑わないで心配そうに見てくれる人もいるけど助けはない・・

 万事休すだ

 「(でも、おかしいな、窓の鍵は開いていたのに・・まあ、そんなことはどうでもいいか。今は気配薄影をつかっても意味がないし・・・・     くそっ、なんで、こんな・・吸血鬼にさえ生まれなかったら・・・)」


「ガタンッ」

突然、ブレーカーの落ちるような音と一緒に周りが真っ暗になった。

まだ、9時40分くらいで、思いっきり太陽が出ているし、カーテンもあいているから電気が消えただけではないのはよく分かるのが、何が起きているのかまったく分からず沈黙が流れる。


「な、なんだ・・」そして、一人のクラスメートのしぼりだすような声で、みんなが急に弾けたように騒ぎ出す。


「ねー、扉が開かないよ!!」扉付近にいたクラスメートが叫ぶ。  


しばらくすると、まっくらだった部屋がだんだん明るくなってきた、そして今度は元の明るさを取り戻してさらに明るくなっていく、


「うわぁぁ・・・」


目をつぶってすら明るいその光に声が漏れる・・

明るさがもう爆発するんじゃないかと思われたとき、

桜舞中学、2年1組は全員、「プツンッ」と頭の中で聞きなれない音とともに同時に意識が途絶えた。








 









目が覚めるとそこはまるで物語に出てくるような不思議な空間だった、後ろを振り返れば、終わりが見えないぐらい長い階段が宙にういているし、前を見れば巨人でも通るかと思うぐらいの巨大な門がある、その門には見たこともない美しいレリーフが施されていて軽く見とれてしまうほどだ、

 

「貴方も起きたのね、」


ぼーっと目の前の門を眺めていたらクラス委員の長瀬さんがはなしかけてきた。


「あ、はい、」


「何でクラスメートに敬語なのよ、にしても貴方は落ち着いているのね、普通ならパニックになってもおかしくないのに、」


くすっと笑いながらもその声には不安が混じっている、


「そ、そうかな、これでも驚いてるよ、パニックにならないのはまだ混乱してないのは何がなんだか分からないだけだよ、それに、それを言ったら長瀬さんだってパニクってなじゃん、」


実際、砕斗がパニックにならないのは母に連れられて人間味のない光景を何度か見たことがあったので少しは耐性が出来ているという理由もあるけどそんなことは言わない


「私は委員長だからみんなをまとめなきゃって理由をつけて感情を抑えてるだけで本当は不安でいっぱいよ、」

実際、長瀬さんは不安そうな顔や声をしているが、不安でいっぱいとゆうほどには見えない。


「み、みんなは?、どうなった?」

恐る恐るという感じで尋ねる。


「大丈夫よ。まだ全員起きてないけど、起きた生徒もはじめは混乱してたけど今は大体落ち着いているから」

あっけらかんとした感じでそう告げる。


「そ、そうなんだ・・」

あまりの事態にやっと頭も落ち着いてきた。


「こ、これからどうするんだ?」

自分でも他人任せだな、とは思いつつも聞いてしまう。


「そんなこと聞かれても困るわよ。といいたいところだけど、それはさっき起きてるメンバーだけだけど、話し合って決めたんだけど、やっぱりあの門の中に入るしかないんじゃないかと思うわ。」

肩をすくめながらそう答える。


「えっ、・・」

やっぱりと思う気持ちと、なぜ?、と思う気持ちが一緒に湧き上がってくる。


「だってそうでしょ、この状態で取れる選択肢は2つ。後ろか前だけ、そして後ろは先の見えない階段。いつ終わるかわからない運にかけるよりも、絶対何かあるこの門をくぐったほうが可能性はあるわよ」


そうだ、俺もそのことには気が付いていた。でもなぜか本能の部分ではけたたましく反発している感じだ。


「おう、小森も起きたのか、もうこれで全員起きたんじゃねーの?」

そう、馴れ馴れしく会話に入ってきたには体育委員の山中君だ。


「多分ね、これからどうするの?もう中に入るの?」


「あーたぶんな、どうせここで何話したって埒があかねぇ。どうせ入るなら早いほうがいいはずだ。」

手を頭の後ろにまわしてかきながらそういった。


「でもどうやってはいるの?」

おれは当然の疑問を口にした。


「あー、お前知らなかったんだな、ほら門の真ん中見てみろよ、丁度人一人は入れる隙間があるだろ?  ほんと、俺たちを招いてるかのようだぜ」


「まねいてるかのようじゃなくて、絶対あれ招いてるわよ」

茶々を入れながらも真剣な表情の長瀬さんにこちらも笑える雰囲気ではなくなる。


「そろそろみんなのところに行きましょ、たぶんはなしあっているさちゅだとおもうから。でそろそろ立てるこもりくん?」

その時やっと自分だけが座っていることに気が付いた。女の子は立っているのに自分が座っていることと、そんなことにもきがつかないほど自分がまいっていたことに両方のことで顔を赤くしながら立ち上がった。





みんなのところに行くとみんなは白熱した口論をしていた。

「ぜったいわなだろこれ、そんなことも気が付かないほどお前の脳味噌腐ってんのか?!」


挑発するような言動をするのは、俺をいじめていた5人組のリーダーの尾崎だ


「それは、十分わかっている。だけど、こんな訳も分からない階段降りたってなにがあるかわからないじゃないか!それにいつ終わるかわかんないんだぞ、途中でのたれじにする可能性のほうが高い!」


それに反発するのはよく教室の片隅でほんをよんでいた、、メガネの似合う・・・クラスメートその1、略してクラ1だ!


「じゃあお前がまず一人でなか確認して来いよ。お前が無事ならおれもはいってやるよ!」

また挑発した物言いで相手を煽る。


「っ!、、君はいつそうやって人を小馬鹿にしてっ!・・」


顔を真っ赤にしていまにも怒鳴りだしそうな勢いになる。


「あーちょいまち、ちょいまち、そんな慌てんなよ。入るなら全員一緒だ。そのために全員起きるの待ってたんだから。もし、入りたくねーなら入らなくていい。ただ、戻ってくると思うなよこっちだって命かけてんだ、そんなチキン野郎にかけてやる情はねぇ、」


体育委員の田中君だ、いつもは元気溌剌でみんなの中心で棘のあるような発言は全然したことがなのに・・やっぱりこんな状態で気がまいってるのか・・


「なんだと、だれがチキン野郎だと、、そもそも、なんでお前がリーダー面してんだよ、そんな、器じゃねーのによ、このわけのわからん状況で頭でもいかれたのか?、みんなで、あの門の中に入る~?、安中が罠だったら一網打尽じゃねーかよ」


ただのいじめっ子だと思ったらしっかり頭も働くみたいだなーなんて考えてたら尾崎と目が合った。「(やばい!!!)」と思った時にはすでにおそし、、尾崎は俺と目が合うなりにやーと笑うと


「おい!!、体育委員さんよー、俺にいい提案があるんだけど、」


「な、なんだ・・?」


さっきの言い争いで正論を返され少し萎縮している田中君が聞き返す。


「いやさー、みんなが反論しなくて、自分から偵察役をかって出てくれるいい奴に心当たりがあるんだけど。」


そういい、ゆっくりと俺に近づいてくる。そして、俺の肩に手を置き


「なあ、やってくれるだろ・・」


そのときの俺は完全に尾崎に飲まれてた、いままでのトラウマごときのいじめが俺の脳をぐるぐるまわり気が付いた時には頷いていた。


そして、おれは偵察役として門をくぐることになった。






よろー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ