ー最後と最期ー(康祐の目線から) ~前編~
それから俺は1歩も動かなかった。
2組が当てられないわけではなかった。
3人くらい当てられただろうか・・・。
そんなことでさえも今の俺にはわからなかった。
希望を失ったとかそんなことはない。
俺は今でもみんなで生きて帰りたいと思っている。
でも、理解不可能な現実にぶちのめされて固まっているのだ。
1組の残りはあと4人。
宮本は時より硬直したままの田淵をお姫様抱っこしながら移動したりしながら、確実に1組をつぶしていった。相沢のように倒れているやつも少なくない。
俺は不思議でしょうがなかった。
いつも笑ってておちゃらけキャラだったはずの宮本は今じゃ殺戮の天使だ。
「ひ、ひかっボールっ」
慶永が叫んだ。
宮本は諸ともせず難なくキャッチし力を入れて投げ返す。
宮本は田淵以外守らなかった。
他のだれがあてられようと関係のない、そんな表情をしていた。
「りーちゃん、大丈夫?もうすぐ終わるからね」
田淵に優しい笑みを向けると宮本はボールをとりに行き投げ返す。
周りはただ唖然としていた。
今まで見てきた宮本はいったいどこに消えたのか。
『地平線のかなた?かな』とでも言うのか。
もう、このドッチボールの勝敗は見えていた。
2組が生き残る。
複雑な気持ちのまま、俺はただ立っていることしかできなかった。
40話まであと一息です。
これからもお付き合いお願いいたしますっ!




