ー希望と絶望ー(康祐の目線から)
血しぶきをあげている宮本の肩がおかしいほどにはっきり見える。
それと共に聞こえる悲鳴はかき消されようとしている。
ただ、目の前で怒っていることが俺にはまだよく理解できなくて・・・。
理解しまいと逃げる俺と不思議でならない俺がいる。
さっき舞台の上の男は田淵の肩を狙ったのだろう、宮本がすばやく右にずれた。
もう、希望とか絶望とか感覚とか消えていた。
周りからは悲鳴が聞こえて・・・頭がおかしくなる。
かき消されようとする悲鳴に俺はなにも感じないように心を閉ざす。
目を閉ざす。怖い、現実が怖い。考えるのが怖い。
これから俺はどうなるんだ?って思うのも考えるのも嫌だ。
死にたくない・・・なんで俺らだけこんなめにあわなきゃいけねぇんだ・・・。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」
俺は断末魔のような叫び声をあげる。
人が死んだり血が出たりするとこをこれ以上見たくない。
銃声なんて聞きたくない。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌なんだ。
『パパァン』
直後銃声が聞こえた。
舞台の上の男は銃を上に向けて打ち鳴らしている。
「さぁ、みなさん!みんなで楽しく卒業式での鬼ごっこをしましょう・・・命がけで・ね?」
絶望に落ちたような目をしたやつ、悲鳴を上げるやつ、立ち続けるやつ。
いろんなやつがいるけれど、俺は思った。
生き残るやつが1人?そんなルール破ってやる。
1人でも多く帰ってくるんだ。
そう心に響かせる。
それと共に周りの黒いスーツの男たちは全員に機械付きのヘルメットを配る。
さあ、ここからはじまるのは鬼ごっこ。
ただのじゃない、命がけの・・・だ。
そう心に響かせて、母さんの声も顔も皆川の死も全部置いたまま俺はヘルメットをかぶった。




