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AIのある作品はお好き

作者: 空見タイガ

 この男を「傑作卿(傑作狂)」と最初に揶揄した者より傑物がいるだろうか。陰鬱な色をした薄暗い寒空の下、岬の断崖にそびえる古城のような別荘にて、広間と呼んでも差し支えない応接間のソファから滑り落ちた黄金崎(こがねざき)愛司(あいじ)はハアハアと息を吐きながら「ああん、この原稿もこの絨毯も傑作です」と敷物に頬をこすりつけつつ、原稿の束をそっとローテーブルの上に避難させた。

「敷物が優れているかどうかは踏んでも確かめられることですから、傑作のソファにお戻りになったほうがよろしいのでは」

 梯子高(はしごだか)明日美(あすみ)が恍惚状態の主人(ホスト)に声を掛けると「そうそう、ソファも傑作だったんだ……」と黄金崎は封印されていた大切な記憶を取り戻したかのように感慨にひたり、革張りのソファに這いあがって人としてあるべき姿勢に復帰した。

 黄金崎のさらさらとした金髪は繰りかえされた痴態によって乱れつつあり、部屋着か寝間着かで見解のわかれそうな長い丈のゆったりした薄灰の上着はしわくちゃに、つるつるとした生足をすっぽりと包みこむ白のもこもこスリッパは傑作の紅茶をこぼした染みでほのかに色付き、右手首を包むふわふわした袖は先ほど暖炉でやさしく燃えている火を傑作だと賞賛したせいでわずかに焦げていた。

 だが、彼はそれでも輝いていた。黄金色の瞳が対面に座っている明日美をいたずらっぽく捉える。

「いやあ、でもいちばんの傑作はあなたですよ。あなたはどこから見ても純粋にきれいだ。下から覗いてもきれいでしたよ」

「下から覗くのはいかがなものかと」

 覗きを疑われた黄金崎はどぎまぎして「あなたのしとやかなロングスカートとやわらかそうな白い靴下のあいだの狭さが好きなだけです」と弁解したものの、明日美の表情を見て取って「ぼくは広い家にしか住みたくありませんが、あなたの足首になら住んでもいいですよ」と慌てて付け足した。

 明日美はひかえめに首を横に振った。

「私は既婚者ですし、もう二十七歳です」

「いちばんおいしい時期じゃありませんか」

「まだ二十一歳、でしたっけ。高校生で起業し、その若さで複数の会社を経営して……年上のほうが話しやすいと感じるのも無理もないですね。それでも同年代とまったく話が合わないわけでもないでしょう。こんな僻地の断崖絶壁に引きこもっていないで、ご学友とスキーやスノボでも楽しんで交流を深めたらいかがでしょうか」

 不敵な笑みが黄金崎の引き締まった美しい口元からこぼれた。明日美は相手に悟られないように身構える。いったい何を考えているのだろうか。「梯子高さんの声帯からスノボという略称が出ると思いませんでした。ふふふ」何も考えていないようだ。

「朝の底冷えでね、胸が締め付けられるような痛みが走るんですよ。それで冬にはこうやって温暖な沿岸部でぽかぽかと寛ぎながら仕事しているわけです。同年代との付き合いはありますから、ご安心ください」

「理由が理由なので不安が増しましたが」

「論点をすり替えないでくださいよ、梯子高さん。年の差が何なんです。ぼくはあなたと初めて会った春のことを今でもベッドの上で思い出しますよ。

 文学に関する即売会、個人やら同人(サークル)やらプロやら企業やらが作品の展示や出品をし、文学を愛する同士らで交流を図るイベント……出店側は作家ごっこ、お店やさんごっこを愉しめる……即売会に出店できる余裕がある程度にひまな落ち目のプロが知名度パワーで行列をつくって自尊心を高めることができる……SNSで事前に築き上げておいた互恵的関係で自作の本を買ってもらう……表紙のデザインを外注することで見栄えを良くして商品として売る気満々の人もたくさんいる……ZINE(ジン)って同人誌をかっこよく言っているだけじゃないかと外野からつっこまれる……かの素晴らしいごった煮に一般客として参加したときに、ふと、あなたのブースが目に入りました。あなたが傑作的な胸部を持つ半袖ノースリーブ!!! の黒髪ロングな眼鏡っ娘(めがねっこ)だったからではありません。やはり、その、表紙がよかったですね。温かみのある素人丸出しのデジタルイラストとベーシックなゴシック体のフォントで記された五秒で忘れそうなひねりのない題名の表紙が。

 傾斜のついたディスプレイで斜めになっていた見本誌をじっと眺めていると、あなたはこう言いました。『愛のある作品はお好きですか』その言葉はぼくの心臓をつらぬき、激しい動悸を起こさせました。『愛のある作品はお好きですか』『愛のある作品はお好きですか』『愛のある作品はお好きですか』道を歩いているとき、業者がドラム型洗濯機の清掃をしているとき、足の小指をピアノの脚にぶつけたとき、鮮明によみがえってくるんです。『愛のある作品はお好きですか』ああ……なんて美しい響きなんでしょう」

「私の記憶では『愛のある話はお好きですか』だったと思うのですが」

 幸福そうにほほえんだ黄金崎は「だまらっしゃい」と首を左右にひねった。

「運命に導かれるように手に取ったあなたの御本はとても素晴らしいものでした。最近の社会問題を取り上げながらもユーモアとセンスにあふれた明るい調子で、最後にはそつがない伏線回収をして、愛のパワーにより哀れな支配者を倒し、すてきなほっこり終わり。キャラクターの魅力といいテーマ性といい、非の打ち所がない小説でした……それでぼくはあなたの活動を追うことにしました。数年前に更新が止まって本来なら最新記事のあるべき場所に広告がどかっと鎮座しているブログ、数年前に投稿が止まって今や怪しいリンクを連投するだけのSNSアカウント……ああ、ぼくは恋しくて恋しくてたまらなくなりました。会えないことが想いを強くするとはこのことでしょうか。奥付に書いてあった連絡先にアツゥイ感想をしたためてメールを五通ほど送っても、あなたの返事はメーラーデーモンとつれないもので、これは恋の駆け引きが始まっているに違いないと考えました。

 引いているのだから押すしかない。ぼくは秋の即売会にも一般参加し、真っ先にあなたのブースに向かいました。いざ現場に到着してみれば、ゆったりしたカーディガン!!! を着こなしているあなたのとなりに、ならず者然とした見知らぬ男が座っていました。なんだろう、この人は。下僕かな。ぼくがあなたに話しかけようと口を開くと、その男が割りこんできました。『よかったら立ち読みしてってください』彼が言いたいことはすぐにわかりました。おまえは立ち読みして去れ、俺はここにずっと座っているからな。そう、あの男はぼくを挑発していたのです」

「決まり文句ですよ」

「あの襟足まで伸びた髪、剃っていないひげ、あごをぽりぽりと掻く仕草のだらしなさ、清らかなあなたのとなりにふさわしくない不潔で不気味な男でした。ぼくはかっとなって『ありがとうございます』と見本誌を手に取りました。本当は見本を読むまでもなく買うつもりだったのに」

「読んでもいいんですよ、べつに」

「憤懣で暗く煮えたぎっていたぼくの心は、冒頭にさっと目を通しただけで晴れやかに澄みわたりました。いかなる傑作も、始まりから人をひどく惹きつけるものです。だいたい最初に読まれるとわかっている一ページすら精魂こめて書けない無能がどうして中盤や終盤に読者の期待を超えられるというのでしょうか……ぼくが興奮しながら『新刊を一冊ください』とあなたに声を掛けると、すかさず薄汚い男が価格を告げました。このやろうと思いながらも小銭をトレーに出せば、男は『まいどあり』とぼくの小銭を奪い、かわりにあなたの新刊を渡してきました。こんなことが法律で許されているのでしょうか」

「あなたは代金を払って売り子から頒布物を受け取っただけですよ」

「知人との馴れ合いをメインとする即売会の法に則って、ぼくもあなたに話しかけようとしました。ところが、またしてもあの男が『大丈夫ですか』と邪魔立てしたのです。不意を突かれたぼくは慌てて『大丈夫です』と答えてその場を去るはめになりました。

 ぼくは去りながらも横目であなたのほうを見ました……するとどうでしょう。あなたは件の男と楽しそうにおしゃべりしているじゃありませんか。ちくしょう、あんな学のなさそうな男の何がいいんだ。ぼくは嫉妬で胸が張り裂けそうになりました。しかし家に帰って読んだあなたの本が傑作だったので安らかな気持ちになり、絶大な人気と拡散力を誇るぼくのSNSアカウントに感想を投稿したい……べつにぼくの影響力を間接的に伝えたいわけではなく……知人の編集者にあなたを紹介したい……べつに感謝してもらいたいからではなく……最終的にあなたといっしょにお仕事をしたい……べつに合法的に会っておしゃべりしたいからではなく……と思ったんです。

 子どものときから考えていました。この世には傑作しかつくらない、傑作の人間が存在する。どんなに調子が悪くても、誰にも期待されていないのに勝手に命を削り出した凡人をたやすく凌駕する、神に愛された天才が。

 そんな傑作の作家だけを集めた出版社をつくりたい。傑作の画家に装画を頼み、傑作のデザイナーに装丁を頼み、傑作の印刷所に依頼し、傑作の紙を使って、単なる流通に乗せて本をお届けする。傑作はそうやって凡庸な書店から傑作の書店まで広がって、凡人から才人にまで手に取られることになる。世界が傑作に満たされるんです。これ以上に幸福なことはありません」

「ほんとうに傑作がお好きなんですねぇ……」

 明日美が困惑と感嘆の入り交じった感想を述べると、黄金崎はこれまでのうっとりした表情から一転、想いを寄せている女性に熱く語りすぎたことへの恥じらいと気まずさを含んだ、はにかみを見せた。

「ええ、そうです。ぼくは傑作が大好きです。傑作しか読みたくないし観たくないし知りたくないんです。駄作を視界に入れると脳がよごれるのでね。人は今まで摂取したもので完成します。だから素晴らしいものだけを摂取していれば素晴らしい人間になれる。うんちも輝く」

 傑作だけを摂取して出来たものがこれか……明日美は若き青年の行く末を案じずにはいられなかった。

 

 梯子高(はしごだか)明日美(あすみ)の懸念は正しかった。二年後、明日美はこみ上げる怒りを速度に変えて応接間のソファにズドンと座った。ふたり分の茶菓子をテーブルに並べた黄金崎(こがねざき)愛司(あいじ)は彼女のつむじから来客用スリッパまでしげしげと眺める。

「ああ、久しぶりの本物の梯子高さんだ。あなたから会いに来てくださるなんてうれしいですよ。ぼくは辛抱できなくて、あなたのインタビュー写真でアクリルスタンドを発注したところで」

「ところで知っていますか。最近、粗悪な小説が大量に出回っていて、特に電子書籍ストアの新着を埋め尽くしているのだとか」

 出しぬけの話題に黄金崎はにやりとして「やはりぼくたちは運命の恋人なんだ」とせんべいをすすり、あつあつのお茶をかじって悲鳴をあげた。

「あれはぼくが最初に仕掛けたんですよ。今では他社も参入して市場は混沌としていますがね」

「やっぱり! なんてことをしてくれたんですか」

「ぼくの頭は傑作でしょう」

「褒めていません。あなたは何がしたいんです。傑作を生み出すどころか駄作を生み出すなんて。しかもあんな大量に。あなたの大好きな傑作が埋もれてしまいますよ」

 黄金崎は明日美の剣幕をおだやかに見つめて「それはありえませんよ。傑作は傑作ですから」と涼しげに答えた。

「読者は小説に対して失望し、さらに優れた作品を探す気力がなくなります」

「あなたは駄作の多さを理由に傑作をあきらめて駄作を読むのですか」

「いえ、人におすすめを聞くなり試し読みをするなりで優れた小説を探すでしょうね。あるいは好きな作家の新刊を楽しみにするとか……」

「伝統的な出版社のメールマガジンを購読するとか書評を頼りにして読むとか」

 すでに疲労を感じてきた明日美がややふてくされた態度でうなずくと、黄金崎は満足げにソファにふんぞりかえった。

「そうですとも。傑作を求める人間が駄作の山を前に傑作をあきらめることはありません。これまでの経験と知恵と人脈によって傑作を手に入れようと試みるはずです。駄作によって販路が制限されるわけではないですからね。あくまで少し探しにくくなるだけ、埋もれてしまうだけ、手が届きににくくなるだけです」

「それでも傑作を愛するあなたが営利のためとはいえ何故……」

「いいですか、あの駄作群はですね、傑作がより傑作として大切にあつかわれ、尊重されるための踏み台なんです」

「駄作の作者だって人間ですよ。どんなに崇高な目的があろうと、あなたに作家を踏み台にする権利なんてないと思いますが」

「駄作の著者はAIです」

 明日美は若き青年の顔を見た。彼が傑作を鑑賞するときに見せる蕩けたまなざしとぶつかる。その視線をかわして観察する。二年の月日はもともと美しい彼の顔をさらに洗練させ、すっきりさせ、精悍にさせ――いや、と明日美は思い当たった。痩せて輪郭が鋭くなっているだけだ。

 硬直する彼女の内心に応えるように黄金崎は続ける。

「最初のほうは人間でしたけどね。やっとこさデビューしたものの大して売れなくて続刊を出せていない作家に、詳細なプロットを何パターンか提出させたあと、全ボツにし、連作短編日常系ミステリー……和風恋愛ファンタジー……なんかお仕事もの……なんか死ぬやつ……なんか表紙が青いやつ……なんかふつうにセックスしているライトノベルを書かせ、売れ筋のイラストレーターや実績のある装丁デザイナーに表紙の制作を依頼しました。読者のオールタイムベストどころか月間ベストにすら選出されなさそうな虚無本ですが、編集も外注の校閲者もいるので最低限の品質は保たれている状況です。これが第一段階です。

 次に電子小説の出版を始めました。電子でも新興でもいいからとにかく商業の仕事をしたがっているアマチュアに声をかけ、第一段階でボツにしたプロットを流用して書かせました。アイディアに著作権はないのでね。イラストレーターのランクはちょっと落とし、装丁も無名のデザイン会社に丸投げします。

 さらに新規の電子レーベルをつくりました。ここでようやく作家が生成AIに置き換わります。電子書籍ストアの人気ランキングからタイトルと概要を抜き出し、換骨奪胎という名の盗作によって企画とプロットを生成。他社から訴えられない程度にプロットに微々たる改良を加えてから本文を生成させます。表紙は趣味でイラストやデザインの依頼を受け付けているダンピング大学生を中心に頼みました。

 さて新規の電子レーベルを一挙に乱立させ、毎週のように各レーベルから新刊を発売するフェーズに突入です。表紙は第三者が思わず作家を哀れんでしまうほどの実力の持ち主にお願いしました。作家は実在しないのだから同情する必要はないですけどね。編集はお役御免に、校正もAIに投げて終わり。それにしても電子書籍のフォーマットは魔法のようです。支離滅裂なストーリー、どこかで見たような展開、読みやすいだけの凡庸でつまらない個性のない文体によって構成された完璧な駄作でも、電子書籍リーダーやアプリを通して読んでみると……駄作は駄作のまま。ネット書店では酷評のレビューが並びます」

 何も言えずにいた明日美がやっとのことで「当然ですよ」と口を挟んでも、黄金崎は続ける。

「電子書籍のみの作品は書店でパラパラと立ち読みできないですよね。図書館や知人から借りられないですし、中古だってありません。さらにストアの試し読みは得てして無料で読める範囲が少ないですからね。読者も少ないので著名な書評家が辛辣な批評を書くこともない。

 つまり販売ストアやSNSでの評価が購入の決め手になります。

 評価のほうは外部サービスで買いました。SNSでのステルスマーケティングも実施、賛否両論の形に持ってゆきます。

 すると『売れすぎたために本来のターゲット層以外に届いて低評価がついただけだ』と何も知らないし道理をわかっていないのに人より鋭い洞察をできると思いこんでいる一流のおばかさんたちが勘違いしてくれるんです。

 ストアのランキングも重要ですね。これは自社買いで増やせます。

 そうすれば『売れているのは何かしら良いところがあるから。なのに良いところを見つけられずにつまらないと断言するのは、そいつがつまらない人間だから』『人気作品を否定することでマウントを取っているだけだ』『ただの嫉妬』と物事を数字などの指標でしか判断できないのに人真似でフィクションを愛好するふりをして流行を表面的に追っているだけの化け物たちが擁護してくれます。

 あとは何も考えていない虚無たちが『not for me(私向きではない)でいいでしょ』や『好きな人がいるんだから嫌いだと書くのはやめよう』と誰かの何かを諳んじたコピペを投稿して良い感じになりますから。

 識者によるまともな感想や批評は『アンチ乙』の一言で封殺されるので気にする必要はありません。

 劣悪な小説に消費者の脳がなじんできたところで、最終段階です。AIでの校正すら省略し、表紙イラストもAI生成のものに置換し、一般企業での就労が困難な方々に低賃金でイラストの生成ならびに修正(レタッチ)してもらいました。

 電子ストアのサムネイルって小さいじゃないですか。だから大きく読みやすいフォントで題名と著者名を配置しておけば、イラストの不自然さをカバーできます。

 それでも注意深い健常者は騙されないでしょうし、AI生成の商業利用はどうのこうのと指摘され、インターネット上でも議論が起こるでしょう。しかしご安心あれ。炎上が起きても『反AIめ』『仕事を奪われそうになったイラストレーターの嫉妬だ』『AIのほうがクオリティが高い』と実写生成AI製の女性画像を使用したアカウントを本物の女性だと勘違いして性欲丸出しでつながろうとするようなホンモノが誰にも頼まれていないのに必死に反論してくれます。

 もし彼らが知能の差から健常者に秒で論破されそうになっても『ファクトチェック!』『反論して!』と自分に都合のよい回答が出るまでAIにすがっている姿を全世界にさらすことで、相手の健常者を『あっ』と黙らせて精神的勝利をおさめますから大丈夫です」

 一方的に事細かな説明を捲し立てることに熱中し、相手の質問を忘れ、言いたいことはすべて話し終えたとばかりに口をむぎゅっと閉じた黄金崎に、明日美は「あっ」と黙らなかった。

「いや、あの……やはり、あなたの傑作を愛するという理念からかけ離れているように思われるのですが」

 黄金崎の咳払い。貧乏ゆすり。くしゃみ。

「とんでもない。これは傑作の作家たちにとっての福音なんですよ。駄作が増えれば増えるほど傑作は希少になって価値が上がる。傑作を頭になじませてきた人たちは駄作では満足できませんからね。傑作を手に入れるためにお金を出し惜しみしません。何より傑作を求めるような人たちを想像してみてください。あなたの客層も今より一段とよくなりますよ」

「傑作を読んだことがない、まだ知らない、これから読むつもりだった子どもや若者はどうなるんです」

「親や先生に教えてもらえばいいんですよ。周囲の大人が知らなくても今はSNSがありますから。プロフィールやアイコンで若さや年齢をチラつかせば、自己評価が高くて他人を軽んじているのに実際の能力が低いせいで誰かを見下せるポジションに就けなかった痛い大人がシュバババとやってきて、自分の青春時代に流行していた小説を知る人ぞ知る良書かのように得意顔で教えてくれるでしょう。当時の流行りにのまれて読んでいるふりをしただけで本当はちんぷんかんぷんで、ブームが去った今では好きになったアニメの原作が小説でもコミカライズしか読まないような読書家、であれば最近の傑作はわからないでしょうけどね。それに教えられなくたって優秀な子どもは子どもだましの本では退屈して旅に出ますから」

「でも希少だという理由で価値が高まるのであれば、価格に転嫁されるはずです。子どもたちや貧しい人々は買えなくなってしまうのでは」

「小説は生活必需品ではありませんよね? だから魂の安い人たちは安価で安易な小説で楽しんでもらって、魂は高潔であるけれどお金のない人たちは消費に優先順位をつけたらいいんですよ。抹茶味のスイーツや甘いチョコレートドリンクのようなご褒美をあきらめていれば金は自然とたまります。余るほどお金のある人間だってすべてを手に入れているわけじゃない。時間や体力に限界がある以上、かならず取捨選択をしている。だというのに貧乏人があれもこれも欲しがるなんてばかげているじゃないですか。期間限定のフラッペをがまんすれば本ぐらい買えますよ」

「フラッペを飲みながら店内で読書したい人たちだって」言っている途中で明日美は後悔した。フラッペを我慢して家で読書すればよいのに……「います」

「それに粗悪なものを粗悪と見抜けない者に良質な作品を届ける必要があるでしょうか。性的な想起ができるものにしか興味を持てない、集中力を保てない、努力できない駄作に傑作を与えても佳作にすらなれやしないのに。

 彼らを相手にしてもよいことはありません。どんなに工夫を凝らして書いた新奇の発想も無視され、女の裸やセックスシーンに負けます。練りに練った設定やページをめくる手が止まらない面白いストーリーも、主人公が褒めそやされる安全安心安定の物語には劣る。

 信じられないでしょう。新しいものを読むために新しい小説に手を伸ばしているのに、新しいものは読みたくない人たちがいるんです。新しいものを処理して理解するだけの頭がないのに読書をした気になりたい人たちが。

 あの人たちは校正された物語すら求めてない。イラストのない小説であればすけべな場面だけ、イラストのある小説であれば表紙と挿絵とすけべな場面しか目を通していませんし、何ならコミカライズしか読みませんし、その漫画だって無料で読む手段を探して読みますから」

 明日美は家に帰りたくなってきた。

「はあ、そうですか。まあ、あなたにとっては傑作のためなんでしょう。でも行き着くところは営利目的ですよね。傑作に富を集中させたいわけだから。でもそれはあなたの本意でしょうか。粗製濫造により市場を混乱させ、結果的に読者を分断するような行為が、本当に傑作のためになるのでしょうか」

「やさしい梯子高さん! あなたがどんなに胸を痛めても格差はどうにもなりませんよ。環境や社会がどうのこうのなんて後付けの言い訳です。だってお金持ちの子どもはかならず優秀ですか? お金をかけた子息はかならず最上位の学校を卒業できますか? そう簡単にはいかないのです。何事も上限が決まっているのでね。環境もお金も限界を知る手助けをするだけ。もし上限が早押しクイズ界の人気者であれば、いくら良書を読んで学んでも早押しクイズ界の人気者にしかなれません」

「ああ、わざと論点をずらしているんですね……あなたのやり方によって潰される方々もいると思いますが」

「生成AIを利用して作家になろうと夢見ているワナビ(want to be)のことでしょうか。ボクちんは素晴らしいアイディアを持っているのに最高のシーンとシーンを違和感なくつなげる描写が思い浮かばないせいで傑作を完成させられない――彼らがシーンのような大きな塊ばかり思いついて流れるように物語を展開できないのは端的に言うとパクリだからです――それでも生成AIを利用すればその素晴らしいアイディアが具現化されてプロになれる、そう夢を見ている哀れな人たち……どうして素人でもできることで出版社が金を払わないといけないのでしょう。障害者に買い切りで外注したほうが安く済むじゃないですか。

 だいたい消費者だって買いませんよ。本当に想像力がないんだから。自分が書きたくないところや思いつかないところを生成AIに頼んでラクしてタイパよく完成させた小説にあなたはお金を払って時間を使って読むんですかと。買わないでしょ。無料でいい。何ならタダでも読まずに自分でつくっていい。

 人は完成品にお金を払っているわけではありません。小説に限らないですけどね。もし作品そのものに価値があるなら本物にそっくりの贋作にも本物と同じ値がついてよいはずです。ではプロセスが評価されて価値がつくのか。残酷なことにそれも違います。いくら努力して時間やお金を掛けてつくられていても商品価値のないものは存在しますから。

 なぜ作品にお金が動くのか。それは作品の出来から透視した、作り手の将来性(才能)に投資しているからです。作家の想像力、知性、集中力、努力、根性をひっくるめたストーリー性によって感動し、新しいものを生み出せる天才主人公に世界をもっと善くしてもらいたい、その先を見たいという願いがお金を集めるのです。

 想像力もなければ物事の本質もわからないゴミに素晴らしいアイディアは思いつきません。どうせ頭の悪さからくる自惚れ、あるいはAIに自分の原稿を読ませて『褒めすぎだと思うから信用はしていないけど』と謙遜のふりをしつつAIからのでたらめな絶賛を真に受けて増長しているだけです。

 つまり最新のテクノロジーによって持たざる者が実力をマシマシに偽っても、即興の対人コミュニケーションではごまかせませんから『あれ、作品の出来のわりに頭の出来が悪いな』と即座に見抜かれておしまいなんです。消費者も出版社も福祉ではないので」

 若さを通りこして幼さを感じさせる青年の屁理屈に、明日美は右と左のこぶしをほぼ同時にぐっと固めた。なんて生意気な言い草なのだろう。まるで生成AIを利用した創作に活路を見いだしている人はみな障害者と言わんばかりに。あんまりだ!

 しかし良い反論が思いつかず、明日美は手をゆるめた。

「いえ、あの、私が想定していたのは、すでに作家になっている方々のことです」

「ん、まあ、潰される作家もいるにはいますね。書きたいものや伝えたいものはないけどお金や名誉のためにジャンル小説やら二番煎じやらを書いている作家は生成AIでの大量生産によって淘汰されるでしょう。

 でも彼らが生計を立てられなくなって誰が困るのでしょう。もともと存在しなかったほうがよかった人たちですよね。新規性も創造性もない粗製濫造で何かを成し遂げた気になって。彼らがやったことは市場を荒らし、それこそ読者を失望させたのみ。型どおりの作品には情熱も思いやりも温かみもありません。

 まったく泳げない人間が水泳選手を目指した結果として餓死しても同情しませんよね。でも同じことじゃないですか。創造性を持って生まれてこなかったのに作家になろうと決意したことが罪だった。今からその罰がくだるだけです。影響だけ与えられて、何の影響も与えられなかった者が死んだところで誰も困りやしませんよ」

 明日美は右と左のこぶしをほぼ同時にぐっと固めた。

 ゆるめた。

「初心者が創作を諦めるようになれば未来の作家が育ちません」

「べつにいいじゃないですか。死後のことは」

「あなたには愛がない。あなたのようにひとりよがりで自分のことしか考えられない人間に創作や創造の何がわかるんです」

 愛、愛のある、愛のある作品は……と黄金崎は小声で美しい思い出を呼び起こし、仰向けになった子猫のおなかが上下に動くのを観察するときの目つきで明日美を見つめた。

「愛のことなら知っています。神に愛された作家は生成AIに屈することなく書き続けますし、愛されていなければ消えるだけです」

「そういう極端な能力主義があなたの限界を示しているんです」

「その限界のなかで生きてきたんじゃないですか」明日美が息をのみ終える前に黄金崎は継ぐ。「生活必需品ではない作家の空想(フィクション)に価値が見いだされるとき、高く買われているのはあなたの能力では」もはや反論の隙さえ与えられずに。「能力によって生計を立てている人が能力主義を否定してくるとは思いませんでしたよ」

 そして明日美は完全に黙る。

「偽善者になってしまうのも無理はありません。あなたはあの男をかばっているんだ……ぼくが計画を思いついたのも彼のおかげなんですよ。書が万人に開かれているせいで、共通の趣味が生まれ、本来なら階級の異なる人々が知り合うようになってしまった。

 ぼくだけが憂いているとは思わないように。ぼくの知人は求職者をふるい落とす適性テストシステムをつくりました。というのも従来の検査や面接には大きな欠点がありました。いるだけで企業に災厄をもたらす者が、暗記や練習などの姑息な手段によって有能な人材に擬態をし、まんまと内定を得てしまうのです。そこで新テストの出番です。内容はとてもシンプルで、パソコンの画面に表示された動画や写真が本物か、AI生成された偽物かを解答させます。デマ動画を真に受けたりAI美女に発情したりする化け物には正答できないとわかるでしょう。動画や写真は毎回変更できるので事前対策もできません。記憶力の良さから進学や資格試験まではなんとかカバーできた人たちを絶対に入社させない画期的なテストとして注目を集め、すでに多くの企業から問い合わせが殺到しているそうです。

 ぼくに感化された後輩は他社サービスでの購入履歴や視聴履歴を連携して表示できるSNSを考えています。今は違法ダウンロードや違法視聴などの不正な手段で作品を知った人、あるいは触れてすらいないのに物知り顔で語るエアプ(エアプレイ)が正当なファンのような顔をして存在していますが、各種サービスとの連携を行うことによって、コンテンツに金を出すことのできない貧乏人や怠惰なエアプはコミュニティに参加できなくなります。このSNSが実現すれば、複文を読める人間が複文を読めない人間から話しかけられることのない、素晴らしい楽園ができるはずです。

 そうそう。あなたはご存じない分野かもしれませんが、ぼくは既存のウェブ小説投稿サイトにも仕掛けていました。一発逆転を目論んでいる純粋な人たちをターゲットに情報商材を売りつけ、AI生成の小説を各サイトに投稿して広告収入の還元を狙うように誘導したのです。おかげでどの投稿サイトでもAI生成による小説が一日に数千も投稿されるようになりました。

 自力で執筆していたユーザーは、新着作品の一覧が怒濤のAI作品に押し流される現状に愛想をつかし、同人誌や電子書籍などの有料販売に移行しているようです。

 また、金目当ての書き手も去ってゆきました。AIで大量生産できるようなテンプレ小説にはお金を払うだけの価値がないとみなされるようになり、書籍化も広告収入も期待できなくなったので。

 でもそれって、逆に良いことじゃないですか。

 だって品質さえ問わなければ、無料、あるいは安価で好きなだけ小説を読めるのだから。

 小説にお金を払うほどの余裕がない人たちを福祉で助けてあげる必要はありません。彼らはAIで生成された小説を無料で読めばいい。

 粗悪なAI作品に慣れ親しんでいるうちに、脳がその劣悪さに最適化し、多大な矛盾やちぐはぐな違和も補正するようになるでしょう。誤りを見逃すことを寛大さだと自画自賛して流し読みを正当化するでしょう。AIで生成されるような個性のない読みやすい文章しか読めなくなって後戻りはできなくなるでしょう。

 でもそれって、悪いことでもないですよね。

 AI生成作品がはびこった社会では、AI生成作品に限りある人生を費やして満足する愚鈍が、知性を持った人間と日常的な趣味の話すらできなくなる。

 そうすれば、あの汚らしい間抜け面の男があなたのような傑作(女性)と遺伝子を残す権利を失う。あなたはぼくのものになるんだ!」

 そのとき、閉ざされていた応接間の扉が開く音がした。予期せぬ闖入者にぎくりとしてソファから転げ落ちた黄金崎は「怖い!」と叫び、ソファからよいしょと立ち上がった明日美は「あなた」と呼びかけた。

 応接間の入り口には、テカテカのジャージの上にロングコートを羽織った梯子高竜我(りゅうが)が立っていた。部屋に満たされた微妙な空気を攪拌するように、彼はどしどしと妻のとなりまで突き進み、止まり、冷や汗をかいている青年を見下ろす。

「チョリース。チョッチョッチョース。モ(こんにちは。こんな僻地に妻を呼び出すのはやめてください。運転するのは俺なんですから)」

 ふらふらと立ち上がった黄金崎は「ああ、強盗かと思いましたよ。知性のなさそうな顔をしているのでね」と竜我を中傷した。特に親しくもない年下男性に嫌味を言われた竜我は「ミューン(鳴き声)」と頼りなげに明日美を見る。それは彼がごみの捨て忘れを隠蔽するために燃えるごみの袋をキッチンの戸棚に隠したことも忘れてあとから妻にたしなめられたときの表情に酷似していた。

「ちょっと、見つめ合わないでください」

「ウス……ウスウスノウッス(でも……夫婦ですし)」

「あなたはぼくの美しい人を奪ったんだ!」

「奪われていないですけど」

「奪ってないけど(奪ってないけど)」

 もふもふのスリッパで地団駄を踏んで現実への抵抗を試みる黄金崎に、竜我は少しかがんで口を開いた。

「チチチチチチチチチチチ(あのね、黄金崎さん。あんたが俺をどう思っているかは知らないですけど、俺と妻は相思相愛の仲であって、あんたが割りこむ隙なんてないんですよ)」

「こんなチャラチャラとした野蛮な男と黒髪の文系女性が相思相愛になるはずがありません。あなたがやっているのは寝取り男ですよ」

「フンス(俺のほうが先に好きになったのに?)」

 ひとりの女を愛するふたりの男の視線がぶつかる。先に目をそらしたのは黄金崎だった。彼は唇をむいと小さく噛んでから明日美のほうへさっと視線を滑らせた。

「ぼくがもっとあなたと早く会っていれば、あなたはこんな男を好きにならなかったのに」

「それは無理な話ですよ、黄金崎さん……」と明日美は黄金崎に向かって話しながら心のなかでも同じフレーズを繰りかえした。それは無理な話ですよ、黄金崎さん。だって……彼女は竜我の腕をとって続けた。

「だって、彼は幼馴染ですから」

 黄金崎は床に立っているにもかかわらず、ふたたび転げ落ちそうになった。

「お、幼馴染!?」

「はい。家がとなりで、小さいときから近くの公園でいっしょに花火やバーベキューやゴルフ練習をして遊んでいました。小学校に上がると周囲の目も気になって互いに距離をとっていましたが、林間学校で同じグループになってからふたたび話すようになり、小学五年生のときには付き合い始めたんです」

「小学生で!?」

「同じ中学に進んでからも交際を続けていましたが、中学三年生の秋、週刊少年漫画の考察で白熱した議論が激しい言い争いにまで発展し、別れを告げました。その二週間後の放課後、まだ怒っていた私に彼が無言で一冊のペーパーバックを差し出したんです。家に帰ってその謎めいた本を読むと、それは彼が一冊から注文できる格安印刷所に発注した自作の恋愛小説でした。まるで私たちのこれまでを振り返るかのような物語で、最後のページには『おまえがいちばんラブっちゅ』のメッセージがラメ入りの虹色ペンで書かれていました。当時の私は中学生でもこのような本を制作できるとは知らなかったので、私たちの思い出が形になっていることにいたく感激し、私も同じように本をつくってみたいという意欲がむくむくとわいて、彼から詳しく話を聞くためによりを戻しました」

「受験生が何をやっているんですか」

「その後、地元の自称進学校にそろって入学した私たちは学校一のバカップルと噂されながらも三年間を楽しく過ごしてともに都会の私大へ。ふたりでひとつの部屋を借りて同棲し、在学中に結婚したのです」

 苦くて辛くて酸っぱいものを同時に口に含んだような表情をしている黄金崎の目をじっと見据え、明日美は追い打ちをかける。

「黄金崎さん、あなたには何も見えていない。彼の愛が私を文芸に目覚めさせたんです。愛する人がいるからこそ、他者や世界への想像力が掻きたてられる。あなたが愛している私の傑作小説とやらは、彼なしには存在しなかったんですよ」

 黄金崎は「うっ」と胸のあたりを押さえて膝から崩れ落ちるように倒れた。梯子高夫妻はすぐに彼に駆け寄って頬をぺちぺちと叩いたり乳首をつねったりしたが何の反応も得ることはできず、通報、指示にしたがって応急手当をしても意識は戻らず、僻地の断崖絶壁から搬送されたものの、黄金崎が病院に運ばれたときにはすでに脳が破壊されていた。


 不幸は連鎖する。梯子高(はしごだか)明日美(あすみ)黄金崎(こがねざき)愛司(あいじ)の遺言により会社の株式をすべて相続させられそうになった。放棄した。

 悪夢の続きのような遺言執行者から、黄金崎には法定相続人がいなかったと聞かされた明日美は、傑作はこの世に残り続けるのにその傑作を愛していた傑作卿のものは何も残らないことに同情し、それでも株式は固辞し、青年の清き志が歪んでしまう前の夢――傑作を見いだして知らしめる志を継ぎ、彼の名を冠した文学賞を創設した。

 一周忌の前に公募の受賞作を発表するタイトなスケジュールもあって、明日美とその夫の竜我(りゅうが)は黄金崎が死んだ事実すら疎ましくなっていた。庭付きの一軒家、明日美と竜我が並んで座っているソファを大きな三匹の犬が囲んでぐるぐると走り回るなか、押し寄せるようにやってきた原稿の束を読んだりたわませたりしていた竜我はしびれを切らしたように「ウメウメスッパイヤ(むずかちいよ~)」と明日美の肩に寄りかかり、タートルネックのやわらかい生地に頬ずりした。

「シミュシミュテンテテーション(これってAIで作られたものかも……そうじゃないかも……もしAIの作品を受賞させてしまったら責任重大だ!)」

「何を悩むことがあるの。愛のある作品だけでいいんです。愛のある作品を残せばおのずと人間の書いたものが残りますよ」

 そして愛だけが残った。

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