表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

4 隠された遺跡 - 扉を開く術

朝の霧が山間を覆い、空気には湿り気が満ちていた。


俺は古びた地図に描かれた道筋を頼りに、宮廷から遠く離れた山の中へと足を進めていた。

地図が示す場所には、双龍の彫像のもう一体が隠されている可能性がある。

その地には古代の神殿が眠っていると言われていたが、誰もその実在を確かめた者はいないという。


竹林を抜け、いくつもの渓流を渡り、やがて朽ちた石の鳥居が現れた。

その奥に、苔むした石段が続いている。

俺は一歩ずつ石段を登りながら、周囲を警戒する。

「これが古代の神殿の入り口か…」

朽ちた鳥居を抜けると、そこには巨大な石造りの扉が立ちはだかっていた。


扉には複雑な模様が彫り込まれ、それが術式を兼ねたものであることがすぐに分かった。

俺はその模様に触れながら、術式の仕組みを解読し始めた。

「これは……双龍の力を象徴する術式だな。守護と破壊の均衡が鍵か」

扉の中央には玉龍を象った図があり、その目に当たる部分には小さな穴が開いていた。

「ここに何かをはめ込む必要があるようだ」


俺は懐から、宮廷の書庫で見つけた玉龍の欠片を取り出した。

欠片を慎重に穴にはめ込むと、扉全体が静かに光を放ち始めた。

やがて低い音を立てて扉が開き、その先には暗闇に包まれた神殿の内部が広がっていた。

湿った空気とともに、僅かな魔力の気配が漂ってくる。


「ここにも何かが」

俺は灯りを手に取り、神殿の奥へと足を踏み入れた。


神殿の中は広大で、中央にはもう一体の玉龍が安置されていた。


その姿は玉龍の彫像に酷似しているが、その表面には黒い亀裂が走っており、どこか異様な雰囲気を漂わせている。


俺は彫像に近づき、注意深く観察した。

「これが…破壊の玉龍か」

彫像の周囲にはさらに複雑な術式が描かれ、それが玉龍の力を封印していることが分かった。


だが、その術式の一部が崩れ、力が漏れ出している。

「この封印が不完全なせいで、守護の玉龍に影響が出ているのかもしれない」


その時、神殿全体が低く唸るような音を立てた。


俺が振り返ると、闇の中から魔物が現れた。

それは彫像の力に引き寄せられたのか、巨大な蛇のような姿をしており、その目は赤く輝いている。


「ここにもか…」

俺は霊刃を構え、魔物の動きを見極める。

蛇型の魔物は素早く地を這い、獲物を仕留めるべく牙を剥いて突進してきた。

俺はその攻撃をかわしながら、霊刃を振り下ろし、魔物の体に深い傷を与えた。


だが、魔物はその傷をものともせず、さらに激しく襲いかかってくる。

俺は神殿の柱を利用して間合いを取りつつ、魔物の弱点を探った。

「こいつは…頭部の宝玉が核か」


俺は

一瞬の隙を突き

魔物の頭部を狙って

霊刃を突き立てた


霊刃が宝玉を貫いた瞬間

魔物は激しく震え

やがて崩れ落ちた


「結界が弱まったせいで、魔物が引き寄せられているな」

俺は霊刃を鞘に収め、再び玉龍の彫像に目を向けた。


彫像の亀裂からは微かな黒い霧が漏れ出しており、それが宮廷の玉龍に影響を及ぼしていることを確信した。

俺は彫像を封印するために必要な術式を整え直し、再び封印を強化した。


神殿を後にする頃、山間の霧が晴れ始め、僅かな光が差し込んできた。

「守護の玉龍に戻るには、破壊の玉龍の封印を完全なものにする必要がある……」

俺は静かに呟きながら、宮廷へ戻る道を歩き始めた。


だが、封印を崩した黒幕の存在が一層濃厚になり、さらなる調査が必要だと感じていた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ