居酒屋ひょうろんか シン仮面ライダー編 その2
飲む、語る。止めれない中高年の禁じられた遊び。今宵も銘酒を相棒に、ひとつ行きますか。
ご注文は?笑顔のバイトさんがやって来た。
飲み物は「とりあえず生」と答えて、ビールを飲みながら会話を始めてしまい、肴の注文が疎かになっていた。ままあることだ。
考えもなく、またしても「とりあえず」枝豆、冷やしトマト等とオーダーし、再び会話に戻ってしまうと「とりあえず」がその先もループする傾向にある。よろしくない。居酒屋・デフレスパイラルだ。
ここは、キチンと一考して、、
「、、とりあえず、モロきゅう*。」
あ、やっちった。
[筆者註]胡瓜の醪あえ、のこと。夏向きの一品だ。
「で、お前のシンシン仮面ライダー、ショッカーはどんなん?」
「名前とか?一応は略称やから、S,H,Oまではとりあえず、サイエンス、ヒューマンとかヒューマニティとか?んで、Oはとりあえずオブ、で。」
「ふんふん、でCKERは?」
「う〜ん、、CKが中々出てこんなぁ。JKなら女子こ、」
「庵野のSHOCKERは?」
「なんかサステイナブルなんとかってヤツ。誰かに考えてもらったみたいやで。」
お待たせしました。モロきゅうが届いた。中高年が益体もない話に興じている間に、未来を担う若者がアルバイトに勤しみ、剰え、キタナイおじさん達に笑顔を向けてくれる。
スマン、若者たち。
そう、バイトさんと言えば、ガソリンスタンドのちょっとヤンキーぽい娘もいいなぁ。程よい日焼けが健康美。
そうか!ヤンキーと健康美のコントラストがギャップ萌なのか?てか、今どきガソリンスタンドはセルフか。エルフは魔法使いか。
「、、で、お前のショッカーはどうなん?」
「あ、ごめん。んで、要は科学者の集団、マッドサイエンティストの集まりや。」
「で、幹部は四人。コイツら競わさてんねん、エグい首領に。大佐と死神と地獄と、もう一人。」
「もう一人ってあの、黒いメット被ってた、」
「そうそう、なんちゅーたかな?名前。」
「高田延彦がやってた、」
「え、高田?出てこいや!の?」
「そやで。平成ライダーの映画で。」
「大杉漣が地獄大使みたいな奴をやってたし、石橋蓮司がイカデビルしてたで。」
「兄者!」
「それ関羽やろ。子どもが生まれたらライダー、レンジャーとは再会するねん。で、またハマる。」
そう言うと中高年らは寺田農に話題を移し、ビール片手にATG*の思い出に耽るのであった。
[筆者註]アートシネマギルド、60〜80年代初頭の小難し系映画群。
おわり