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【完結】生贄の時を心待ちにしていた少女は、魔術師団長に溺愛される  作者: 未知香


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第34話 出発

 第五師団は通常の警護場所がなく、こういうトラブルに向けての団なので、ハウリーを含め団員全員の十五人が参加すると聞いた。


 その他に、通常業務から離れても問題がなさそうな十人とミシェラ、二十五人がドラゴンの討伐に当たると説明された。

 うち、現場での後方支援は二人だ。


 現場で薬を配り応急処置を行い、重症な場合は城まで転移陣で送る役目だ。

 ミシェラはシュシュに連れられ、一緒に転移陣で村の近くの森まで来ていた。


 周りはばたばたと、厳しい顔でせわしなく動いている。


 知っている顔もあるが、声をかけられる雰囲気ではない。ハウリーも忙しそうに部下に指示を出している。


 ピリピリとした空気のなか、シュシュが真剣な顔でミシェラの肩を掴んだ。

 その手は痛みを感じるほどに強い。


「ミシェラ、あなたは魔術が使えないのだからここから離れては駄目よ。この転移陣の周りには強力な結界が張ってあるから、いくらドラゴンでも入ってこれない。けれど、安全なのはここだけ。出てはいけないわ」

「わかりました」


 結界を示す赤い紐が六ケ所、地面につきたてられた棒に結ばれている。ただの赤い紐に見えるが、この棒を媒体に魔法陣を展開しているらしい。

 これも、ミシェラが知らない魔術だった。


 結界の中には救護用の簡易テントも張ってあり、簡易的な拠点となっている。

 結界に関しては専門の結界師というものがいて、魔術使いとは別のジャンルになるらしい。


「私は現場で後方支援をしているから、こちらに来ることもあると思う。頼むわね。ミシェラは怪我人はこわくないかしら」

「大丈夫です。見慣れていますので」

「そう……そうね」


 シュシュはミシェラの以前の環境を思い出したのか、眉を下げてミシェラの肩をそっと撫でた。


「ここに回復薬がある。こっちが魔力用、こっちが体力用。自力で飲めなかった場合は体力用のものを振りかけて、出来るだけ傷を治して出血を抑えるようにして」


 薬は今まで見たことがなかったので、間違いないように真剣に確認する。ラベルがついているので問題ないとは思うが、何かあったら大変だ。


 シュシュが説明をしてくれている間にも、団員が続々と転移してきて、物資も次々と運び込まれていく。


「全員揃ったな!」


 ハウリーの声が聞こえ、団員がその前に整列した。ミシェラとシュシュも端に慌てて並ぶ。

 ぴしりと揃い手に胸を置いた団員を前に、ハウリーは朗々と通る声で彼らに訴えた。


「今、我らは、ドラゴンという厳しい戦いに立ち向かう事になった。このドラゴンは強敵だが、我らは栄誉ある魔術師団である。我らは、弱きものを守るために立ち上がり、恐れを知らない勇気を持って戦うだろう。一致団結し、最後まで戦い抜き、ドラゴンを倒し、勝利を手に入れるのだ。心を引き締め、自分自身を信じて、この戦いに挑戦しよう! 我らは勇敢な魔術師団であり、今、勝利をつかむために、戦いに出発する!」


 ハウリーが手をあげると、団員からはわっと歓声が上がる。

 そのままハウリーが率いて、村の方へ向かっていく。


 その遠ざかっていく背中を見て、ああ戦いが始まるのだ。じわりと実感する。


 今、ここからはドラゴンは見えない。まだ村の近くに降りてきて魔物や動物を狩り、食事をしているところらしい。


 遠くからは何かざわめきが聞こえてくるが、それが何を示しているのかはまだわからない。

 どうか無事でいてほしい。誰にも痛い思いをしてほしくない。


 ミシェラは、不安で逃げ出したくなる自分を抑えるのに必死だった。

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