ギルド
サレマの町
高さ16フィートの石土壁(石を積み重ねて粘土質の土で固めて壁状にした物)が、約直径1万フィートで囲まれている。
入り口は2ヵ所、北東と南にある。
人口は1000人ほどで、そこそこの町である。
何者かの急襲により、皇都を追われたエレノアが着いた、サレマの町
「ここは小さな町ですわね。」
ひとりで小さく呟く。
少し町の中まで歩いていると、町人達がエレノアをジロジロと見てくる。
『何かしら、皆様、私をジロジロと』
エレノアは頭の中で思いを巡らせていて、不意に、この町には数件しかない、ガラス窓のある、商家の前を通りかかった。
「!!!」
この時、エレノアは初めて気がついた。
「ドレス!」
皇都から逃げてきたままの格好であった。
「着替えないと!」
声を少し張って、小走りに服屋へ駆け込んで行った。
「すみません。普通の服、下さい。」
店に入るなり、店主にそう言って詰めよった。
「お客様、い、いきなりなんなんですか?」
いきなりの事で少し慌てた様に店主が言ってきた。
「あっ、すみません。町人が着る服下さい。」
ふと我にかえってエレノアが言い直した。
「町人が着る服ですか?」
店主が少し疑わしい様に言った。
「そうです。」
エレノアは微笑みながら答えた。
「この店に置いてある商品がそうです」
店主は、少し首を振り、少し呆れ風に言った
「?、これ全部ですか?」
エレノアは店内に置いてある数少ない服を見て驚いた。
店内の商品はどれも似たような色で、形こそ違いがあるが、質素で簡易的な服であった。
エレノアはサイズさえ合えば、どれも似たような物なので適当に選んだ。
「これ、下さい。」
エレノアは店主に、そう言って入り口の方まで行こうとした。
「お客さん、支払い。」
慌てて、店主が言ってきた。
「支払い?」
エレノアは足を止め、店主に向いて疑問を言った。
「?、お客さん、支払いしないと警利に付き出すよ。」
店主はそう言い、エレノアに詰めよって行った。
「支払い?、、、お金ですね!」
エレノアは、気づいたように言い、続けて。
「お金は、持っていません。」
エレノアは、微笑みながら言った。
「お金が無いなら、売れないね。」
店主は、エレノアの持っていた服を取り上げた。
「お金は、後程、サローワが持ってきますわ。」
そう言い、エレノアは取り上げられた服を、取り返そうとした。
「何、バカなことを言っているんだい、サローワって誰なんだい。」
店主はエレノアと、服を引っ張り合いながら言っている。
「サローワは私の従・・・」
エレノアは途中まで言いかけて、その場に座り込んだ。
この町にも、ギルド(何でも屋組織)が存在する
ちなみに各国、各町にあるギルドはすべて同じギルドでは無く、その町、単体、もしくは複数の町に点在している