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原初の悪魔〜異世界復讐譚〜  作者: いなさと
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第四話 『星王』

王都セラルは混乱の渦に巻き込まれていた。

突如として王都の周りに大量の魔物が現れたからだ。


この街の冒険者達は全員戦場に駆り出されギルド職員は住民を避難させていた。

俺はアリスに頼まれて戦場に来ていた。


魔物自体はそこまで強くはないがなんせ数が多い。

しかも所々に強力な魔物の気配を感じる。


俺は優先的にそいつらを倒していた。

だが、俺にとっては雑魚であり、言葉通り瞬殺していた。


すると、まずいと思ったのか『星王』が出てきた。

『星王』は白く長い髪の女だった。


「お前が『星王』か?」


「あぁ、お前は…魔物か?」


「魔物に分類されるかどうかは分からんが悪魔と言う事だけ教えておこう」


「悪魔…か。本当にいたとはな…」


「ところでお前は精霊か?」


「違う、星霊だ。精霊のさらに上位の存在だ」


「色々と喋ってくれるな?強い魔物が殺されて焦ったか?」


「うるさい!これだけ喋るって事はお前の死は確定しているって事だ!」


「ほう?自信があるみたいだな?」


「あんな魔物を瞬殺したくらいで調子に乗るな」


「そうかよ、あんたも一瞬で終わるぜ?」


「あまり私を舐めるなよ」


星霊子崩壊(スピリットカラプト)


俺の足元に魔法陣が瞬時に構築され俺は体が崩壊した。


「やはり口だけの雑魚か…」


「クハハ…勝手に殺されては困るな」


「なっ!?」


「精神生命体は肉体に囚われない、そうだろ?お前も同じだからてっきり知ってるのかと思ってたぜ」


「あの魔法は魂も崩壊させるはず…」


「そうだったのか、なら俺を殺すには威力が足りないな」


「クソ…舐めやがって!」


星霊子拡散砲(スターブラスト)


今度は『星王』の手元に魔法陣が構築され光の粒子が俺めがけて飛んでくる。

俺は予め周囲に撒いておいた自分の魔力で魔法を奪い、軌道を変えて返した。


「クッ…」


「魔法において悪魔の右に出るやつはいない」


「なんなのだ、お前は…」


「俺に答える義理はない」


重力結界(グラビティゾーン)


「うっ…」


「さて、何故こんなことをしているのか聞かせてもらおうか」


「殺さないのか…?」


「殺してもいいんだけど興味が湧いた。気まぐれってやつか?」


「私の生死はお前の気まぐれによって決まるのだな…わかった、話そう」


どうやら実力差を理解したようだ。

たまにどれだけ叩きのめそうと脳筋凸してくるやつもいるから良かった。


「実のところを言うと私にも分からんのだ、先程自分の魔法を食らって目が覚めたみたいだ」


「なに…?どう言う事だ…何者かに操られていたとでも言うのか?」


「すまない、自分でも何が何だか…」


「フフフ…まさか悪魔が来るとはね」


「誰だ?」


「私は支配を司る悪魔、名はない」


「支配だと…?そうか、お前がこいつを操って…」


「フフフ…その通りだ」


「貴様!私を支配するとは死にたいのか!」


「支配される方が悪いのですよ、現に貴方は私に負けたから支配されていたんですよ?」


「な…!?」


「そんな事はどうでもいい、何故こんな事をする?」


「理由などありません、ただの気まぐれですよ」


「私を使ってこんな事をするなんて愚弄するにも程があるぞ!」


「うるさい羽虫が…」


支配の悪魔は『星王』に転移で接近し、腹に拳を入れようとしたところを俺が止めた。


「貴方は先程から何故私の邪魔をするのです?貴方も悪魔ならこんな些細な事を気にする必要などないでしょう?」


「困るんだよ、この街を襲われると。眷属もいるしな」


「眷属などいくらでも作れるでしょう、何故そこまでこの街に固執するのです?」


「俺はこの街が気に入った、それだけだ」


「貴方は悪魔の風上にも置けませんね、悪魔が人間に情を移すなど…言語道断!死ね!」


支配の悪魔は俺に何発か魔法を撃ってきた。

それを全て俺は握り潰した。


「この程度か…」


「これが本気だとでも?」


究極支配(ドミネーション)


「これでお前も私の傀儡だ!」


「クハハハハ……不愉快だ」


「な!?グホッ…!?」


俺は懐に潜り込み相手の腹に蹴りを入れ、その先に転移し顔面を踏み潰した。


「てめぇ、この俺を支配しようなんざ100億年早いんだよ、雑魚が」


「な、何故私の支配が効かない…ま、まさか!?あ、貴方様は原初の…」


「やっと気づいたか…相手が誰か判断できない雑魚は死んでもいいよなぁ?」


「ひっ…お、お許しください」


「それは無理だ、俺は復讐、憤怒を司る悪魔だ。俺を怒らせたのが間違いだったな?」


「ぎぃゃぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」


俺は魂ごと肉体を握り潰した。


「お前…そんなに強かったのか…」


「あ?こんなもんたいしたことねぇよ」


「そうか…助かった、礼を言う」


「礼なんていらねぇよ」


「お前は私の恩人だ、今度は私が助けてやる。その時は声をかけてくれ」


そう言って『星王』は魔物を連れて領地に帰っていった。


「なんなんだ、あいつは…」


俺の中で『星王』の評価が上がった。



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