貴方は神様を信じきれますか?
眠れないでいたら思いついたから書いてみた。
私は神様を信じて祈り続けた。
神様を敬い人生の全てを捧げて、祈り続けてきた。
だからこそ己の欲に溺れ、神様を妬み憎む悪魔どもにも正面から立ち向かった。
「あなた様は悪魔が恐ろしくないのですか?」
尋ね来る人々に、私は笑顔を浮かべ力強く頷いて見せる。
「私は神様を信じておりますから、神様は正しきものを守ってくださるはずです」
神様の教えに従い悪魔に立ち向かう私は、きっと神様の加護により守られているはずだ。
何一つ疑う余地はない、何せ私は神様を信じているからだ。
「さあ来い悪魔ど……っ!?」
「うるさい」
兵士たちと共に堂々と攻めてくる悪魔の群れの前に立った私の額に、何故か悪魔の放った矢の一本が突き刺さった。
倒れながら周りを見渡しても、殆どの兵士にはカスリすらしていない。
どうして神様の加護を受けているはずの私だけがこんな目にあうのか。
「いやぁ、ごめん……よそ見してた」
意識が薄れる中、私の頭の中に声が響いた。
厳かで威厳に満ちたその声は、間違いなく神様だと確信できた。
だけれどその言葉は、余りにも……人間的だった。
「悪い悪い、お詫びにやり直させてあげるからさ……これからも私を信じて清く正しく生きてね」
その言葉を聞き終えるのと私の意識が闇に溶けるのは同時だった。
そして神様の言葉通り、私の人生は最初からやり直しとなった。
同じ両親に同じ家、過ぎ行く時間の中で起こる出来事もまた何もかも同じ。
私も同じように成長した、当然神様に人生を捧げるのも同じことだ。
同年代の人間が青春を楽しむ中、私はひたすらに神様へと祈りをささげる。
偉大なる神様を信じているからだ。
倒れた時の記憶ははっきり残っているが、だからと言って私の神様への信奉は変わらない。
確かにあの時神様はうっかりミスを犯したかもしれないが、償いにこうしてやり直させてくださっているのだ。
だから何も疑う余地はない。
そしてまた悪魔が襲来する日がやってきた。
もちろん私は前と同じように兵士たちと並んで、悪魔を迎え打ちに行く。
「あなた様は悪魔が恐ろしくないのですか?」
尋ね来る人々に、私は笑顔を浮かべ力強く頷いて見せる。
「私は何があろうと神様を信じておりますから、神様は正しきものを守ってくださるはずです」
神様の教えに従い悪魔に立ち向かう私は、今度こそ神様の加護により守られているはずだ。
何一つ疑う余地はない、何せ私は神様を信じている。
「さあ来るなら来い悪魔ど……っ!?」
「うるさい」
兵士たちと共に堂々と攻めてくる悪魔の群れの前に立った私の額に、またしても悪魔の放った矢の一本が突き刺さった。
倒れながら周りを見渡しても、殆どの兵士にはカスリすらしていない。
どうして神様の加護を受けているはずの私だけがまたしてもこんな目にあうのか。
「いやぁ、ごめん……よそ見してた」
意識が薄れる中、私の頭の中に声が響いた。
厳かで威厳に満ちたその声は、間違いなく前にも聞いた神様のものだと確信できた。
だけれどもその言葉は、余りにも……残酷だった。
「悪い悪い、お詫びにやり直させてあげるからさ……これからも私を信じて清く正しく生きてね」
一字一句違わぬ、その言葉を聞き終えるのと私の意識が闇に溶けるのは同時だった。
そして神様の言葉通り、私の人生は最初からやり直しとなった。
同じ両親に同じ家、過ぎ行く時間の中で起こる出来事もまた何もかも同じ。
それでも私は頑張って神様を信じようとした、人生の大半を神様へと捧げようとした。
だけれども、同じミスを二度も犯した神様への疑心は拭いきれなかった。
ひょっとして今回もまた、同じことになるのではという不安が消えてくれないのだ。
だからどうしても神様への祈りは少なくなる、真剣に拝む時間が減っていく。
その分だけ周りにいる同年代の人間たちの声が聞こえてくる。
楽しそうな笑い声、男女の仲睦まじい声、そして神様を軽視する声。
かつては気にならなかったそれらが、私の胸にしみこんでくる。
それでも私は神様を信じた、人生を捧げ信じ抜こうとした。
そしてまた、悪魔が襲来する日がやってきた。
私は不安を抱えながらも、神様への信仰心を現すべく兵士たちと共に悪魔との戦いに赴く。
「あなた様は悪魔が恐ろしくないのですか?」
尋ね来る人々に、私は顔を向けずに誰にも聞こえぬよう呟いた。
「悪魔など恐ろしくはない……それよりも恐ろしいのは……」
神様の教えに従い悪魔に立ち向かう私は、果たして神様の加護に守られているのだろうか。
全く持って自信はなかった、何せ私は神様を……信じられないからだ。
「悪魔ども、お前らは何故神を……」
「うるさい」
兵士たちと共に攻めてくる悪魔の群れの前に出て行った私の額に、やはり悪魔の放った一本の矢が突き刺さった。
倒れながら周りを見渡しても、殆どの兵士にはカスリすらしていない。
やはり私には神の加護が届かなかったようだ。
「いやぁ、ごめん……よそ見してた」
意識が薄れる中、私の頭の中に声が響いた。
厳かで威厳に満ちたその声は、多分神様のものなのだろう。
だけれどもその言葉は、余りにも……悪魔的だった。
「悪い悪い、お詫びにやり直させてあげるからさ……これからも私を信じて清く正しく生きてね」
一字一句違わぬ、その言葉を聞き終えるのと私の意識が闇に溶けるのは同時だった。
そして神様の言葉通り、私の人生はやり直しとなった。
同じ両親に同じ家、過ぎ行く時間の中で起こる出来事もまた何もかも同じ。
だけど私だけが違った。
私はもう神を信じられない、だから人生を捧げようなどとは思えなかった。
神への信仰を捨てた私は、同年代の人間と同じく青春を送ることにした。
目先の欲に溺れ、ただその瞬間を楽しみ……神への冒涜的な言葉を吐き捨てた。
今まで祈っていた分、信じていた分だけ裏切られた衝撃が大きかったのかもしれない。
いつしか私は、神という存在を憎むようになっていた。
むしろ神を否定し享楽に溺れ続けた私は、自然と悪魔という存在へ憧れて行った。
そして悪魔が襲来する日がやってきた。
私は仲間の悪魔たちと共に、神を教えに従い清く生きようとする人々を襲おうとしていた。
「おまえは神が恐ろしくないのか?」
尋ねてきた悪魔たちに、私は笑顔を浮かべ力強く頷いて見せる。
「私は神など信じていないから、神には正しきものを守る力などありはしないのだ」
悪魔と共に神を信奉する兵士たちに立ち向かう私は、きっと神の加護に守られていると信じて無防備な奴らに勝てるはずだ。
何一つ疑う余地はない、何せ私は神など信じていないからだ。
「さあ来い悪魔ど……っ!?」
「うるさい」
兵士たちの掛け声を無視して矢を放つ。
そしてその矢は彼らの身体に……突き刺さらなかった。
まるで何かに守られているかのように避けて大地に刺さる矢を仲間の悪魔たちと共に驚愕をもって見つめる。
「悪魔よ、神の威光の前にひれ伏すがいいっ!!」
兵士たちの攻撃で崩れ落ちた私が周りを見渡すと、殆どの仲間が同じように倒れていくところだった。
「……何故だ、どうしてこうなる」
意識が薄れる中、余りの理不尽さに私は思わず呟いていた。
「神様を信奉し何もかもを捧げてきた我らにはご加護が付いているのだ、負けるはずがない」
止めを刺しに近づいてきた兵士の声が聞こえた。
「そんな馬鹿な……私も祈ったが結局は役に立たなかった……なのにどうしてお前らだけ……」
「私は神を信じ敬い祈り続けた、だからこそ加護を授かれたのだ」
「いや私も信じていた……人生の何もかもを捧げて祈っていた……なのにどうして……」
「いいや、お前は最後まで神を信じ抜けなかった……今回の人生を捧げようとしなかった……だからこちらではなくそちらにいるのだろう」
何かを含むような兵士の言葉に、私はようやく自分の祈りがいかに矮小な物であったかを悟らされた。
本当に神様を信じているのならば何をされようと、例え何十回何百回やり直そうと疑う余地はなかったはずなのだ。
矮小な人間ごときに偉大なる神の意図が見抜けるはずがないのだから……人間ごときの尺度ではかろうとしてはいけなかったのだ。
「そうだ、お前は最後まで神を信じぬけなかった……愚か者だ」
最後に聞こえた兵士の言葉が神様の声そっくりに聞こえた気がしたのは、きっと私の信仰心が足りなかったためだろう。
そして神を信じれなかった不敬な私は、仲間の悪魔と共に正義の前に打ち滅ぼされた。
もちろん、もう人生をやり直すことはなかった。
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