2〈イリス〉
「イリス嬢。これからよろしく頼む」
婚約者となる第一王子との顔合わせの場。
目の前には黒髪に紫の瞳の美しい少年、ウィルフレッド殿下だ。
え??待ってこの人見たことある!今はまだ少年だけどこの人はウィル。クールな見た目だけど好きなヒロインの前だけすごく可愛い笑顔になる。なんでそんな事知ってるって、だってこれ乙女ゲームの世界で。私…私は…
「悪役令嬢!?」
その場で倒れて気を失ってしまった。
目が覚めると見慣れた公爵家だった。痛む頭で考える限りどうやら私は前世の記憶が蘇ったみたい。
でもすごいぼんやりとしてて女だったこと結婚もせずひとりで生きていたって位しか思い出せない。ただこの世界が乙女ゲームにそっくりだってこと、私の婚約者になったウィルフレッド殿下は攻略対象で私はヒロインに嫌がらせを繰り返す悪役令嬢だ。確かヒロインはアメリアっていうピンクの頭でとても可愛く優しいヒロインらしいヒロインだ。赤髪でつり目がちな私とは全然違うタイプ。
思い出す婚約破棄の瞬間。私がヒロインと対峙しているところにやってきて颯爽とヒロインを助けるウィルフレッド殿下。彼の目はヒロインしか映さない。そして彼女と手を取り合いこの国の王になるのだ…。
婚約破棄がなければ、ウィル殿下は我が公爵家に婿入りする予定だったのが、それがなくなり、悪役令嬢である私は責任をとり、領地で幽閉され孤独に生きて行く。
そこまで思い出して私はそんなのは嫌だ。なぜ浮気された挙句閉じ込められなければならないんだろう。
正直ウィルフレッド殿下は素敵だった。意識を失う直前心配そうに駆け寄ってくださるのが見えた気がした。
きっと記憶が蘇らなかったら私はあっさり彼に恋していただろう。
本当にここはゲーム通りの展開になるのだろうか?もしそうでもヒロインに嫌がらせさえしなきゃいいよね。婚約破棄するにしても私に原因がなければいいんだ。でも向こうが勝手に言いがかりつけてくるかも。冤罪にも立ち向かえるように強くならなきゃ。
私はそう決意して新たな自分として生きて行くことを決意した。




