26〈アメリア〉
言葉もないまま自然と2人並んで歩く。
気になる事が頭の中に浮かぶ。
助けてくれて嬉しい。
ドレスを贈ってくれたのが殿下というのは本当のことだろうか。
2人きりでいるところをあの綺麗な方…シーラ様に誤解されたらまずいんじゃいないか。
次から次へと浮かぶ疑問。言葉を探すがどれもふさわしくないような気がして。
何より久しぶりの殿下といる時の独特の静寂の安心感にそのまま浸っていたかったのかもしれない。私は何も言えずにただついていった。
2人は庭園の奥で立ち止まる。そこは一つぽつりと立っている灯りが闇を照らしとても幻想的。
「会いたかった」
小さくでもはっきりとした声が聞こえた。しっかりと私を見つめる紫色の目に胸が高鳴る。
「…私もです殿下。ご無事で何よりでした」
「ああ。なんの便りも出さず心配をかけた」
「こうやってまたお会いできただけで本当に嬉しいのです」
「アメリア嬢。私は君が好きだ」
唐突にも思えたその言葉に息が止まる。期待していた時もあったのに今この時が現実かわからなくなる。
「いきなりすまない!もっとこう色々と話してからと思ってたんだが、抑えきれなくなってしまった。…アメリア嬢。どうか私と結婚して共に人生を歩んでくれないか」
「あ…あ…」
どうにか答えようと思うのに言葉にならない。喉が焼けついたように痛い。嬉しくて嬉しくてそれでもやっぱり夢でも見てるんじゃないかって不安になる。
「…アメリア」
殿下がそっと私の手を握った。殿下と初めて出会った日からこうやって触れ合う事は初めてだった。
その手の暖かさがどきどきしてるはずなのに私を安心させてくれた。
「殿下のことをずっとお慕いしていました。…好きなんです」
一番大切なこの想い以外が吹き飛んでしまって言いたくても言えなかった言葉を伝えた。
殿下は子供みたいに笑ってふわっと私を包むように抱いた。心臓の鼓動は早まり過ぎてもう感覚はなくなって。殿下の胸の中で私は初めて自分の居場所はここだったんだ。なんてすごく幸せな気持ちに浸っていた。殿下もそうであってほしい。そんな気持ちで殿下の背に手を回した。私も殿下を幸せで包み込めるように願いながら。




