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22〈ウィル〉

「ここに不可侵条約が無事締結されました」


1年を超える戦いに終止符が打たれる。

エスト国の重鎮達は一同暗い表情で悔しさを滲ませているが声を挙げるものはいない。

そもそもエストの国民が戦うことを望んでいなかった。戦いの為に生きる騎士達を倒せばあとはいつエストが折れるかそれを待つような日々だった。

この度の戦いを褒め称える声もあるが犠牲者は我が国にもエストにもいる。それが事実で私の罪だ。目の前で人が死んでいく様をみて狂わずにいるのは無理なことだった。ひとつひとつに胸を痛めていたらおかしくなりそうで狂わずいるために狂う。矛盾している自分を抱えながらの戦いだった。カーティスはもちろん陛下と同じ世代の臣下達、共に戦ってくれる騎士達と共に突き進んでいくだけだった。

その中で一度後ろから攻め入られ傷を負ったことがある。私が斬られたなどあってはならない。隠れるように治癒にあたりその途中にも戦場へ出るということを繰り返していた。

参謀として共にあるキーンが久しぶりに柔らかく笑いながら

「ウィル。この薬ね、アメリアさんが義兄さん達と開発した新しい薬らしいですよ。化膿も痛みも抑えて治癒してくれるそうです」

涙がこぼれた。この戦さ場である辺境の地でアメリア嬢の努力の証を感じることができるなんて思わなかった。そしてその証が私を助けてくれる。言葉にならぬ想いが溢れる。

思えば私はいつも彼女に助けられていた。彼女との日々は私にとっての救いだった。初めて出会った時からも再び再会した後も。学園時代のことを思い出すと恥ずかしい。私は理想論ばかりのただの子供でしかなかった。それは今も変わらないが自覚があるだけ幾分かマシだろう。

私はあの頃とは変わってしまった。輝くような彼女のそばに立てるような人間ではないと思ったのは一度や2度ではない。

気づくと負の感情に負けそうになってしまうがすぐ現実へと目を向けなければならなかった。

「さあ、行こう」

表情を引き締めたキーンと共に再び戦さ場に戻る私。だがその背には彼女の薬が塗られている。彼女に守られているような気がして、そんな暖かな気持ちが確かに私の中にあった。


×××


処理も全てとは言わないがひと段落し、一度陛下の元へと戻ることとなった。


「王都行きたくないなー。ま、君と一緒と思えば悪くないな」


私やキーン達と並んで向かうのはシーラ嬢だ。辺境伯の娘でこの度の戦いでは動けなくなった辺境伯の代わりに私たちと共に戦ってくれた勇敢な女性である。

ここから王都へはまた長い道のりであるがこれまでを考えると容易いものだ。しっかり前を見据えて王都へと向かう。

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