18〈ウィル〉
本日
16〈イリス〉から
3話同時投稿してます。ご確認ください。
「ウィル?ウィル?」
「あ、すまない。聞いてなかった」
「少し休まれては?」
「ああ」
学園を卒業して騎士団に入り1年が経った。通常の騎士の仕事とは別に辺境への行き来も多くなり、忙しい毎日だがキーンが補佐としてついてくれてなんとかなっている状態だ。今はいないがカーティスもよく顔を見せに来る。
「そういえばアメリアさん。薬学研究所に入ったそうですよ」
「おぉそうか!さすがアメリア嬢だな」
「まあこれからが大変でしょうけどね」
「そうだな。でも彼女には頑張ってもらいたい」
「…会いにいかれないのですか?」
「私が突然行くのも驚かせてしまうだろう」
「理由は本当にそれですか?」
「いや、まあ、イリス嬢と婚約解消だなんだという時にアメリア嬢とは個人的に会わない。彼女に特別な感情はいだいてないと言い切ったからな。それを解消したからとまた会いに行くのはどうかと思ってな」
「ウィル。あなた一体何年前の話してるんですか。本当に真面目もいきすぎだと頭おかしくみえるんですね。大体イリス嬢だって新しい婚約者が公表されたでしょう」
「ああ、そうだな。安心したよ」
「でしょうね。クリスさん程の大人の包容力があればあの不可思議な女性とも上手くやれるでしょう」
「本当にお前は口が悪い」
「本当のことですよ。話が逸れましたね。殿下がアメリアさんに会いに行くかどうかの話ですよ」
「どうしたんだ一体?」
「あなたが毎日毎日毎日毎日仕事仕事仕事仕事だから心配してるんですよ。そんなんだから辺境伯のご令嬢にも振られるんですよ」
「振られてなどいないだろ。彼女は初めから自分の相手は自分で決めると言ってたじゃないか。それを私も彼女も置いてきぼりに周りが囃し立てて」
「そんな寂しい殿下にアメリアさんと会う時間を差し上げると言ってるんですよ。あなたは確かに立派な殿下ですが本当に不器用ですね。単純に会いたいか会いたくないかもわからないのですか?」
キーンは口は悪いが私を思いやってくれているのが伝わってくる。いろいろな問題に向き合う毎日の中で心がすり減って荒んで行くのは自分でも感じていた。アメリア嬢のことを思い出し自分を叱責したのも一度や二度ではない。ただ周りへの影響を考えると本人に会うのは憚られた。
辺境伯の後継にも選ばれ、時々胸がひどく苦しい。忙しさがそれをまぎらわせてもくれるが、どんどんと悪化もさせる。そばにいるキーンを心配させて申し訳ないが、自分でも答えを見つけられずにいた。
キーンが言うのは『後悔しないように』だ。いつなにが起きるかわからないのだ。私は、私の単純な気持ちは…
「会いたい」
言葉にするともうその気持ちからは逃げられない。自分自身を突きつけられた。
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