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12〈アメリア〉

本日は

8〈アメリア〉〜5話同時投稿です!

ご確認ください。

今日は殿下達いらっしゃるかなあ。授業も終わり、こちらを睨んでくるユリエラ様達を刺激しないよう静かに教室を抜け出しいつものように東屋に向かおうとした。そこをユリエラ様とその仲間達に取り囲まれ人気のない場所へと連れて行かれそうになった。

何をされるかわからない恐怖に私が拒否しようとするとユリエラ様が顔を近づけ「ここで嫌がれば殿下に迷惑がかかるのよ」そう囁いた。その言葉を理解した瞬間血の気が引いた。

ロクなことにはならないのがわかっているのに着いて行かざるおえない悲しさ。

殿下と関係はないとシラを切ろうかと思ったが、脅しじゃない場合が怖かった。

ユリエラ様達と対峙する。7対1は卑怯だ。なんて瑣末なことを気にしてしまう。

「あなた、さっきの話でおとなしく着いて来るなんてイリス様の憂いはほんとうのことだったのね。なんて穢らわしいの。あなたなど殿下に近づいていい存在ではありません。どこで殿下にはしたなく言い寄ったのかはわかりませんが、殿下にはイリス様という正式な婚約者がいらっしゃるのです。あなたのその節操のないその行動が誰かを傷つけているそう思いませんの?」

胸が痛かった。ユリエラ様のくせに真っ当なことをおっしゃっている。

婚約者がいるの知らなかった。いるんだろうなって思ってたし、聞こうとしたこともあったけれど。婚約者の有無を聞くこと自体ひどく浅ましいことのように思えて、その疑問から逃げた。その結果がこれだ。

「申し訳ございませんでした」

「ふん。謝れば全て解決すればいいと思っているのですか?あなたのせいでイリス様は悲しんだのに。本当にあなたは目障りだわ。消えて欲しいくらい。優秀なあなたならこの意味わかるわよね」

「わからないのでこの学園でしっかりと学び、考えてみます」

「減らず口ばかり!あなたひとりいなくなったところで喜ぶ人はいらしても悲しむ人なんていないのよ!」

結局私を追い出したいのだ。私の浅慮でイリス様を傷つけたことは、殿下に迷惑をかけたことは本当に申し訳ない。でも私には学びたいことがある。殿下とももうお別れだ。でも、だからこそ学園を追い出されたくない理由がある。諦められないのだ。

「私は学園をやめたくありません!」

この話し合いは平行線だ。結局ユリエラ様が私を押し倒してそれから全員に蹴られた。けど皆恐る恐る蹴るのでほとんど痛くなかった。生粋のお嬢様に暴力は向いてない。ユリエラ様だけ本当に痛かったけど気が済んだのか「2度と殿下に近づくな。イリス様を傷つけるな」そう言い残して帰って言った。


殿下に2度と近づかない。それに答えなかったのは痛みからじゃない。後一度だけ殿下にお会いして今までの感謝を伝えたい。私の思いを伝えたいのだ。

殿下は私が東屋に来なくても決して表情を変えることはないだろう。でも何かあったのかと気にかけて、心配してくれる。たったひと時でも友人と言ってくれた私がいないことを寂しいと感じてくださる。そういう優しくて情に厚い方であることを知っている。

次が最後。そう考えると寂しさでどうにかなりそうだ。本当はもっと殿下のそばにいたい。そう考えて首を振る。もう一回会おうとしていることがすでにわがままなのだ。幸せな時間はずっとは続かない。


今日殿下いらっしゃるのかな…

全く違う心持ちで東屋に向かう。来て欲しいけど来て欲しくない。

婚約者の方を傷つけてしまった申し訳なさとこれから訪れる殿下との別れへの感情が溢れ出しそうだったが。

全てを振り切って自習に取り掛かったが全然進まなかった。


×××


「アメリア嬢は本当に賢いな。この前の定期試験も女性の中で一番というじゃないか」

「ありがとうございます」

「なにアメリアさん照れてるの?そういうウィルだって一番だったじゃないですか。まあ僕は二番だけど」

「私は学園のテストはキーンに負けるものかと息巻いているからな。アメリア嬢の上位の秘訣は?」

「私も…誰にも負けたくなくて。」

「ははは!それはいい。恥ずかしい話だがエドやキーンをみていると時々ひどく焦るんだ。だけどこうして誰もいなかった東屋で1番の才女が勉強していると思えばやはり努力に勝るものはない。そう信じてみたくなる」

「私も、本当に失礼な話ですが殿下とこうしてお話しするまで、殿下のような方は焦ったりしないものだとおもっていたんです。ですが殿下はそういった気持ちも全部含めて殿下なのだと思うと。本当に本当にすごいって、うまく言えないですけど本当に尊敬しています」

「アメリア嬢、褒めてくれてるのか?ありがとう。嬉しいよ」

たまにみせる殿下の満面の笑み。私はそれを見れた日は幸せな気持ちになる。

「よし。では休憩ばかりもしていられなくなったな。キーン、今日はもう戻ろう。アメリア嬢また会おう。」


×××


在りし日の殿下達との思い出。楽しかった。こうして1人思い出すと本当に夢だったみたいだ。

結局その日殿下は来なかった。拍子抜けしてしまったけど少し安堵もした。もとより殿下はお忙しいのだ。私も今日はあんまりにボロボロだ。殿下がいらっしゃる日を待とう。それまで少しでも恥ずかしくない自分でいられるようここで問題を解きながら。



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