それはストーカーの愛なのか?
「それはストーカーの愛だね」
彼が発したのは強烈な非難の言葉だった。僕は当然、そう感じた。
後から振り返ると、彼はいつものようにフラットな調子で言っていたと思う。彼は僕の友人でちょっと変わっているが、悪い奴じゃない。
「それは偏見だね。一体どういう意味でストーカーの愛なんて言うのか?」
彼は苦笑した。
「悪い。説明が必要だったね。でも、言葉の意味もわからないのに偏見というのも偏見じゃないかなぁと思って……」
確かに。
ここで納得してしまうから、僕と彼は友人なのかもしれない。
「ストーカーの愛とは一方通行な愛のことだ。君と彼女の関係は一方通行だと思うよ」
そうかもしれない。
「でも、一方通行な愛が悪いわけじゃないだろう。親から子への愛だって一方通行的なところがあるよ」
「わかるよ。でも君のそれは、男女の愛じゃないのかな?」
「まあ、男女の愛に近いところはあるよ。でももっと深いものなんだ。究極の愛というか……」
正直、彼ならもっと気持ちをわかってくれると思っていた。
「男女の愛だから結婚を望んだ。 違うかい?」
そう、僕は彼女との結婚を望んだ。
「んー。多様性だよ。人はもっと多様性を認めていかなくちゃならない。そうだろ」
「結婚には両性の合意が必要なんだ……」
彼の主張はわかったよ。だから、ストーカーの愛だなんて言ったんだ。
でも、僕の考えは違う。
二次元キャラと結婚したって、いいじゃないか!
多様性の時代だよ。いろんな結婚のカタチがあっていい。
そう思わないか?