一話 苦労性の公爵候補
コメディ小説を書かないと……もう一つのシリアスになりそうな連載ができそうにないです。
何かあれば、感想の方にお願いします。
俺の名前は、パトリック・ヴィオス・イフリティオ・オーガスト。センチュリー王国のオーガスト公爵家の長男で時期公爵候補です。
俺の母は、離れた土地にある大国、エレメンタリア帝国の第二皇女メアリア・ヴィオス・イフリティア・エレメンタリア。帝国の紫の薔薇と呼ばれた、心身ともに美しい女性でした。
それを他国の公爵家に嫁ぐということが、和平を目的とした国際的政略結婚であることは誰が聞いてもわかることです。馬鹿で阿呆でどうしようもないろくでなしでなければ。
のですが、馬鹿で阿呆でどうしようもないろくでなしな(一応)父のルジェニオラ・ベッテル・オーガスト公爵現当主は、母を蔑ろにし、病で亡くなった年に再婚しやがっt……再婚なされました。
俺にとって継母に当たる毒婦……夫人は、辺境伯爵家の三女で、早い話が浮気です。クソどもが。
しかも、その継母は、我が公爵家に来た際に、男の子を連れてやってきました。ええ、浮気の末にできた子です。俺の異母兄弟って奴です。2歳下で、これはつまり、母に対する、いえ、帝国に対する冒涜ですね。
まぁ、このことを頭がお花畑の三人がわかるわけないでしょうが、もう現当主は早く公爵やめろ。
そうそう、俺の容姿は、完全なる母似のため、現当主に全く似ておりません。淡く輝くパステルパープルのウェーブがかった髪に、ルビーのように赤い目。それが俺の容姿です。紫の髪も赤い目も、この国では見られない色で珍しいのです。
対して、現当主は、濃い茶色の髪に目、継母はどきついピンク色のストレート髪に目。そのガキ……異母弟は茶色の髪にピンクの目と、二人を足して二で割ったような顔立ちです。
その事実が関係あるかどうか知りませんが(多分関係ないでしょうね)、今日に至るまでの俺の扱いは決して良くありませんでした。
次期当主教育といって、幼少期から、休みもほとんどない厳しい領主、貴族教育。少しでもできないところがあれば、現当主と継母からの説教は当たり前。
異母弟は、俺に対し殴る蹴るわ、見下すわ、少しでも意見や抵抗すれば俺が説教を受け罰を与えられるわで、本当に何度、このゴミ屑達を絞めあげようかと思ったか……。
こんな薄汚れた家庭環境で、俺は何度も何度も押しつぶされそうになりながらも、誰よりも努力し、13歳で入学する王都学園を、この国の第一王子とともに同じ12歳で入学しました。
それも、入学すればこの家を出て、寮へと入れるという理想郷に少しでも早く行きたかったからです。少なくても、現当主達のためではないです。
それから、平和な時間を満喫しておりました。
15歳になり、異母弟が入学する今年までは。
この学園は13歳から16歳までを貴族も平民も通う中等科とし、17歳から18歳までを貴族のみが通う高等科とします。
俺と王子は一年早く入学したため、15歳の今年で中等科の最高学年となり、来年から、高等科へ進みます。
本来なら、公爵家の子息の寮は貴族寮になりますが、俺には帝族の血が流れているため、安全性を考慮し、王子と同じ王族寮に入寮しております。俺に何かあっては、国際問題になりかねませんからね。
そんな面倒な身分や王族のしがらみのこともあってか、学園の同級生や後輩からは萎縮されることも多いのです。
まぁ、時間が経つにつれて、慕ってくれたり、心を許せる友人もできましたが。
ですので、これは当たり前の事で狡いこともコネでこんな学園生活を送ることになったのでもありません。
ありませんが…、
「兄上!あなたという人は本当にどうしようもない馬鹿なのですね!自分はどこぞやの帝国の血を引くからという嘘をついて、その嘘で偉そうにして!成績もズルをしてまで準主席になりたいのですか!?そんなだから、婚約者であるプリセリア嬢を悲しませるんですよ!」
「……はぁ?」
なんだこの頭がお花畑なバk……男は。
誰だ、こんな、帰宅時の校門前で、大勢に注目されて騒いでいる馬鹿に育てたのは、どこの家の馬鹿だ?
……俺の異母弟だった。