2人の帰り道は楽しいかもしれないけど1人だと途中からめんどくさくなる
僕達はギルドでイノシシの討伐クエストをクリアー(ほぼ……いや全てシロさんの手柄なのだが)した後、いつもの長い帰り道を歩いていた。
この道が長いのにはいい加減慣れてきてはいるのだが……今回は大荷物を持っての移動なので結構しんどかった。
「やっぱり朝市の帰りはきついね!」
笑顔で僕に話しかけてくるエレナさんは恐らく僕の10倍ぐらいの荷物を持っている。僕は笑顔を向けるというか話す余裕もあまりないと言うのにな。
「…………そうですね」
「んー。 競走でもする?」
なんでそんないい事思いついたと言わんばかりの顔をするんだ……。ほんとにエレナさんってどうなってるんだ……意外と聞いてみたら真似できることあるかな?
「…………あの、なんでそんなに体力とかあるんですか?」
僕は少し……いや結構な勇気を振り絞ってエレナさんに聞いてみた。だからそれ相応の見返りが帰ってくると嬉しいんだけどな。
「あー。 もちろんstatus upの魔術をちょっとだけ使ってるからだよ」
まるでイタズラがバレた子供のような顔をしている……ってそんなのあるんだったら初めから教えてくれればいいのにな。
「……それって僕にも使えますか?」
「多分使えるんじゃないかな? 何事も練習次第だとは思うけどね」
練習次第か……まぁ合間に覚えられたらいいなぐらいだな。でも覚えたらこの道も楽になるんだろうな。
「うん……よし! じゃあ競走ね!」
いきなり何を言い出すかと思えば競争を勝手に初めて……見えないぐらいに遠くへ行ってしまった。
……競争を始めるのはまだいいとして。ほらリンゴとかめちゃくちゃ落としてるしな。……まぁ拾っていくしかないか。
いやいや……落としすぎだよ。迷子になりそうな時の道しるべのレベルじゃん。何度も拾う時に屈む動作がしんどいんだが……。あーもうもしかして狙ってやったんじゃないのかって思うよ。
あれ?エレナさんかな?リンゴを拾ってくれる人なんて……ってゴブリンじゃん!
僕の目の前には見慣れない……小さなゴブリンがリンゴを拾ってくれている。……何だか怯えているような……理性があるような目をしていた。
「…………ありがとう」
僕はゴブリンからリンゴを受け取った。するとゴブリンは少し驚いたような表情を見せた後に森の中に入っていってしまった。
……一体なんだったんだろうな。てかゴブリンって結構理性とかあるものなのか?
「遅いよー!」
僕は謎のゴブリン遭遇事件があった後はただひたすら歩いた。途中でエレナさんの落し物を拾いながらだからいつもの倍以上の時間がかかった。
「……遅れました」
だからといって別に遅くなったのには変わりないから反論するわけではないけど……。やっぱり理不尽なような……。
「ほら! 夜ご飯は作っておいたから! 今日はちょっと贅沢だよ!」
エレナさんに急かされながら家に入る。そこには魔王城には劣るかもしれないが、それでも量は豪勢なものだった。
……こういうのがあると帰って来れて良かったっておもえるよ……。




