初めて他人の家に行きました。
「ちょっと待ってて、今お茶出すから」
僕は初めて女性の…いや他人の家の中に入った。僕は一応大魔王の息子で何不自由無く魔王城の中で生きてきた。そのため家の中から出る必要がなかったから他人の家の中に入るというのは変な緊張感があった。
「はいこれ。 いやーお客さんがこの家に来ると思ってなかったからさー」
"ちょっと安物だけどね"と言いながら少し恥ずかしそうにマグカップを置く。以外と可愛らしく小さなマグカップだった。
「…ありがとう…ございます」
僕は出された紅茶を口に運んだ。彼女は安物と言っていたがそうとは感じられない独特な甘い味がした。
「ねぇねぇ、あなたって何族? エルフって感じじゃないけど」
「……僕ですか?……一応ドラゴニュートって種族になります」
すると彼女は目を見開いて僕の顔をマジマジと見てきた。
「へぇ! ドラゴニュートって大魔王様と同じ血族じゃん! もしかして魔王様だったりするの?」
彼女は冗談混じりのつもりで僕にそう言ったのだろう。しかし、彼女の言っていることはあっているのだ。だって僕は一応魔王の力を持っているのだから。
「…そうですね。もしかしたら僕は…魔王かも知れませんね」
そう言って僕達はお互いに笑いあった。きっと彼女も冗談だと思っているのだろう。
まぁ僕も魔王の力なんて冗談みたいな能力、持っているとも思ってないんだけどね。
「でもあれだね。 随分と綺麗な服だしその杖も高そう……」
彼女は僕の杖をジーッと見つめて何かを思い出したかのように僕の顔を見た。
「これって七つの魔装のひとつにこんな杖なかったっけ?」
「あぁ、魔装"レイジ"そのものですよ」
「………えぇぇぇぇぇ!!」
――――――
それから彼女は僕に様々な質問をしてきた。父さんについてだとか、城についてだとか。まぁありふてた質問をずっとされた。そして最後に答えずらい質問をされた。
「ねぇねぇじゃあさどうしてこんな所にいるの?」
…僕は彼女にありのままを喋ろうか少し迷った。しかし、魔王城が攻撃されたというのは彼女達亜人にも関係することだと思い話すことにした。
「…えーっと、その魔王城。恐らく壊されたんですよ。…それでここに逃げてきたというか……」
すると彼女は固まったように僕のことをじっと見ていた。まぁそうなるのも無理はないだろう。僕達亜人や魔物の象徴とも言える魔王城が壊されたと言われれば…まぁそうなるだろうな。しかし、彼女は予想とは全く違うことを考えていたようだ。
「……それじゃ、あなたはどうするの?」
彼女は僕のことを心配してくれていたようだ。まぁ本心でどう思っているかは分からない。それでも僕のことを心配してくれるのは嬉しいことだった。
「……どうしましょうかね……」
実際僕はどうしようか全く考えてもなく、どうなるか分からなかった。すると、彼女は何か思いついたかのように僕の肩を掴んだ。
「それなら…新しく魔王城作ろうよ! この場所貸してあげるからさ!」
「……本当ですか?」
彼女思いっきり頷いた。
「もちろん! そしたらわたし、新生魔王軍に最初に入ったから…高い役職頂戴ね!」
そのぐらいでいいのか…僕は…行き当たりばったりだけど…いい事あるな。
「……そのぐらいでいいなら……喜んで!」
―――僕に新しい仲間が出来た。
「……あっそう言えば名前…聞いてなかった。僕はファーフニルって言うんだ。」
「私はエレナ! よろしくね魔王様!」