妹の部屋は緊張しない
「いらっしゃい。 ファー兄と……お付の人」
「あっエレナです!」
「どうぞ。 あがって」
……ファラクにしては随分と友好的な気がするな。
後ろでギィィと扉を閉める音が聞こえる。
「じゃあシロ。 お茶とかよろしく」
「分かった」
いつの間にかファラクの横にいた黒っぽい男が屋敷に入っていた。
「……なぁファラク。 あの男は?」
「気になる? でもファー兄の隣の女の人も気になるな」
……そういえばそうだな。
「いつもフニルにお世話になってます! ……あれですよね妹さんってことは魔王ですよね」
「フニル……? あーそういうこと。 そうだよ。 一応魔王だよ」
エレナさんが随分と盛り上がっているような気がするな。 そういえば一応魔王だもんな。
「はいよ。 こんなもんしかなかったけどな」
出されたものは牛乳と焼かれたイノシシの肉だった。
「シロって意外と頭悪いよね」
「俺に魔族とか人間の常識を押し付けるなよ」
そう言うとシロと呼ばれる男は人間の姿から4尾の黒猫になった。
「なー」
ここに居るから人間じゃないと思ったけど……猫だったのか。でもなんで黒猫なのにシロって名前なんだ? まぁファラクのネーミングセンスは独特だけど。
「シロ。 他の人は猫語分からないから。 戻って」
「にゃー。 ……戻ってってのはおかしいがな」
「あー! "change"の魔術かぁ」
「俺達には必需品だよな」
「人間の所に行くんだったらね!」
……まぁしかし、どうしてファラクは僕達をここまで連れてきたんだろう。
あれから少し雑談をした。そうしたらシロと呼ばれる男がエレナさんに料理を教わっている。
「ファー兄。 これからどうするの? あのエレナさんに養ってもらっていくの?」
「……一応だけど。 僕は魔王城を復活させようと思ってるよ」
するとファラクが驚いたように僕のことをみている。やっぱり僕が言ったら変だったかな。
「あのファー兄が自分から……。 でも復活か。 私も復活させたいと思ってたから。 ちょうどいいね」
「……ファラクもか。 やっぱり僕達は魔王の中では1番気が合うね」
「ん。 そうだね。 でもどこに作るの? 私はここを拠点にするけど。 ファー兄は?」
「……僕は……っとあの街の東側の廃鉱を拠点にするよ」
「そっか。 なら後でシロにも話さないと」
僕達は魔王城の復活の協力を約束した。




