妹の隣に知らない男がいたよ
「いっぱい買えたねー」
エレナさんのバックの中には溢れ出るほどの食材が出ていた。
男なら"代わりに持つよ"と言うべきなのだろうが……僕には無理だろう。だってありえないぐらい食料が出てるんだもの。……てかこれどこにやるんだ?
「さあ! パッパとギルドに行こうか!」
その荷物でか。
僕はそう思いながらも黙ってついて行くのだった。
「やほー! 受付の……受付の人! いつものよろしく!」
「受付のリナです。 ……また随分と多いですねって今日はフニル様もいらっしゃるのですね」
リナさんがそう言うと業務的な笑顔を浮かべて少し頭を下げる。僕もつられてついつい下げてしまう。
「エレナ様はいつもの所にその食料を置いていて下さい。 それとフニル様、こちらを」
リナさんが新品の小さな杖を渡してきた。
「ギルド長からの贈り物だそうです。 こちらがあれば魔術もやりやすくなると思いますよ。 それではクエストはどうされますか?」
Fランクのクエスト量はあまり多くなかった。せいぜいイノシシ退治が1番危ないかな。 それ以外は薬草だし。
「フニルのランクだと……イノシシ退治が1番面白いかな! これにする!」
「承りました。 それでは頑張ってください」
リナさんが業務的な笑顔を浮かべる。……何だかその笑顔が残酷に見えたのは僕だけだろう。
「いやー楽しみだね!」
僕とは反対にエレナさんは楽しそうにしている。……憂鬱だな。
「おい、そこの男。 えーと名前はなんだったかな……」
「ファーフニルだよ。 ファー兄」
横隣を見てみると黒髪の何だか黒いというイメージの男と……小さな身長で幼さないが何だか近寄り難い雰囲気がある……僕の妹だった。
「フニル? 知り合い?」
「ファー兄が女と歩くって。 意外」
「……無事だったのか」
「その感じ。 魔王城に起こったことしってるんだ」
全く僕は1歩も外に出なかったんだから当たり前だろ。それに一応僕も魔王だし。
「立ち話ってのもなんだからな。 どっか座れる場所に行こうか」
「なら。 私の家でいいんじゃない?」
「お前の兄貴は大丈夫だろうがな。 隣の女はやばいんじゃないか?」
「見たところ……多分大丈夫」
「じゃあ行くか」
「ファー兄と隣の女の人。 着いてきて」
そう言うとファラクは歩き始めてしまった。……イノシシ退治があるのにな。
「フニル。 よくわかんないけど行こっか」
意外とエレナさんも行く気だし……まぁ最悪ファラクに頼めばイノシシの1匹ぐらい瞬殺だろうし……まぁいいか。
僕らはファラクの家に歩き出した。




